
石油化学新聞 5479号(2026.4.13)
国内ナフサクラッカー 3基 定修終え再稼働
原料調達に各社尽力 夏場は4基が停止
石油化学の基礎原料ナフサの調達難から、春の定期修理期間を延長していた国内ナフサクラッカー3基が相次ぎ稼働を再開する。石化センター各社は中東以外の地域からの調達に尽力。プラントは低稼働ながらエチレンなど基礎素材の供給責任を果たしている。今後は夏場の定修に向けて4基のクラッカーが操業を停止する。基礎素材の供給が再び細るなか、稼働プラントは原料確保と誘導品需要を注視しつつ適切な生産活動を継続する。

定修を明け再稼働した京葉エチレン
新社長インタビュー 三洋化成工業 原田正大氏

界面制御で課題解決
利益成長30年度までに形に
「当社の製品は、すべて界面ではたらく。材料や分子の間に入り込み、繋いだり離したりさまざまな機能を発揮する。当社も製品だけでなく人と人、会社と会社、異業種さえもつなぐ存在でありたい」
原田さんは社長交代の記者会見で「界面でイノベーションを起こす」と語った。その真意は今ある材料に新たな機能を付与することだけでなく、それが新製品となり、新事業へと持続的に発展する。しかも顧客と密接なパートナーシップを構築し、ともに成長を目指すことにあるようだ。 とは言え、材料メーカーが需要業界の御用聞きに甘んじることは多々あること。しかし、原田さんは「顧客が気付いていない先にあるニーズを提案することに勝ち筋がある」と断言する。豊富な界面制御の技術とノウハウを組み合わせることで顧客の課題解決を図るのだという。
- 東レ・・・炭素繊維の収益力強化 航空機や宇宙・防衛用
- タキロンシーアイ・・・三田総合研究所オープン 技術集約 事業創出を加速

タキロンシーアイは9日、兵庫県三田市テクノパークに「三田総合研究所」=写真=を開所した。構想着手から約2年を経て稼働する同研究所は、分散していた研究開発機能を集約し、開発の迅速化と技術融合を図る中核拠点と位置付ける。
開所式には来賓や関係者ら45人が出席した。福田祐士社長は、研究所のビジョン「素材と知の協創で新たな社会基盤を築く」を掲げ「成形加工技術と機能性材料技術を掛け合わせ、社会課題解決に取り組む」と述べた。同研究所はグループ内のナノテクノロジーや機能性コンパウンド関連技術を集約し、成長分野の開発基盤を強化する。グループの技術ハブとして人材交流や共同開発を促進、オープンイノベーション拠点として産産・産学連携を推進し新事業の創出を加速させる。 - 三井・ケマーズフロロプロダクツ(MCF)・・・次世代冷媒を拡販 環境規制追い風に
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- 三菱ケミカル・・・LIB向け新素材拡販 熱制御部材とケース用複合材

三菱ケミカルは、二つの車載リチウムイオン電池(LIB)向け新素材を拡販する。車載LIBの安全性向上につながる素材として売り込み、生産能力増強も検討する。
新素材の一つは、LIBのセルとセルの間に入れる熱制御部材(スペーサー)「THERMINSYNX(サーミンシンクス)」。液体を含浸したシートを封入したパウチ状の材料で、通常時はLIBの熱を逃がし、ショートなどでセルが異常な高温になると液体が断熱材に変わり熱を遮断するスイッチング効能を持つ。電動車の安全性向上に寄与する材料として評価され、まずは欧州の顧客に採用されたほか、複数の顧客で性能評価の段階にある。生産は茨城県牛久市の工場で行っており、将来は需要増に伴い外部委託も含め生産能力の増強を検討する。【写真】車載LIBの安全性向上に寄与する熱制御部材 - 東洋紡エムシー・・・網状繊維構造低反発性寝具クッション材開発

