
石油化学新聞 5501号(2026.9.28)
THE PETROCHEMICAL PRESS
- クラレ・・・PMMA、高付加価値へシフト 来春に高耐熱品量産
クラレはメタアクリル樹脂(PMMA)の高付加価値品シフトを推進する。開発を進めてきた特殊高耐熱グレード「クラルファ」の製品化を決定し、新潟事業所(新潟県胎内市)で27年春から量産化する。事業構造改革の一環で昨年停止したPMMA設備をクラルファの生産に転用する。競争環境激化のなかで、技術で差別化できる高付加価値品の拡販により収益の底上げを図る。 - 日本化薬・・・IJ用色素、フィルム用も来期投入 水系で産業用途拡大
- 三井化学・・・100日プラン R&D・DXで改革 利益貢献200億円目標
- 石油化学工業協会・・・安価な中国品輸入に危惧 政府に対応を要望
新 話題とその人

三つの政策課題に取り組む
経済産業省製造産業局 素材産業課長
下堀友数氏
「現職に着任後『まずは現場』と思い、千葉の石油化学コンビナートや熊本地震で被災した日本製紙・八代工場などを視察した。そこで目の当たりにしたのは製造現場のしなやかな対応力。石化コンビナートでは企業を超えたインフラ連携や設備能力の適正化を進めている。基礎化学品といえども連続運転を続けるなかで顧客の緻密なニーズに応じて多様なグレードを作り分けている。この柔軟さこそが日本のものづくり産業の真骨頂だと実感した」。
国産品「真の価値」訴求
経済安保・GX・競争力一律強化
夢・化学―21 化学の魅力を次世代へ!
主要化学4団体(日本化学会、化学工学会、新化学技術推進協会、日本化学工業協会)で構成する「夢・化学―21」委員会が主催する化学のイメージアップキャンペーン「夢・化学―21」事業は、化学人材の育成と確保を目的に、化学の啓発と化学産業の社会貢献を伝える活動を展開している。小学生を対象とした「夏休み子ども化学実験ショー」の開催や、YouTube「子ども化学チャンネル」での化学実験動画の配信などを通して、子どもたちの好奇心を刺激し、化学に興味関心を持つきっかけを提供している。「夏休み子ども化学実験ショー」は子どもたちだけでなく保護者にとっても化学の楽しさや重要性を再発見する場となっている。中高生を対象とした化学の実力コンテスト「化学グランプリ」には、今年も全国から将来の化学産業を担う俊英が集った。特に成績優秀者は翌年の「国際化学オリンピック」に日本代表として派遣され、世界各国・地域の同世代の若者と鎬(しのぎ)を削る。
25年の成績優秀者が参加した今年のウズベキスタン・タシュケント大会でも、代表生徒らは見事な成績を収めており、27年の台湾・台北大会に向けて弾みがついた。化学への入り口である体験イベントから、世界と競う大会まで、次世代人材を育む取り組みを着実に前進させている。中東情勢の悪化で石油化学産業がいかに生活に根差したものか実感として世間に浸透した今、化学の魅力を次世代に伝える「夢・化学―21」の取り組みは、ますます重要な役割を担っている。
- 「夏休み子ども化学実験ショー」 不思議さで関心育む 実験通して化学を身近に
- 各社楽しい教室を出展
- 夢中で工作に挑戦‼ 自らの手で化学反応体験
- 日本化学工業協会 橋本修会長 業界振興に重要な施策 練られた内容に感銘

