石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

橘川武郎・国際大学副学長インタビュー 

化学産業 「CNへ明確なビジョンを」

廃プラ油化C以降の機能化学へ
国際大学副学長で同大学大学院国際経営学研究科の橘川武郎教授(東京大学・一橋大学名誉教授)が石油化学新聞の取材に応じ、カーボンニュートラル(CN)に向けて挑戦する化学産業に対して「化学は炭素を使って人類を幸せにする産業だ」と強調したうえで、「各社は30年までの具体的なGHG(温室効果ガス)削減目標を掲げて取り組みを加速させているものの、50年のCN実現の見取り図がいま一つはっきりしない。明確なビジョンを示さないと世間は納得しない」と指摘。化学のものづくり現場に携わる人びとに「化学はCN実現の原動力。自信と展望を持って頑張ってほしい」とエールを送った。

2022化学品動向 この人に聞く パラキシレン(PX) 

ENEOS 基礎化学品販売部長 大木倫太郎氏

世界需要 5000万㌧の大台を突破
需給バランス余剰も徐々に適正化
―世界需要は昨年、初めて5千万㌧を突破しました。
上期からは一転、下期はコロナ変異株感染拡大による物流停滞や中国のエネルギー規制による川下装置の稼働制限を背景に弱含む展開となったが、結果的に通年は前年比約3%増え、5200万㌧程度になったと見ている。エネルギー規制に関してはその後、中国政府が方針転換し、現在では稼働制約はほぼ見られない。今年も昨年と同様、3%程度の需要の伸びを見込む。
―需給状況は。
19年に中国で複数の大型PX装置付随型製油所が立ち上がって以降、構造的な余剰環境にあるが、昨年前半については新設PTA装置の稼働開始やアジアで相次いだPX装置の不具合に、米大寒波の影響が相まってタイト感が強まった。

  • 三菱ケミカル・・・LCD反射フィルム増設 透明粘着シートOLEDへ拡販
  • 三菱ケミカルHD・・・岐阜薬科大に寄付講座 ナノファイバー創剤学
  • 三菱ガス化学・・・眼鏡レンズ材増設検討 浪速製造所で

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タキロンシーアイ・・・PCパネル止水板 軽量性訴求し普及加速

今期 20 %増販へ

タキロンシーアイが、集中豪雨などによる建物への浸水を食い止める止水製品「フラッドセーフシリーズ」=写真=の普及に力を入れている。女性一人でも緊急時に素早く設置できる軽量性が大きな特徴。約5年前に上市し、これまでの市場開拓の成果が実り、集合住宅のほかスーパーや銀行といった商業施設、工場、戸建て住宅など採用が広がっている。22年度は前年比2割増の売上高を狙う。

水素社会への展望 NEDO 石塚博昭理事長に聞く

実現可能性ある技術に 実装強化へ プロジェクト加速

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では水素社会の実現に向けたイノベーションを創出するプロジェクトを相次いで採択している。水素プロジェクトの概況や展望について、同機構の石塚博昭理事長に話を聞いた。
―NEDOにおける水素関連プロジェクトの位置付けは。
当機構では設立以来、40年以上にわたって燃料電池などの水素に関連した技術開発を実施している。言わば当機構の老舗プロジェクトだ。社会実装例としては、家庭用燃料電池「エネファーム」や水素ステーションが挙げられる。ここ10年程で関連事業の成長はますます加速しており、グリーンイノベーション(GI)基金のなかでも、水素社会実現に関するプロジェクトへの割合は大きい。
―水素の利点とは。
水素の一番の利点は、再生可能エネルギー由来の電力余剰分を使って製造し、貯蔵して利用できることから、電力需給の調整力として機能する点だ。このような水素を用いたエネルギー貯蔵・利用は「パワーツーガス(Power to Gas)」と呼ばれ、欧州で盛んに研究が進められている。これを日本でも拡大させるべく当機構でも支援を強化している。欧州以上を目指すくらいの勢いが必要だ。
―各プロジェクトの進捗状況は。