東洋紡エムシーは、三次元網状繊維構造クッション材の低反発タイプ「ナインスクラウド」を開発した。寝具向けなどに展開する。ナインスクラウドは、東洋紡エムシーの従来の三次元網状繊維構造クッション材「ブレスエアー」と同様の構造を持ちながら、網状繊維を芯鞘構造とし、その芯部に低反発の熱可塑性ポリエステルエラストマー「ペルプレン」を、鞘部に高耐久性のスチレン系エラストマーを配したもの。ブレスエアーと同様に水で洗えるため清潔に使用で、通気性に優れムレにくいといった特徴はそのままに、体に寄り添うような柔らかなクッション性を実現した。【写真】ナインスクラウド断面 - 中央化学・・・ブランド刷新 低価格品など追加 環境型容器の拡販強化

中央化学は、環境配慮型バイオマス容器「CHB Re:kra(リクラ)」と紙製容器「SKSシリーズ」の拡販戦略を強化する。CHBはブランド名を刷新し、SKSは低価格品を追加する。展示会や提案活動を通じて市場への浸透を図り、採用拡大を狙う。
リクラは24年12月に上市した。主原料に植物由来のでんぷんを50%配合しており、プラスチック容器包装の対象とならず、燃えるごみとして処分できる。日本有機資源協会のバイオマスマークを取得し、商標登録も完了した。 - 島津製作所・・・微小圧縮試験機を発売 業界初の多点連続測定
- 三菱ガス化学・・・海底からメタン連続回収 日本海で実験成功

三菱ガス化学は、九州大学と共同で日本海海底から自然に湧出する柱状の気泡群「メタンプルーム」を対象にしたメタンガスの連続回収実験に成功した。両者の研究チームは気泡捕集器、揚収管、水中ポンプ、気液分離器などの装置で構成されるガス回収システムを設計・製作し、新潟県佐渡北東沖の水深約150㍍のメタンプルームの湧出地点でガスの直接回収実験を実施。連続的なガス回収に成功し、その成分分析を実施した結果、主成分がメタンガスであることを確認した。その成果を日本エネルギー学会誌に3月31日付で公開した。【写真】海底からメタンを回収する様子 - 帝人フロンティア・・・ポリエス素材との高親和性伸縮原糸を開発

帝人フロンティアは、高機能ポリエステル素材と高い親和性を発揮するストレッチポリエステル原糸「レクセ」を開発した。アウトドア・スポーツ衣料向けに同社の高機能ポリエステル素材とレクセを組み合わせたテキスタイルを27年度に発売し、初年度に10万㍍、29年度に50万㍍の販売を目指す。レクセを他の高機能ポリエステル素材と組み合わせることで、ポリエステル同士の高い親和性を発揮し、その素材の持つ吸汗速乾性や耐久撥水性などの高機能性を高次元で保ちながら、優れたストレッチ性能も有するポリエステル100%のテキスタイル開発が可能となる。【写真】「レクセ」を使用したテキスタイル - 住友化学など・・・自動運転で化学品を商用輸送 高速道路使い業界初

