石油化学新聞

PSジャパン・・・ケミカルリサイクルを事業化へ

両親会社と共同で推進 環境問題で廃プラ対策活発化

ポリスチレン(PS)国内最大手のPSジャパン(旭化成62・07%、出光興産37・93%出資)はケミカルリサイクルの事業化に取り組む。両親会社と共同で検討を進める。PS業界では東洋スチレンもケミカルリサイクルの検討に入っている。海洋プラスチックごみなど環境問題が大きな社会的課題となっており、廃プラ対策としてケミカルリサイクルの実用化を目指す動きが活発化しつつある。

令和の経営統合 出るか第3、第4の矢

規模拡大より機能補完 ポートフォリオ 、競争力求め再編

令和元年の化学業界は複数の大型経営統合が進められた。その特徴は、平成の経営統合が国際競争に生き残りをかけて規模拡大を主眼としたものだったのに対して、令和の時代は不足する機能を補完し、ポートフォリオ拡大を狙いとしていることだ。この動きに影響され、第3、第4の矢が飛び出すのか。令和2年目の今年、化学の業界地図が塗り替えられるアライアンスが出てくるかもしれい。
◇◇
昭和電工による日立化成の買収は、化学業界で過去最大の総額9600億円超もの巨費を投じることを含めて、業界を揺るがした。昨年12月18日の記者会見で昭和電工の森川宏平社長は「世界でも有数の機能性化学品メーカーになるためにどうしても欲しかった」と打ち明けた。

同社長は「両社は強い補完関係にあり、目指す事業領域と注目ドライバーも方向を一にする」として、半導体実装分野やLiB材料でのシナジーに期待を示すとともに、「ライフサイエンスは当社が欠けていた部分。日立化成の力により将来に道を広げてくれる」と語った。
ただ、買収後の運営について、「両社で聖域を設けず、ポートフォリオを再編する」と述べ、総額1千億円規模の事業売却も辞さない考えをにじませた。リストラありきの経営統合の先に待つのは茨の道か。「親和性は高い」というが、両社の企業文化はあまりにも違い過ぎる点に一抹の不安を禁じ得ない。

対照的に、対等の精神で年内に経営統合を最終合意し、統合持株会社「シンフォミクス」を設立した三洋化成と日本触媒。両社トップの信頼関係が経営統合を推し進め、後は各国当局の承認を待つばかりだ。
ここで見えてくる未来は、アクリル酸〜SAPで世界トップのポジションと、EO〜界面活性剤に至るサプライチェーン、ライフサイエンスや化粧品、次世代電池といった新規事業でのシナジー効果だ。そこにはリストラの影は見えず、悲愴感は微塵もない。ただし、統合比率ほか諸条件の設定は、通常ではあり得ないことも事実で、両社だからこそ実現する統合と言えなくもない。

そもそも経営統合とは通常ではないことだ。だからこそ、非連続の成長と破壊的イノベーションが期待されるのだ。世界経済が下降局面をたどるなか、景気に左右されにくい機能性材料を軸にした業界内のアライアンスは一段と活発化する可能性は高い。

  • ナフサクラッカー・・・20年定修6基に増加 生産能力、18慢トン減の653万トンに
  • 宇部興産・・・LTO粉末、4年内の量産化目指す 車両の新規LiB用拡大
  • 合成ゴム・・・需給改善の道遠く CRのタイト感薄らぐ
  • 日本化学工業協会・淡輪敏会長・・・・保安事故防止に力 「保安事故防止ガイドライン増版-2」活用を

新年特集 目次

持続的成長に向けた当社の経営戦略

  • 2面=宇部興産、JSR
  • 3面=三洋化成工業、日本触媒
  • 4面=旭化成、東ソー
  • 5面=日本ゼオン、積水化学工業
  • 6面=住友化学、クラレ
  • 7面=ダイセル、ダウ日本
  • 8面=出光興産、横河ソリューションサービス
  • 9面=帝人、三菱ガス化学
  • 10面=三井化学、積水化成品工業
  • 11面=大倉工業、アズビル
  • 12面=DIC、日本化薬
  • 13面=トクヤマ、日鉄ケミカル&マテリアル
  • 14面=東レ、クレハ
  • 15面=旭有機材、JSP
  • 16面=デンカ、PSジャパン
  • 17面=ポリプラスチックス、日本エイアンドエル
  • 18面=KHネオケム、JXTGエネルギー
  • 19面=カネカ、ユニチカ
  • 20面=三菱エンジニアリングプラスチックス、新第一塩ビ
  • 21面=東亞合成、プライムポリマー
  • 22面=東洋紡、三井化学東セロ
  • 23面=タキロンシーアイ、川崎化成工業
  • 24面=三菱ケミカル、丸善石油化学
  • 25面=出光ライオンコンポジット、ダイセル・エボニック
  • 26面=本州化学工業

最近の記事一覧石油化学新聞一覧