  • 三菱ケミカル・・・CFRTP、福井に試験設備新設 UDプリプレグ生産
  • DICグループ・・・包装材、モノマテリアル化推進 関連素材品揃え拡充
  • 積水化学工業・・・LIB熱暴走対策、難燃軽量シート開発 アルミ複合材代替
  • 三菱ガス化学・・・台湾社と現地に合弁 プリント配線板用 積層材料製販で。網走バイオマス発電所に出資
  • 千葉大学など・・・水中で化学反応加速 新固体触媒を開発
  • 信越化学工業・・・硬化速度向上の新製品 1液型シリコーンゴム 安全性なども改善
  • 三洋貿易・・・ゴム・化学品の検索サイト開設

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高周波基板材料 6G見据え開発活発

環状ポリオレフィンなど LCPを追撃

高周波に対応する5G時代のフレキシブル基板(FCCL)材料として、ポリイミド(PI)に代わり液晶ポリマー(LCP)などが先行し拡大基調にあるなか、6G以降を見据えた材料の開発が活発化してきた。LCPは今後も有力材料の一つだが、もともと低誘電特性が良好な環状オレフィン系ポリマー(COP、COC)の改良品、あるいはDICの配線形成用シードフィルムなど、周辺技術も実用化に向けた取り組みが進んでいる。

  • 半導体周辺素材・・・活況継続見通し 30年ごろまで デジタル化追い風
  • 帝人フロンティア・・・ポリエス繊維製造時CO排出量を算出
  • ランクセス・・・価格変動制を導入 2製品
  • 日本プラスチック工業連盟・・・積水化成品に最優良賞 海洋プラ問題解決へ実践
  • カーボンブラック協会・・・2月のカーボンブラック実績
  • 日本ソーダ工業会・・・2月のカセイソーダ出荷内訳、2月のソーダ工業薬品需給状況
  • ベンゼン4月ACP・・・95㌦高の1195㌦
  • 化学製品値上げ
    ・クラレ・・・PVBと同フィルム
    ・三井化学・・・アンモニア系
    ・UBE・・・PA6とPA12
    ・日本エイアンドエル・・・ABS系50円以上
    ・東ソー・・・MDIを50円以上
    ・旭化成・・・塩化ビニリデン
    ・KHネオケム・・・1・3BGを50円
    ・ポリプラ・エボニック・・・PAやPEEK
    ・クラレ・・・液状ゴムを130円。エラストマーなど。
    ・カネカ・・・モダクリル繊維10%
    ・デンカ・・・OPSなど5月から。CRを60円以上。

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日本化薬・・・半導体やLCD関連 中国・台湾で拡販

技術支援を強化

日本化薬はエポキシ樹脂や紫外線硬化樹脂、クリーナーなどを展開する機能性材料事業で、急増する中国や台湾の半導体、LCD関連を中心とした需要の取り込みに拍車をかける。中国では無錫市に置く紫外線硬化樹脂の生産・販売・技術開発拠点を核に、エポキシ樹脂やクリーナーも物流や顧客への技術支援体制を拡充する。台湾でもクリーナーを中心に半導体関連の需要を取り込むべく技術支援体制を構築し、今春から運用を開始する計画だ。

  • DIC・・・材料開発、量子技術で革新 カナダ新興と研究
  • 日華化学・・・エレファンテックとポリエス再生技術開発 プレス機で染料脱色
  • クラリアント・・・グリーンアンモニア触媒 豪プロジェクトに
  • ダウ・・・モビリティー向け増産へ投資を継続
  • AGC・・・インドネシアPVC増設完了 出荷スタート。 合成医薬品を増設スペインで3割
  • 三菱ガス化学とJFEエンジニアリン・・・ごみ燃焼CO回収メタノール化に成功
  • 日揮ホールディングス・・・LNG基地建設CPCから受注
  • デンカ・・・2.8万㌔㍗級水力稼働
  • 東レ・・・本社オフィス再エネ100%電力に
  • タキロンシーアイ・・・サステナビリティ委員会と戦略部新設
  • 東ソー・・・大洋塩ビへの出資比率84%に引き上げ

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