「夢・化学―21」委員会の主催団体の一つである日本化学工業協会の橋本修会長(三井化学会長)は「夏休み子ども化学実験ショー」の会場を視察し、工夫を凝らした各社の実験ブースを高く評価した。「子どもたちが作ったグッズを持ち帰ることができて、家でまた家族と話せるようなプログラムになっていて、非常に化学への興味関心を刺激する内容に洗練されている。各社の努力に頭が下がる」と印象を語った。また来場者について「保護者の方々がお子さんをよく見られていることに驚いた。後ろから見守り、アドバイスするなど教育熱心で素晴らしいと感じた」と述べた。
橋本会長は自身の学生時代を振り返り「当時、化学は覚えることが多く、とっつきにくい印象を抱くこともあった」と述懐。「だからこそ今回のような機会を入り口として子どもたちに自然科学に興味を持ってもらい、さらに化学へ興味を深めてもらう流れが継続し広がっていくことが化学業界の振興にとって非常に重要」と改めて同イベントの意義を示した。【写真:実験ブースを視察する橋本会長】 - 「子ども化学チャンネル」自宅で可能な実験動画配信 人気ユーチューバーとコラボも
- 化学グランプリ 全国の若き俊英集結 化学の甲子園 世界めざし実力競う

中高生が化学の実力を競う全国大会「化学グランプリ」が今夏も開催された。毎年夏に開催することから「化学の甲子園」として認知されている。99年の第1回大会以来、国内の中高生の化学への興味・関心を喚起し、意欲・能力を高めて世界に通用する若い化学者を育成することを目的に運営されており、同大会での成績を総合型選抜(AO入試)や学校推薦型選抜で評価材料にしている大学もある。【写真:東京農工大学・府中キャンパスで行われた2次選考での集合写真】 - 夢・化学-21 国の育成戦略と合致 国際競争力強化に貢献

「夏休み子ども化学実験ショー」が小学生以下を対象に化学への入り口となり、中高生を対象にした「化学グランプリ」の開催と「国際化学オリンピック」への挑戦を通じて化学の最前線を担う次世代人材を育成・支援する。「夢・化学―21」はこれら入り口と最前線に向けた取り組みを時代に合わせて洗練させることで、化学人材確保の強化に貢献してきた。【写真:日本代表生徒を含む銀メダル受賞者の表彰の様子(IChOウズベキスタン大会公式ホームページより)】 - 国際化学オリンピック 日本代表 4人全員が銀獲得
タシュケント大会 ご当地問題も登場

7月10~19日の10日間にわたり、ウズベキスタンの首都タシュケントで第58回国際化学オリンピック(IChO)が開催され、93カ国・地域から高校生など363人が参加した。日本代表高校生は広島大学付属福山高校(広島県)3年生の上吹越結也さん、灘高校(兵庫県)3年生の岡添皇樹さんと東彦宏さん、京都市立京都工学院高校(京都府)1年生の宝田怜弥さんの4人で、全員が銀メダルを獲得した。日本は03年アテネ大会の初参加以来、全員のメダル獲得を継続している。【写真:IChO代表生徒4人と現地スタッフ(中央)】
- 国際メンデレーエフ化学五輪 初の遠隔参加で銅2
モスクワ大会 世界の最難関に挑戦

今年は4月15~23日の9日間、ロシア・モスクワ大学で開催された第60回国際メンデレーエフ化学オリンピック(IMChO)にもオンラインで参加した。
IMChOは、高校生が対象の国際化学コンクールとしては最難関と位置付けられる。長らく招待されていたものの、難易度の高さや参加国の少なさ、日本語で受験できなかったことなどの理由で参加を見送っていた。25年のブラジル大会から自国語での参加が可能になり参加国も増加したことから、初めて日本から生徒を派遣した。モスクワ大会は37カ国から161人が参加。日本の代表生徒は日本化学会が「夢・化学―21」委員会の支援を得て選抜し、筑波大学付属駒場高校(東京都)3年の野中亮汰さんと海城高校(東京都)の藤倉崇成さんが選ばれた。今回、日本はモスクワへ渡航せず国内から試験に臨み、両者とも銅メダルを獲得した。遠隔形式は今大会が初の試み。【写真:IMChOの代表生徒2人(右から2、3人目)と日本化学会オリンピック小委員】