住友化学はグループ会社の住化ロジスティクスと物流テクノロジースタートアップのT2の3社共同で、国内化学業界で初めてとなる自動運転トラックによる化学品の商用輸送を開始した。T2が開発したレベル2(運転者の監視のもと特定条件下での自動運転)自動運転トラックを用いて合成樹脂などの化学品を定期輸送する。【写真】自動運転トラックで合成樹脂を商用輸送 - 三井化学・・・世界初、胆汁連続排泄可能デバイスを開発
- 住友化学・・・フォトレジスト技術棟を大阪工場に新設
- 三井化学ファイン・・・英社とヘアカラー染料分野で提携
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- 米VCペガサスウッザマンCEO・・・事業開発、「新興と協業を」最良の技術 短期・低リスクに
「新事業・新技術・新製品開発の最善の方法はスタートアップとの協業にある」。こう強調するのは米ベンチャーキャピタル(VC)、ペガサス・テック・ベンチャーズのアニス・ウッザマン創業者兼CEO。
日本の大企業は自前主義の傾向が強いが、ここ10年でスタートアップに投資するコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を持つ企業は少しずつ増えている。ペガサスは大企業と「二人組合」という形式でファンドを組成し、企業とグローバルのスタートアップを戦略的につなげる活動をしている。現在約40のファンドで約3千億円の資産を運用しており、300件以上の連携に結び付けた実績がある。参画する日本企業は20社ほどで素材科学系ではデンカや日本特殊陶業、artience、三菱マテリアル、帝人、太陽ホールディングスなどがある。 - 化学品ワーキンググループ・・・物流安全・適正化へリーフレット作成
- 財務省貿易統計・・・25年のプラスチック14品目合計の輸出量
- 日本化学繊維協会・・・2月の合成繊維生産・在庫量
- カーボンブラック協会・・・2月のカーボンブラック実績
- 積水化学工業とニコン・・・オルガノイドで共同研究を公募
化学製品値上げ
・ランクセス・・・イオン交換樹脂と関連製品を6~8%値上げする。全世界の顧客を対象に即時適用する。
・帝人フロンティア・・・7日出荷分からポリエステル繊維( 長繊維、短繊維)、紡績糸、不織布を20%以上、テキスタイルを15~25%値上げする。
・東レ・・・合成繊維や不織布を今月出荷分から値上げする。上げ幅はナイロン6長繊維と短繊維、ナイロンBCF糸が1㌔㌘100円以上、ナイロン66長繊維と短繊維が20円以上、ポリエステル長繊維と短繊維、ポリエステル長繊維不織布が50円以上、ポリプロピレン長繊維不織布が60円以上、アクリル短繊維が110円以上。
・クラレ・・・ポリビニルアルコール(PVA)樹脂を9日出荷分から1㌔㌘70円以上(アジアパシフィック、中東、アフリカ向けは0・5㌦以上、北米・中南米向けは0・3㌦以上、欧州向けは0・5ユーロ以上)値上げする。
・旭化成・・・10日出荷分からHDI系イソシアネートとポリカーボネートジオールを1㌔㌘150円値上げする。
・クラレ・・・イソプレンケミカル5製品(イソプレノール、シトラール、プレノール、イソバレラール、イソプレングリコール)を13日出荷分から世界で平均20%値上げする。
・日本エイアンドエル・・・SBR系、NBR系、MBR系、VP系ラテックスを13日から1㌔㌘150円以上値上げする。
・DIC・・・エポキシ樹脂と硬化剤を15日納入分から値上げする。上げ幅はビスフェノールA型が1㌔㌘170円以上、ビスフェノールF型が180円以上、ノボラック型固形が150~200円以上、DCPD型固形が260円以上、臭素系難燃型・難燃剤が210~280円以上、ノボラック系硬化剤が160円以上、ポリアミド・ポリアミン系硬化剤が220円以上、その他対象製品が180円以上。
・ジェイ・プラス・・・フタル酸系可塑剤を20日納入分から1㌔㌘60円以上値上げする。対象はDOP、DINP、DOTP、DIDP。
・オリン・・・エポキシ樹脂と主原料エピクロルヒドリン(ECH)を16日納入分から値上げする。3月に続く値上げで上げ幅はECHが1㌔㌘50円、エポキシ樹脂はビスフェノールA型液状・固形タイプが60
円、溶剤カット樹脂が60円、臭素化エポキシが70円、その他の特殊エポキシが60円以上。
・KHネオケム・・・主要取り扱い製品を20日納入分から値上げする。上げ幅はオキソ誘導品や溶剤、1・3ブチレングリコールなどが1㌔㌘70円以上、グリコールエーテル類が88円以上、ジオール類が94円以上、オクタンジオールが130円以上、2―ペプタノン(MAK)が160円以上。
