石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

ダイセル・・・電材用溶剤 新系列含め増産検討

今期中に意思決定へ

ダイセルは、半導体やディスプレイなどの世界的な需要増に対応し、その製造工程で用いられる溶剤の増産体制を検討中だ。今期中には新系列増設を含めた大竹工場(広島県)での投資計画を意思決定し、増産に着手する考え。特にMMPG(メトキシプロパノール)、MMPGAC(1―メトキシ―2―プロピルアセテート)は原料からの一貫生産メーカーが世界でも同社だけとされることから、電子材料向けを中心に品質面などへの評価が高い。増産をステップとし、市場での存在感をさらに高めていく方針。
同社は高沸点、低毒性で環境にやさしいといった特徴を備えるMMPG、MMPGACやメトキシブチルアセタテートなどの溶剤を保有し、その高純度化や機能付与によってLCDをはじめとするディスプレイの高精細化や半導体の微細化、多層化などを支援している。

新 話題とその人 伊澤一雅氏 グリーンケミカル社会実装の司令塔に

三井化学執行役員基盤素材事業 副本部長兼企画管理部長兼グリ ーンケミカルグループリーダー

「橋本(修)社長からは『社会実装の司令塔たれ』とハッパをかけられている。おこがましい気もするが、単なる調整役では凄味がない。社内外の幅広い情報を共有化し、現時点で最善と考えられることをしっかり進めていく。バリューチェーン全体でのG H G 削減、いわばスコープ3部分で貢献を果たすことが当グループの活動領域だ」。
三井化学は今年4月、基盤素材事業本部にグリーンケミカルグループを新設した。6人体制の小集団だが、長く営業の現場に携わってきた伊澤さんを筆頭にプロセスエンジニアからポリマー開発、触媒研究、ナフサ調達など、各分野のプロフェッショナルが集結した。現在、顧客や商社、物流会社、事業提携先など幅広いステークホルダーと議論を深めている。
「顧客からはバイオマ材料やリサイクル原料について、品質やコストも含めて『何が出来るのか、どう変わるのか』といった関心が寄せられている。皆がベストな解決策を模索しているなかで業界は動き始めている。正解は一つではなく、いろいろなやり方はあるはず。今はともに考え、意見交換しながら行動を起こすことが重要だと考えている」

  • 三菱ケミカル・・・LIB電解液、欧米中で車載用増強 中国は新負極材も新設。LIB用新スペーサーを開発 9月に車載用で実用化
  • クラレ・・・次期中計、新事業創出へ組織改革 CO削減にも重点

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昭和電工・・・廃プラを石化原料に

カーボンニュートラル 2段階で挑戦

昭和電工はGHG(温室効果ガス)削減に向けて30年までのステップ1と50年のステップ2の2段階でカーボンニュートラル(GHG排出実質ゼロ)に挑戦するロードマップを策定した。7月末発行の統合報告書に合わせて方針決定したもので、昭和電工マテリアルズとの経営統合プロセス(PMI)と併せて、サステナブルな取り組みにも拍車をかける。注目すべきは廃プラケミカルリサイクルの拡充で、エチレンなど石化基礎原料製造に原料として活用する新たなプロセス検討を加速することを明示した点だ。

  • 日本化薬・・・半導体製造用特殊装置の増産検討 子会社で人員強化も
  • カネカ・・・4~6月は勢い継続 生分解性樹脂投資、最終検討段階に
  • ブリヂストン・石橋秀一CEO・・・「強いブリヂストンへ」稼ぐ力を再構築
  • 大倉工業・・・光学フィルム増設完了 世界最大幅 パネル大型化に対応
  • NEDO・・・バイオマスタイヤ試作、、「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト(超超PJ)」横浜タイヤなどと
  • 旭有機材・・・樹脂バルブ、海外企業と協業検討 汎用分野で体制強化
  • クラレ・・・銅張積層板、鹿島で5G用増産へ EVOHは来年決定

