
石油化学新聞 5485号(2026.6.15)
THE PETROCHEMICAL PRESS
- クラサスケミカル・・・安定収益稼ぐ専業へ 基盤投資 IPOは年内決定
クラサスケミカルは東京証券取引所スタンダード市場への新規株式公開(IPO)に向けた準備を着々と進めており、10~12月ごろには新規上場を果たす見通しだ。これを機に収益基盤のさらなる強化に向けた投資を積極化し、安定収益を稼ぎ出す石化専業メーカーへ進化する。30年以降に進むとみられるグリーン化を含めた国内石化業界の大再編の中で迅速な意思決定を通じて積極的に参画し、その中核的役割を担う。 - 東レ・・・人工皮革 伊子会社で構造改革 体質強化、成長促進
- クラサスケミカル・・・トルエン代替 NPAC 引き合い強く
- 三井化学・・・変性MDI、非自動車用途に 事業構造を転換
- 日本ゼオン・・・TIMとデータビジネス 次期成長事業に追加
新社長インタビュー 東洋スチレン 七井正成氏

筋肉質な経営基盤に
他社との連携模索 CRで差別化推進
「社長としての私のミッションは、国内需要の減少という厳しい環境を乗り越えるため会社全体を無駄のない筋肉質な体質に変革することだ。親会社のデンカは27年4月をメドにスチレン系事業の分社化を検討する方針を打ち出した。ポリスチレン(PS)業界が生き残るためには他社とのアライアンスを積極的に進めることが不可欠になる」。4月1日に東洋スチレン社長へ就任した七井正成氏は、自らに課せられた役割をこう表現する。
七井氏は91年に明治大学経営学部を卒業し電気化学工業(現デンカ)へ入社した。キャリアの大半をスチレン系樹脂事業で歩み、24年からはポリマーソリューション部門副部門長兼スチレン・化成品部長を務めた。
PSへの思い入れも強い。01年から約5年間は東洋スチレンに在籍したほか、デンカシンガポールのPSプラントの運営に携わった。当時、中国では液晶テレビ市場が拡大しており、拡散板向けの拡販に努めたことが印象に残っているという。その後、環境問題など市場変化の影響を受け、同プラントの閉鎖も経験した。「厳しい市場環境の中でも、新しいビジネスのヒントは顧客との日々の対話の中にある。待っているだけでは新ビジネスは生まれない。営業現場が拾い上げたニーズを新グレードや新商品につなげることが今後の勝敗を分ける」と語る。
<特集>エポキシ樹脂 ニーズに対応 機能高め領域拡大(2~3面)
市場動向とメーカー各社の戦略
エポキシ樹脂は固有の特徴が評価されて電気・電子、塗料、土木建築、接着剤、炭素繊維強化樹脂(CFRP)などの幅広い用途に用いられ、不可欠な素材として市場を広げている。標準品は中国での新増設や中東情勢の悪化などを受けて厳しい事業環境にあるが、半導体周りを中心とした特殊品はAI関連が牽引役となって拡大を続け、今後も車載用を含めて高い成長が見込まれる。近年はエポキシの延長として、低誘電特性などを特徴とする新規樹脂への展開も活発化してきた。展開する領域は、エポキシの枠を越えて広がる方向にある。
概況
- 加速する特殊化路線
- AI関連牽引役に 新樹脂含め開発に拍車
- 半導体用は投資活発化
三菱ケミカル
- 電材用 新系列で拡販
- 高周波基板用 ビニル系3年内立ち上げ
日鉄ケミカル&マテリアル
- 高速通信向け 低誘電品に重点
- ビニル系 2拠点で需要対応
日本化薬
- 機能と付加価値追求
- 低誘電 マレイミド軸に拡充
オリン
- 川上効率化 川下展開を強化
- 中国の設備改造 最適化、特殊品拡大
ADEKA
- 電気・電子向け 低塩素特殊品に力
- 自動車用 構造接着を世界展開
THE PETROCHEMICAL PRESS
- ダイセル・・・ナノダイヤ、CO2還元実用化へ 姫路に試験設備
ダイセルは独自開発した爆轟(ばくごう)法ナノダイヤモンドを活用してCO2から得る一酸化炭素(CO)を商業規模で原料として活用するため、27年度に網干工場(姫路市)内へパイロット設備を設置し実装に向けた検証を本格化する。COは酢酸やメタノールの原料としてグループ内で活用することもでき、30年度以降に自社や他社で商業ベースによる設備稼働を目指す。 - 東レ・・・海水淡水化用RO膜 最上級の塩除去実現
- 荒川化学・・・高付加価値分野に力 水素化石油樹脂立て直し
- 東レ・・・エンジ技術開発棟滋賀に28年末完成

