石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

日清紡ケミカル・・・ガラス状カーボン 半導体露光装置向け進出

旭事業所で3倍に増強

日清紡ケミカルは、ガラス状(アモルファス)カーボン事業で半導体製造装置用途を拡大する。現在主力用途のエッチング装置や洗浄装置に続き、露光装置用途へ進出する。これに伴い旭事業所(千葉県旭市)で25年初頭までに10億円強を投じて設備を増設し、生産能力を約3倍に高める。同事業の売上高も早期に現状比約3倍へ拡大する計画だ。

この人に聞く 2024化学品動向 ベンゼン(BZ)

ENEOS基礎化学品販売部長  島田武浩氏

需給 誘導品増設でタイト化
ガソリン基材用も増加傾向
―BZと誘導品の世界需要の状況は。
23年の世界需要は22年比でほぼ横ばいの5300万㌧程度だったとみている。BZも昨今の中国での増設影響を大きく受けるが、23年は誘導品新設能力が大きかったため、中国のBZ輸入量は過去最高だった前年の330万㌧程度が維持されることとなった。輸入の内訳も韓国を筆頭に日本、東南アジア諸国で大部分を占める構成に大きな変化はない。
一方、誘導品側では中国での急速な内製化に伴い、日本や韓国、台湾からの中国向け誘導品輸出量が減少している。今後も中国で誘導品の新設が続くなか、この傾向は当面継続すると思われる。
―誘導品別での伸びはいかがでしょうか。
地域差はあるものの、世界的には23年の全誘導品で伸び率が鈍化し、前年並みの需要に留まったのではないかとみている。今後の見通しについては、需要全体の約50%を占めるスチレンモノマー(SM)の需要が1・5%程度、約20%を占めるキュメン・フェノール、約15%のシクロヘキサン・カプロラクタムはともに3%程度、約10%を占める硬質ウレタン原料のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)は3・5%程度と想定している。

  • 東洋紡エムシー・・・高強力PE繊維、洋上風力向け新品種 疲労耐久性を向上
  • 住友化学・・・DX戦略、新事業創出期に移行 業績改善の原動力
  • 日本化薬・・・染料の差別化へ欧廃棄規制注視
  • 三井化学・・・車載パネルプリンターなど コート材技術応用拡大
    三井化学はライフ&ヘルスケアソリューションビジネスの主力事業であるビジョンケア分野に関わるコート材の技術で、メガネレンズ以外の応用展開を拡大させる。
    グループ会社の米SDCの子会社で超撥水コーティング材を手掛ける独コーテックが、独インクジェット(IJ)機器メーカーのCADISエンジニアリングと共同で車載ディスプレイパネル向け撥水コーティング用デジタルプリンターを開発した。こうした車載機器向けに留まらず、今後は建築や光学機器、医療分野への応用も視野に入れ、さらなる業容拡大を目指す。
    新開発のデジタルプリンター=写真=は、一般的な真空蒸着装置などを用いたバッチ生産とは異なり、常圧環境での連続生産を可能にした。迅速な塗布を実現し、顧客の既存生産ラインに容易に組み込めるため車載ディスプレイの生産性向上に寄与する。

<特集>デジタル化を背 景に成長へ技術 革新/化学企業 のエレクトロニ クス関連事業 (2~4面)

エレクトロニクス分野は化学産業にとって重要な市場領域の一つ。最終製品の市場がグローバルに広がり、求められるニーズも高度化、多様化するなか、蓄積した技術を駆使した材料や部材は幅広い領域で活躍の場を広げている。世界経済の混乱や商流全体の在庫調整で足元の需要は停滞しているが、中期的にはデジタル化やAI活用、通信システムの高速化、さらには自動車の電動化などを背景に高い成長が見込まれる。需要が停滞するなかでも成長を取り込むための技術革新は進んでおり、さらに化学企業の存在感は高まる方向だ。

