石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

CN実現へ 「GXリーグ」発足 幅広い業種の企業多数参画

来年4月 本格稼働詳細設計と実証に着手

GX(グリーントランスフォーメーション)リーグが4月1日に発足した。カーボンニュートラル( CN ) の実現に向けて、自主的に高いGHG排出削減目標を掲げて持続的成長を目指すGX実践企業が協働する国内最大規模のコンソーシアムの誕生である。来年4月以降の本格稼働に向けて、GXリーグの実装に向けた詳細設計や、生活者視点でのサステナブルな経済社会システムのあり方などを議論し、リーグ内での自主的な排出量取引を含むルール作りと一部実証をスタートさせる。

新社長インタビュー 東ソー 桒田 守氏

CNと成長戦略を両立
ビニルチェーン海外投資は今期判断
「過去最高益でバトンを引き継ぎ重責を感じている。業績は非常にいい。しかし事業環境は非常に厳しい。『天気晴朗なれど波高し』という気持ちを強めている。社長としてカーボンニュートラル(CN)と成長戦略の両立を目指すのが使命だ」こう抱負を語るのは東ソーの社長に3月1日付で就任した桒田さん。
主力工場の南陽事業所で石炭を燃料とする大規模な火力発電設備を運用する東ソーにとってCNは「生き残りを賭けた課題」と捉え、「COの排出量削減や回収・有効利用に全力で取り組む」と強調する。50年のCNに向けてグループ全体の温暖化ガス排出量を30年度までに18年度比30%削減する目標と施策を1月に表明。約1200億円の温暖化ガス排出量削減投資を行い、うち約600億円の投資は22年度から3年間の新中期経営計画の期間中に実行する。「南陽事業所では石炭からバイオマスなどへの燃料転換を進め、四日市事業所ではナフサクラッカーで副生するオフガスを燃料に有効利用するため、ガスタービンの増設を行う」計画だ。

  • 日本触媒・・・シリカ球状微粒子、姫路の能力来春倍増 事業基盤拡充に拍車
  • 三菱ケミカル・・・フィルム設備、PP検査合理化も DXで清掃自動化
  • ダイセル・・・曲がる透明ヒーター、シートに銀ナノインク 熱線抗ウイルスや防曇へ

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PS再資源化

CR実証が来年本格化  包材など 脱プラ・紙化に対抗

ポリスチレン(PS)のケミカルリサイクル(CR)の実証試験が23年から本格的に始まる。うちPSジャパンは年末にも実証設備が完成し、CR由来PSの評価を経て、25年以降の商業化を目指す。PSの用途のうち食品容器をはじめとしたワンウエー製品に限れば、欧米では削減対象となるなど風当たりが強い。日本は欧米とは状況が異なるとはいえ、PSメーカーは海外情勢も踏まえながら、CR由来PSを通して脱プラ・紙化の動きに対応する。

  • 住友化学・・・低分子医薬品原薬・中間体 岐阜、岡山に続く拠点 大分に新プラント
  • 島津製作所・・・京大ベンチャーとCO固定化実証へ 海洋性光合成細菌
  • SABIC・・・PCコンパウンド ATEX指令に対応 帯電防止の新製品
  • リケンテクノス・・・新3ヵ年中計策定 24年度営業益85億円へ
  • 東洋紡・・・機能素材事業分割 三菱商事と新会社
  • 東レエンジニアリングDソリューションズ・・・樹脂成形時の変形抑制設計提案ソフト
  • 旭化成と旭化成ホームズ・・・太陽光施工管理システム 試験運用を開始
  • UBEとハイラング・・・IPF関連で共同開発 年度内に臨床試験
  • 東レ・・・EBオフセット印刷材、欧で拡販

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エポキシ、半導体関連が活況

海外風力発電向け急拡大

エポキシ樹脂は封止材や基板向けなど半導体関連の需要増で活況を呈しており、同用途を得意とする三菱ケミカルやDIC、日本化薬などは増産に向け対応を急いでいる。炭素繊維強化樹脂(CFRP)用途も拡大基調にあり、特に海外では風力発電のブレード(風車)向けが急拡大している。両用途は当面も高い成長を続けていくとみられ、増産に向けた動きが原料を含めて活発化しそうだ。