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日本化薬・・・IJ用色素 産業用回復で好転

オンデマンド需要増

日本化薬は、コロナ禍で低迷していたインクジェット(IJ)プリンター用色素の産業用途が復調してきたことを受け、コンシューマー用途を含め同色素の拡大を加速させる。同製品はコロナ禍を機に減少傾向にあったコンシューマー用途が復調する一方、拡大に注力してきた産業用途が低迷し、明暗を分けていた。産業用途は低迷していた衣料用、オフィス用がここにきて好転してきており、市場の拡大を支援して持続的成長につなげていく。
産業用途のうち、衣料用は消費者の購買意欲向上やマスク向けの拡大などで回復し、オフィス用はダイレクトメールなどに使うオンデマンド印刷の拡大を見据えて印刷機メーカーが投資を積極化させるなど、需要が好転してきた。必要なものを必要なだけプリントアウトするオンデマンド印刷の裾野も広がる方向にある。

  • DIC・・・1~6月、全部門が増収増益 PPSなど牽引
  • AGC・・・化学品3事業好調 東南アジア、塩ビの値差拡大
  • ENEOS・・・既存の精製装置使いMCH脱水素実証へ
  • カーボンブラック協会・・・2021年カーボンブラック需要年央見通し
  • 日本ソーダ工業会・・・6月のカセイソーダ出荷内訳
  • 日本ABS樹脂工業会・・・7月国内出荷、8ヵ月連続プラス
  • ポリオレフィルム・・・原料続騰で追加上げ
  • 化学製品値上げ
    ・旭化成・・・BRやSBR
    ・住友化学・・・LCPコンパウンド

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東洋紡・・・PETフィルム 工業用、宇都宮で増設

MLCC向け薄物 

東洋紡は宇都宮工場(栃木県)で工業用PETフィルム設備を増設する。年内に意思決定し24年に新設備を稼働する予定で、年産能力を2万㌧増の5万㌧に引き上げる。需要が好調な積層セラミックコンデンサー(MLCC)製造工程用離型フィルムなどに使う薄物フィルムを増産する。
国内3工場を最適化
宇都宮工場は帝人のフィルム事業子会社だったが、東洋紡が19年10月に帝人のフィルム事業を買収して取得した。同工場はPETフィルムの巻き取り工程前に離型層をインラインで塗工、原反から離型フィルムまで一貫生産しており、今回の増設で離型フィルムの増産にもつなげる。

昭和電工・・・実質統合を1年前倒し

7事業売却でコスト減

昭和電工の森川宏平社長は記者会見で経営統合や事業戦略の進捗状況を説明し、昭和電工マテリアルズ(SDMC)との統合プロセス(PMI)について「当初計画から1年前倒しして来年1月に実質統合を完了させる。世界で戦い持続可能なグローバル社会に貢献する会社としての経営組織体制を整備し、23年1月の法人格の完全統合につなげる」と語った。
両社はこれまで合同経営会議やコーポレートR&Dでの融合製品開発研究を中核とした新事業創出シナジーの検討、管理部門を中心とする情報共有化などを進めてきた。今年2月には事業統合シナジーの象徴とも言える新組織、機能材料事業本部の設置に向けた準備室を立ち上げ、7月に事業本部設置準備室とグループCXO設置準備室を発足させている。

  • DIC・・・顔料事業、C&Eとシナジー 質的転換を加速
  • ダウ・・・オールPE積極提案 多層フィルム向け
  • 東洋紡・・・ポリオレ接着付与材、高砂工場で増強検討
  • クラレ・・・タイのイソプレン、新工場22年末稼働
  • 東ソー・・・遺伝子検査試薬を増産 コロナ向けなど拡販
  • 帝人・・・CO排出減に拍車 石炭火力廃止、再エネ利用拡大
  • 東洋エンジニアリング・・・プライムポリマーから高機能PP受注
  • 横浜ゴム・・・インドで建設中のOHT工場 2期工事を追加実施
  • 村田製作所・・・守山に研究開発施設

 

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