ダイセル

  • スマートSBU、成長へ拡販体制整備
  • 機能フィルム 新工場で新製品拡大

クラレ

  • PA9T、3拠点で世界展開加速
  • DDR5車両、今年から採用本格化

日本化薬

  • 機能性材料、半導体関連に重点
  • 色素材料、デジタル印刷を支援

三菱ケミカルグループ

  • 半導体材料で積極投資
  • ディスプレイ・電池材も拡充

丸善石油化学

  • レジスト材、カスタム対応に強み
  • EUVなど最先端向け、開発を重点強化

東ソー

  • 導電性高分子、可溶タイプが市場浸透
  • コンデンサーや帯電防止向け

東洋紡エムシー

  • 接着シート、FPC向けを開発
  • 熱処理不要で工程大幅短縮

日本ゼオン

  • マイクロ中空粒子、独自開発品量産化へ
  • 高速通信用、25年度にも上市

三井化学

  • 半導体・光学材料、シナジーで優位性を
  • TPX、超高分子量PE、PFAS代替に力

三菱ガス化学

  • 半導体基板材、FC―BGA用へ進出
  • タイで倍増設 25年10月に稼働

帝人

  • 極細繊維炭素 全固体電池向け狙う
  • 燃料電池用GDLも開発

東レ

  • PI、パワー半導体向けに力点
  • 有機ELディスプレイ用も

出光興産

  • 硫化物固体電解質、全固体電池材に活用
  • トヨタと協業 27~28年実用化へ

THE PETROCHEMICAL PRESS

  • デュポン・スタイロ・・・基礎断熱住宅用 防蟻性ⅩPS拡販 効果15年持続 XPS、リサイクル拡大
  • 東レ・・・次世代電池向け イオン伝導ポリマー
  • 日本食品化工・・・でん粉バイオプラ事業化
  • カネカ・・・OLED照明普及 柔らかな光 好評 マンション・店舗や博物館に
    イノベーションで世界を健康にする「Wellness First」を推し進めるカネカ。そんな同社が大型新規事業群の一つとして育成に取り組んでいるのが有機EL(OLED)照明事業だ。OLED照明は光が平面から均一に広がることから対象物の影ができにくく、全体を優しく照らすのが特徴。薄くて軽く、発熱が少ない利点もある。カネカが10年に事業開発を始めたOLED照明はレストランなどの商業店舗のほか、美術館、博物館、学習塾の自習室、ホテル客室、医療設備、住宅、パウダールームと幅広く採用されている。【写真】OLED照明を採用した店舗(銀座のベルギーチョコレート「ブノワ・ニアン」国内1号店)
  • 三菱ケミカルグループ・・・植物由来樹脂でプリプレグ開発
  • 東ソー・・・新本社、オープンな環境に
    東ソーは東京駅八重洲口の東京ミッドタウン八重洲・八重洲セントラルタワー28、29階で18日に稼働する新本社オフィスの報道陣向け内覧会を開いた。
    新本社は「社員が行きたくなるオフィス」をコンセプトに、壁や仕切りがなく、コミュニケーションを取りやすいオープンなオフィス環境を構築した。部署ごとに社員の座席を固定しないフリーアドレス制を導入。二つの執務フロアを結ぶ内階段を設けたほか、社員が交流できるコラボレーションエリア=写真=を設置し、社員食堂「東ソークラブ」(29階)も充実させた。オフィスデザインには木目や植物、明るい色を採用し、マッサージチェアなどフレッシュできる仕掛けもつくった。東ソーの本社移転は00年以来24年ぶり。
  • タキロンシーアイ・・・三田に東京本社移転 今冬
  • エフピコ・・・東北シジシーと容器リサイクル
  • 日本芳香族工業会・・・BTX需要
  • 化学品値上げ
    ・三菱ケミカルグループ・・・オキソ製品15円以上。アクリル酸25円以上
    ・住友化学・・・PE・PPを9円
    ・旭化成・・・PEを8円以上
    ・PSジャパン・・・PSを20円以上
    ・東洋スチレン・・・PSを15円以上
    ・DIC・・・PSと関連商店
    ・三井化学東セロ・・・包装用フィルム

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