東レは滋賀事業場(滋賀県大津市)にエンジニアリング技術開発の拠点となる開発棟=写真=を新設する。12月に着工し28年12月ごろに完成させる予定。同事業場内に分散する実験・検証機能を集約し、研究初期から生産まで見据えたプロセス・設備開発を行う技術開発プラットフォームとして活用する。
新開発棟は3階建てで延べ床面積は9120平方㍍。プロセス・エンジニアリング、精密表面加工、評価実証、スマートエンジニアリングの四つのラボを備え、東レのさまざまな事業で培ってきたエンジニアリング要素技術の融合により既存製品の競争力強化につなげる。今後の成長が期待されるデジタル(AI半導体、データセンター)、環境エネルギー(分離膜、水素)、次世代モビリティー(航空、宇宙)といった領域で求められるプロセス・生産技術の強化も図る。 - 日本芳香族工業会・・・橋本氏を新会長に
日本芳香族工業会は第69回定時総会を開き、新会長に丸善石油化学の橋本幸雄取締役執行役員=写真=、新副会長にENEOSの島田武浩基礎化学品販売部長を選任した。任期は1年。
石油化学業界が中国の供給過剰に加え、中東情勢緊迫化に伴う原料調達リスクの高まりなどで厳しい局面に直面するなか、橋本会長は「会員各社とコミュニケーションを密にしながら工業会を運営し、業界発展に貢献していきたい」と抱負を述べた。 - 日本ソーダ工業会・・・新会長に横田氏
日本ソーダ工業会は髙村美己志会長(東亞合成会長)の任期満了に伴う新会長にトクヤマの横田浩会長を選任した。任期は2年。副会長にはカネカの吉池悦雄常務執行役員が就任した。
横田新会長は16年6月~18年6月以来の2度目の就任となる。ソーダ業界の現状について「ホルムズ海峡封鎖によるエチレン、プロピレンの供給不安で一部の塩素誘導品の生産が滞り、電解プラントの稼働も少なからず影響を受ける」と述べた。「内需が低迷するなか原燃料費や人件費、物流費のさらなる上昇もありソーダ業界にとって厳しい状況が続く」との見通しを示した。 - 日本バイオプラスチック協会・・・攻めの予算で活動を強化
日本バイオプラスチック協会の中石昭夫会長(帝人ミッション・エグゼクティブ)は9日の定時総会後の懇親会で「これまでの協会活動の成果を踏まえ、26年度は攻めの予算を編成し活動をさらに強化する。技術・市場・政策を一体的に推進してバイオプラスチック業界の健全な発展・成長につなげ、持続可能な社会の実現に貢献したい」と述べた。
- 東レ・・・PPSコンパウンド設備 27年 インドに新設
- プラスチック循環利用協会・・・自動車向け再生材供給網を本格検討

プラスチック循環利用協会は、関東のリサイクラー6社と自動車向けプラスチック再生材の安定供給体制構築の検討を本格化させる。欧州で新車への再生材利用を求めるELV規制が進む中、攻勢を強める中国勢に対抗することが狙い。自動車向けの再生材には廃プラの量と質を確保することが不可欠で、パートナー企業を巻き込みながら新会社設立も視野に入れた拠点集約化を目指す。【写真】FS事業に参画したリサイクラー6社とプラスチック循環利用協会 - 日揮・・・神戸にガス循環発酵バイオ研究棟開所

日揮ホールディングスは、神戸市のポートアイランドに世界初のガス循環発酵の基盤設備を導入したバイオものづくり研究棟を竣工させ、同日開所式を実施した。
同研究棟は同社グループが整備を進めるバイオプロセス研究所(通称JBX)の第1棟目となる。4階建てで延べ床面積約3400平方㍍の敷地に5㍑から200㍑規模のベンチスケールのガス培養槽を複数設置している。【写真】開所したJBX1 - 旭化成・・・超イオン電解液で超高出力電池セル
旭化成が開発した超イオン伝導性電解液「Acetolyte」を採用した超高出力リチウムイオンLFP(リン酸鉄)電池セル=写真=が、ドイツの電池メーカーEASバッテリーズから3月に発売された。公称容量22Ahの円筒形LIB―LFP電池で、連続放電時に2550㍗/㌔㌘の出力を達成している。 - 東京応化工業・・・阿蘇くまもとサイトが稼働
- AGCと東北大・・・最先端半導体で共創研究所設置
- 日本ポリプロ・・・リサイクルPPが自工会目標値適合
THE PETROCHEMICAL PRESS
- カーボンブラック協会・・・4月のカーボンブラック実績
- 発泡スチレンシート工業会・・・2026年5月のPSP出荷実績
- 日本ABS樹脂工業会・・・ABS樹脂5月国内出荷
- 化学製品値上げ
・UBE・・・高純度窒化ケイ素粉末を5月1日納入分から30%値上げした。・グンゼ・・・包装用ナイロンフィルムを26日出荷分から1連(15㍈換算)500円、ラベル用収縮フィルムは7月1日出荷分からハイブリッドスチレン系(PSとPETの複層)で1㌔㌘14円、PET系で47円、オレフィン系で50円値上げする。4月の値上に追加で行う。・サンディック・・・2軸延伸ポリスチレンシート(OPS)を7月1日納入分から1㌔㌘25円以上値上げする。・日本ポリエチレン・・・ポリエチレン(PE)を7月1日納入分から1㌔㌘9円以上値上げする。・日本ポリプロ・・・ポリプロピレン(PP)を7月1日納入分から1㌔㌘7円以上値上げする。・カネカ・・・液体カセイソーダを7月1日出荷分から固形換算ベースで1㌔㌘30円以上値上げする。・信越化学工業・・・カセイソーダを7月1日納入分から1㌔㌘30円以上値上げする。・トクヤマはカセイソーダを7月1日出荷分から1㌔㌘(固形換算)35円以上値上げする。・積水ホームテクノ・・・ユニットバスを8月3日受注分から4~19%値上げする。
