石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

旭化成・・・韓国の休止設備再稼働

中国需要好調で22年末

旭化成は、韓国でアクリロニトリル(AN)を増産する。現地の10%子会社、東西石油化学が休止中のAN年産7万㌧系列を22年末に再稼働する。中国のABS樹脂用途を中心とするANの堅調な需要増に対応する。旭化成はさらにANの長期的な安定供給体制の構築に向けてアジアで新設備建設の検討を進める。

旭化成グループのAN生産能力はアジア3拠点合計で年100万㌧と世界第2位、アジアでトップ。水島製造所にプロピレン法20万㌧、韓国の東西石化に同法60万㌧、タイの合弁会社PTT旭ケミカルにプロパン法20万㌧のAN設備を有する。
東西石化は蔚山工場で14年春から休止中の7万㌧系列と26万5千㌧2系列を持つ。うち大型2系列はそれぞれ19年と20年にボトルネック解消により2万㌧ずつ増強した経緯がある。顧客からの引き合いが強く、高稼働が続いており、安定供給のために7万㌧系列の再稼働を決めた。
さらにアジアでの新設備建設は、コスト競争力のある原料確保を前提に、既存拠点だけでなく新立地も含めて検討する。生産能力は25万㌧以上を想定している。

  • 宇部興産・・・PIワニス、次世代電池用に本腰 電池バインダー向け拡販
  • ナフサ・・・アジア市況が高騰 エチレン高で採算性維持
  • ブタジエン・・・余剰感強まり急落
  • 塩化ビニル樹脂・・・輸出価格が大幅上昇 10月アジア向け
  • 旭化成・小堀秀毅社長・・・世界でエリア戦略推進
  • 日本化学工業協会・・・産廃プラのLCA実施
  • ダウ・東レ・・・LSRで2新製品 自己接着と定温硬化型

<特集>活躍の場広げる化学企業のヘルスケア事業

化学企業が手がけるヘルスケア関連事業は医薬品から樹脂加工品まで多岐にわたり、直近は診断薬・検査薬、化粧品原料、健康食品原料に注力するケースが目立つ。薬関連については「化学技術との親和性が高く、注力するのは自然な流れ」(業界関係者)という。事業拡張戦略の一つに据えるM&Aの価格高騰という課題もあるが、コロナ禍をきっかけに命や健康に対する価値観の高まりに伴って化学企業の活躍の舞台はますます広がりそうだ。有力メーカーの取り組みを紹介する。

東ソー

  • 分離精製剤、バイオ医薬用に注力
  • 遺伝子検査試薬 新型コロナ向け発売

JNC

  • ライフケミカル 事業部として独立
    クロマト充填材 ワクチン用に採用

三菱ケミカル

  • 有胞子性乳酸菌 海外展開を本格化
  • PVA、医薬添加剤用が好調

日本ゼオン

  • SGCNT、医療機器素材で注目
  • ウエラブル機器向け実用化

宇部興産

  • 高活性原薬を積極拡大
  • 20年代後半 核酸医薬原薬製造も

JSR

  • ライフサイエンス CDMO、CROに力
  • 医薬品 研究・製造受託を主導

トクヤマ

  • 歯科器材 新製品が大ヒット
  • 調光レンズ材 欧米で需要拡大

ダイセル

  • 保湿剤1.3BG 増産でシェアアップ
  • 腸内代謝物 女性サプリ向け強化

三洋化成工業

  • 医療機器 適用範囲拡大で成長
  • 30年 売上高100億円規模へ

三井化学

  • パーソナルケア材料 コト売り事業転換
  • バイオ製法でソリューション

クラレ

  • 歯科材料、顧客満足度を追求
  • デジタル化対応 欧米軸に海外拡大

日本触媒

  • 中分子医薬品原薬 受託製造を本格展開
  • 25年度 売上高100億円目指す

大倉工業

  • 感染防止システム 医療機関で採用進む
  • ワクチン培養製品 来年、量産開始

旭化成ファインケム

  • HPC、受託生産を新たな柱に
  • 国内唯一のOEB6が強み

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日本触媒・・・酸化グラフェン 本格事業化へ用途開発

量産化メド、品揃え拡充

日本触媒は、独自の液相酸化反応技術とプロセスエンジニアリングにより工業ベースの量産化を実現した酸化グラフェンの市場開拓に拍車をかける。水分散型、溶剤分散型、還元型(RGO)の3タイプを基本に新規グレード開発も進めており、機能性工業材料市場に向けたソリューション提案を加速。新事業・新製品の柱を担うキーマテリアルとして本格事業化を目指す。
酸化グラフェンは単層の炭素原子に酸素官能基を付与した厚さ約1㌨㍍の薄片で、数㌨㍍角レベルの面積を有する二次元材料。物性を調整することで優れた分散性や放熱性、透明性、潤滑性、導電性などさまざまな機能を発現する。抗菌・抗ウイルス性も確認されており、こうした特性を広範な工業分野に応用することが期待されていた。

  • 三菱ケミカル・・・樹脂コンパウンド、海洋性分解で認証
  • トクヤマ・・・パナソニックとFC実証開始
  • SABIC・・・樹脂複合材 カラー展開強化
  • AGC・・・バイオ原薬向け mRNAを新設
  • ポリプラスチックス・・・ガス焼けの原因 新評価法で解析
  • 三洋化成工業・・・PFIと新農業展開へ基本計画策定
  • 宇部MC過酸化水素・・・過酸化水素を値上げ
  • 積水化学工業・・・建築設備関連値上げ
  • 液晶ポリマー(LCP)・・・5G・車載で成長加速
  • エンジニアリング協会・・・今期受注高17.7兆円 横ばい予測
  • 塩ビ工業・環境協会・・・8月のPVC、VCMの生産・出荷
  • 日本ABS樹脂工業会・・・国内出荷30%増

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