石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

東レ・・・炭素繊維複合材料 産業用販売を拡大

過度な航空機依存是正

東レは、炭素繊維複合材料事業でポートフォリオ改革を推進する。需要が好調な圧力容器、風力発電翼などの産業用途の販売を拡大し、従来の過度な航空機用途への依存を是正することで収益基盤を強化する考えだ。増産投資も進め、米国、韓国、フランスで25年半ばまでに産業用のレギュラートウ(RT)炭素繊維設備を相次ぎ増設する。メキシコでは風力発電翼向けラージトウ(LT)炭素繊維の再増設を検討する。

  • 積水化学工業・・・タイでCPVC増強へ 台湾のプラント管材導入も
  • 日鉄ケミカル&マテリアル・・・エポキシ樹脂、国都化学と連携拡大
  • 東レ・・・エンプラ、高機能品比率を拡大 コンパウンド増強も
  • 山本化成・・・過水製造用触媒を増強 25年4月完成
  • JSP・・・焼失の韓EPP工場を再建へ
  • 東レエンジニアリングDソリューションズ・・・コンクリ3D印刷 大成建設と新技術
三井化学・・・コア営業利益目標を射程に

モビリティとICT事業 今後も利益成長牽引 

EV化追い風に半導体実装を加速
三井化学がターゲット領域に位置付けるモビリティとICTの二つのソリューション事業が今後も同社の利益成長を牽引する。市場の変化に機敏に対応しつつ差別化・高機能戦略を一段と加速させる。自動車や半導体など今後、本格的な需要回復が見込まれるなか、少なくとも23〜25年度に至るコア営業利益目標の達成は射程に捉えたようだ。

<特集>持続可能な社会 に貢献 化学企 業の環境技術・ 製品

主要各社の取り組みと戦略
サステナブルな社会の実現に向けて、化学各社は革新的な環境対応技術の開発や環境負荷低減を実現する製品ソリューションの市場展開を加速させている。50年のカーボンニュートラル(CN)実現に炭素資源の循環利用は不可欠。炭素の取り扱いに長ける化学産業が総力を結集し、地球規模の課題解決に取り組むことが、素材の安定供給に次ぐ、新たな存在意義だ。今こそ化学のちからを発揮するとき。主要メーカーの取り組みを紹介する。

旭化成

  • ゴム・TPE 持続可能な体制整備
  • ISCC認証 年度内3拠点で取得

東亞合成

  • CNFを本格投入
  • 樹脂・ゴム補強材に好適

帝人

  • 集成材、炭素繊維で剛性アップ
  • スギの建築物有効活用促す

三菱ケミカルグループ

  • GX推進本部、CE、CN技術確立へ
  • 人工光合成など着実に進展

住友化学

  • SSS(トリプルエス、スミカ・サステナブル・ソリューション)売上高目標を超過達成
  • 新目標 30年度1兆2000億円に

三井化学

  • 軟包材、水平リサイクル進む
  • 幅広い協業で社会実装模索

積水化学工業

  • クラフトテープ、木材原料に環境貢献
  • 欧米市場 OPP製から転換狙う

クラレ

  • 活性炭、自然・生活環境向上へ
  • 世界をリード 再生炭も積極増産

THE PETROCHEMICAL PRESS

ダイセル・・・ポスト5G樹脂

超低誘電と難燃両立

ダイセルは熱硬化性樹脂としてトップレベルの低誘電特性と高い難燃性(樹脂単独でUL94・V―0相当)を両立した新樹脂を開発した。ラジカル重合による二重結合のポリマーで高分子量タイプは10㌐㌹で誘電正接(Df)0・0009、誘電率(Dk)2・65を実現。低分子量タイプも揃え、いずれも多くの競合樹脂を上回る難燃性、耐熱性を兼備する。ポスト5Gを照準に、密着剤や密着技術を持つパートナーと連携して顧客への提案を強化する。

  • ポリプラスチックス・・・LCP新グレード 低誘電・低ソリ
  • 稲畑産業・・・樹脂コンパウンド 東南ア4工場を刷新
  • 東ソー・・・MIセンター始動 研究開発を効率化
  • 帝人フロンティア・・・スポーツ衣料用ニット スパン調で伸縮性も
  • ダイセル・・・耐熱接着剤 低温硬化、塗布良好
  • 三井化学・・・体温感知する素材 ワコール新製品に
  • ランクセス・・・ベンジルアルコール 北米で生産能力倍増
  • 三菱ケミカルグループ・・・エポキシフィルム拡大、機能で付加価値提案
  • 積水化学工業・・・環境・ライフライン 海外市場を開拓
  • 東レ・・・車載コンデンサー用OPPフィルム増設
  • 化学など44社WG・・・物流24年問題に対応
  • レゾナック・・・電炉ソリューションメキシコ企業を買収
  • 出光興産・・・液状ゴム子会社10月に吸収合併
カネカ・・・「おもちゃ箱」から革新技術

地球生命を救え

日本の化学業界でパーパス経営を重視する動きが広がっている。自社の存在意義を明示し全社で共有して社員のエンゲージメントを高め、持続可能な発展を期す狙いだ。
カネカは人口爆発や大量絶滅、気候変動など地球規模での課題のほとんどは人類がもたらした害悪と捉え、今まさにそれらのリスクを軽減しなければ破滅を迎えると危機感を募らす。そのうえで「地球とそこに住むすべての生命は一つの源流。『生きるとは化学反応』と捉え、地球生命を救う化学のイノベーションをカネカのおもちゃ箱(ハイブリッド技術・製品)から創出し早期に社会実証する」ことをパーパスと規定する。命の経営の実践だ。

  • 東レ・・・ガラス繊維強化PPS、リサイクルプロセス 欧州子会社が確立
  • 積水化学工業・・・CCU実証 目標前倒し達成
  • 化学製品値上げ
    ・三洋化成工業・・・界面活性剤とPEG
    ・カネカ・・・太陽電池を20%
    ・クラレ・・・ポリオール3種
  • 日本ソーダ工業会・・・2023年4月カセイソーダ出荷内訳
  • 日本ABS樹脂工業会・・・ABS樹脂の5月国内出荷
  • 発泡スチレンシート工業会・・・2023年5月のPSP出荷実績

最近の記事一覧石油化学新聞一覧