石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

クラレ・・・LCPフィルム 5G向け拡大へ増産

23年モデル対応睨み

クラレは、5G対応のフレキシブル基板向けとして、低誘電材料である液晶ポリマー(LCP)のフィルム「ベクスター」と、これをベースとしたフレキシブル銅張積層板(FCCL)で拡大する需要を取り込む。FCCLは昨年後半に鹿島事業所(茨城県)へ量産試験設備を導入しており、さらなる増設やフィルムの生産能力増強も視野に入れながら、5G対応が本格化するスマホなどの23年モデルには需要急増へ対応できる体制を整備する考え。また、FCCLでは接着層を必要としない2層タイプの開発も推進していく。

  • 日本化薬・・・新事業創出を加速 研究開発組織再編 社外との連携も強化
  • 宇部興産・・・環境貢献の新事業を 30年度に売上比5割へ
  • DIC・・・ドイツBASFから顔料事業の買収完了 事業基盤強固に
  • 東レ・・・欧州の研究をオランダに集約 CFRP、航空機・車向け強化
  • 東レ・・・樹脂拡販へ ドイツに技術センター開設
  • ベンゼン・・・ACP、6年8ヵ月ぶり1000㌦超
  • 東邦化学工業・・・半導体加工用樹脂、千葉に年末完成で新設備
  • 三菱ケミカル・・・MMA、国際供給網を高度化 新システム、原料調達、製品需要も加味

18年にサウジアラビアで稼働したアルファ法MMA設備。グループトップのコスト競争力だ

三菱ケミカルは、昨年運用開始したメチルメタクリレート(MMA)のグローバルサプライチェーンマネジメント(SCM)システムを高度化する。新たに上流の原料調達や下流の製品需要の情報もシステムに取り入れ、22年に最終形に仕上げる。世界10カ所にあるMMA生産拠点で製品供給網を最適化し、収益の最大化につなげる。三菱ケミカルグループのMMA生産拠点は日本、中国(2カ所)、台湾、韓国、タイ、シンガポール、米国、英国、サウジアラビアにある。生産能力は10工場合計で年170万9千㌧と世界トップの約40%のシェアを誇る。原料が異なるC法、ACH法、アルファ法の3製法を保有することも強みだ。グローバルSCMシステムは、数理最適化技術を活用したもの。保有する三つの製法の原料価格や各地域の需給状況、在庫、物流の情報などをリアルタイムで把握し、月ごとに最適な設備の稼働計画を立案できるようになった。

<特集>社会課題の解決に向けR&D加速

技術トップに聞く化学各社の戦略〈上〉
化学各社は次世代高速移動通信システムの普及、自動車のxEV化、より健康で快適・衛生的な暮らしといった社会ニーズの変化を敏に捉え、事業成長とポートフォリオ高度化を図るための研究開発を加速させている。収益が堅調にあるなか、新たな経営戦略で研究開発資源を拡充する企業も多い。一方、気候変動問題に対して国として30年に13年比46%削減という明確なGHG(温室効果ガス)削減目標が示されるに至り、この問題や炭素循環に関する基礎研究の重要性は飛躍的に高まった。エネルギー多消費型産業である化学業界にとってこの課題は、もはや中長期的視点ではなく生き残りを賭けた短期決戦で解決の糸口だけでもつかむ必要が出てきた。地球規模の難題に果敢に挑戦する大胆なシフトチェンジが始まった。化学が実現を目指す新たな世界に期待が寄せられるとともに、社会実装に向け多方面にわたる連携がカギとなる。大転換の時代に化学の企業研究にあるべき姿とは何か。目指すべき方向は。主要化学各社の研究開発トップに話を聞いた。

前田浩平 代表取締役兼執行役員副社長

三洋化成工業
アグリ・ニュートリション分野 ペプチド農業で参入
CCUS イオン液体に再注目

井口雄一朗
上席執行役員研究本部長

東レ
研究所と事業本部 連携・共創より強く
海外拠点の機能拡充検討

山田正幸 取締役常務執行役員研究企画部長(肩書は取材時、6月29日付でオルガノ取締役専務執行役員)

東ソー
東京研究センター 事業領域拡大へ拡充
バイオサイエンス開発強化

豊嶋哲也
常務執行役員研究開発本部長

日本ゼオン
差別化推進 既存事業を〝磨き上げ〟
外部連携 多元化・多重化へ

勝亦徹
常務執行役員研究開発本部長

ポリプラスチックス
ダイセルの完全子会社に 競争力向上へシナジー
新規事業 長繊維強化やPEKを

木村徹
執行役員CTO・研究開発部長

JSR
DS事業 LS事業、コアとして成長加速
イノベーション強化 新ビジネス創出も

白石明彦
執行役員研究開発部長

タキロンシーアイ
コア技術さらに深化
モビリティー・リサイクル、協業体制確立へ

THE PETROCHEMICAL PRESS

  • 発泡スチロール協会(JEPSA)・・・初の実態調査 EPS、長期使用率3割
  • 昭和電工・・・異種材料、フィルムで接合 サンプル供給開始
  • ダイセル・・・ポスト5G技術に力 NEDO先導研究に
  • 東亞合成・・・医療用高分子会社に出資 ヘルスケア拡充
  • 旭化成・・・CO2由来EC技術供与開始
  • 信越化学工業・・・群馬事業所、シリコーン製品増産
  • 三井化学・・・日立のMI技術、材料開発に適用 実証開始
  • 三洋化成工業・・・フォーム用ポリオール、低反発と通期性両立 加工性も向上
  • フタムラ化学・・・バイオマスOPP、マスバランスで生産
  • ピエクレックス・・・咀嚼で抗菌性発現 圧電繊維製マスク
  • 財務省貿易統計・・・2021年5月石化品輸入実績、2021年5月石化品輸出実績
  • 日本化学繊維協会・・・化学繊維協竹内新会長 「持続可能な社会に貢献」
  • エンジニアリング協会・・・エンジ協 山東新理事長が抱負 「エンジ業の魅力発信」
  • ダウとシェル・・・電熱分解炉、25年に試験設備 オランダ政府から補助金
  • テラドローン・・・シェル製油所タンク 超音波使い内部点検
  • 化学製品値上げ
    ・旭化成・・・PCDを15%
    ・カネカ・・・変成シリコーン
    ・三井化学・・・不織布を40円以上
    ・サンディック・・・OPSを27円以上
    ・DIC・・・共押出多層フィルム
    ・JSP・・・PSPを27円以上
    ・デンカ・・・OPSなどシート
    ・三菱ケミカル・・・OPSを27円以上

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