  • DIC・・・SLB発行を決定
  • 財務省貿易統計・・・2022年2月石化品輸出実績、2022年2月石化品輸入実績
  • 日本ポリプロピレンフィルム工業会・・・2月のOPP・CPP出荷実績
  • 日本プラスチック板協会・・・2月の硬質塩化ビニル平板生産出荷実績、2月の硬質塩化ビニル波板生産出荷実績、2月のポリカーボネート平板・波板生産出荷実績
  • 日本化学繊維協会・・・2月の合成繊維生産・在庫量
  • 日本プラスチック工業連盟・・・1月のプラスチック原材料の在庫月数
  • 日本銀行・国内企業物価指数・・・石化基礎品3.6㌽上昇
  • 化学製品値上げ
    ・ランクセス・・・酸化鉄顔料2拠点別
    ・日本触媒・・・無水マレイン酸など。 ベンゾニトリルなど。 ポリカルボン酸系。
    ・クラレ・・・EVOHを60円
    ・旭化成・・・MMAやアクリル酸。 合成ゴムとTPE。
    ・新第一塩ビ・・・PVCを40円以上
    ・三菱ケミカル・・・トリアセテート長繊。 OPSを22円以上。
    ・ユニチカ・・・包装用フィルム300円
    ・東レ・・・ABS系を50円以上。 PPS21日から。 合成繊維と不織布。
    ・テクノUMG・・・ABS系47円以上
    ・デュポン・スタイロ・・・XPSを30%
    ・東ソー・・・エチレンアミン。CR5月から60円。
    ・積水化成品工業・・・PSPを22円以上

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日本化薬・・・色素材料 中国軸に海外拡販

無錫で増産計画も

日本化薬は色素材料事業で海外市場の拡大を加速する。中国・無錫市の子会社で繊維用染料やインクジェット(IJ)プリンター用染料を製造・販売する無錫先進化薬化工(WAC)は、日本の生産拠点との分担を明確化したうえで増産体制を整備する計画。顧客への技術サービス体制も強化し、中国での拡販につなげる。タイでも販売子会社NKTHに技術サービス体制を整備し、ASEAN市場を中心とした拡販に拍車をかける。

石油化学産業の課題 石塚博昭・NEDO理事長に聞く

CNへ環境と経済両立

日本の石油化学産業ではカーボンニュートラル(CN)実現に向けた技術開発が急ピッチで進んでいる。20年10月に国のCN宣言が出て以降は特に化学業界でもESG投資に一層本腰を入れる傾向が強まった。一方、プラントの老朽化対策とともに熟練従業員の定年退職に起因する技術伝承への対応など、設備保全に関する課題も大きくなっている。こうした難局を乗り切るために必要な取り組みと展望を、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の石塚博昭理事長に聞いた。
―石化産業の現状をどのように捉えていますか。
CNへの対応と設備保全問題が重なり、日本の石化産業はかつてない難局に立たされていることは間違いない。これらの解決へ向け、プラントなどの国内資産を有効活用しつつ資源循環や水素利活用、COの貯留・利活用(CCUS)などの多面的な技術開発に資する取り組みが活発化している。いずれも当機構の支援範囲に合致しており、われわれも全力で支援していきたい。

  • 東洋紡・・・OPD、最高感度を達成 25年メド実用化
  • 横河ソリューションサービスとNTTコムウェア・・・プラント保全管理 クラウド共同展開
  • ソルベイ・・・水溶性ポリマー、金属接合用に力 車など産業向け
  • クラリアント・・・中国・利華益向け触媒を大量受注
  • 旭化成や昭和電工・・・水素利用拠点形成へ 7者が検討スタート
  • BASF・・・プラ添加剤 伊・独で増強
  • 東亞合成・・・名古屋工場に物流センター
  • JSR・・・トポロジカル活用へ 東京大学と連携講座 26年まで
  • 東ソー・・・CCUS開発と実証 NEDO事業に採択
  • セーレン・・・セーレンの新社長に山田英幸取締役常務執行役員が1日付で就任

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