・東洋紡・・・包装用フィルム8製品を21日納入分から値上げする。上げ幅はOPPが1立方㌢㍍0・12円、CPPとLLDPEが0・175円、PET(厚さ12㍈換算)が1連(500平方㍍)700円、ONY(厚さ15㍈換算)が1千円、透明蒸着フィルムノンコート品(厚さ12㍈換算)が900円、同コート品(同)が1300円、熱収縮ポリエステルフィルム(厚さ30㍈換算)が1500円。
・トクヤマ・・・クロロメタン類(塩化メチル、メチレンクロライド、クロロホルム、メタクレン、四塩化炭素)を21日出荷分から1㌔㌘ローリーで50円以上、ドラム・缶で55円以上値上げする。
・DICグラフィクッス・・・リキッドカラー製品を21日納入分から30%以上値上げする。対象はグラビア・フレキソインキ、接着剤、製缶用塗料、金属インキなど。
・グンゼ・・・包装用2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(厚さ20㍈換算)を21日出荷分から1連(500平方㍍)1200円以上値上げする。
・グンゼ・・・フィルムとシート製品を順次値上げする。上げ幅は21日出荷分から包装用ナイロンフィルム(厚さ15㍈換算)を1連(500平方㍍)1千円以上、工業用オレフィンシートを15%以上。5月1日出荷分から包装用ナイロンチューブを30%以上、ラベル用収縮フィルムはポリスチレンを1㌔㌘120円、ハイブリッドスチレンを105円、ポリエチレンテレフタレートを80円、オレフィンを120円。
・ユニチカ・・・工業用PETフィルムと同離型フィルムを21日出荷分から1㌔㌘100円以上値上げする。
・デンカ・・・21日から食品包材用スチレン系シートと2軸延伸ポリスチレンシート(BOPS)を1㌔㌘100円以上、電子包材用シートを90円、同カバーテープを1平方㍍6円値上げする。
・東ソー・・・エチレンアミンを21日納入分から値上げする。上げ幅はエチレンジアミンとジエチレントリアミンが1㌔㌘60円以上、ピペラジン、アミノエチルピペラジンが80円以上、その他全グレードが70円以上。
・東ソー・・・クロロプレンゴム(CR)を5月1日出荷分から1㌔㌘80円以上値上げする。
・三井・ケマーズフロロプロダクツ・・・は5月1日出荷分から環境冷媒製品を10%、特殊溶剤製品を20%値上げする。
・東洋紡エムシー・・・ポリエステル長繊維不織布、ポリエステル短繊維、各種フィルター製品、三次元網状繊維構造体を5月1日出荷分から20%以上値上げする。子会社のユウホウも短繊維不織布と各種フィルター製品を同様に値上げする。
・東洋紡エムシー・・・超高強力・高強力ポリエチレン(PE)繊維を5月1日出荷分から5~10%値上げする。
・東洋インキ・・・強力・高強力ポリエチレン(PE)繊維を5月1日出荷分から5~10%値上げする。
・日本化薬・・・エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤、アクリル酸エステル樹脂を5月1日納入分から1㌔㌘30~300円値上げする。
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- 三井化学・・・林田博巳常務執行役員に聞く
L&HC 30年度目標達成視野 ビジョンケア・農薬
コア事業で成長加速 歯科材 改革効果、今期から発現
三井化学のライフ&ヘルスケアソリューション(L&HC)領域は、コア事業を中心に安定成長が続く。メガネレンズ材料と農薬はM&Aで事業を拡大し、グローバルで存在感を高める。第3の柱の創出はメディカル分野でオーラルケアの構造改革にメドが立ち、検査・診断も事業基盤を固めつつある。これらにより、21~30年度の長期ビジョン目標の達成が視野に入る。林田博巳常務執行役員L&HC事業本部長に戦略を聞いた。
―長期ビジョンの手応えは。
コア事業であるビジョンケアや農薬を中心に成長してきた。26年度から後半に入り、成長投資を継続するとともに、第3の柱となるメディカル分野で事業の選択と集中を進める。最大市場の米国ではアントニオス・グリゴリオ氏を副本部長に任命し意思決定を迅速化した。
全社戦略に沿って研究と開発を分離し、事業本部内に開発機能を取り込んだ。開発と営業が一体化することで、市場の声を反映した製品の上市やソリューションの提供につなげる。
- デュポン・スタイロ・・・XPS、防蟻保証2倍に延長 独自機能で全国展開
- 東洋紡・・・5ヵ年中計 営業利益450億円に 成長投資の成果実現
- 日本化薬・・・ドローン安全装置、世界で市場拡大 35年に売上高60億円
- 東洋紡・・・命と世界の役に立て 新スローガン策定
- トクヤマ・・・太陽光パネルカバーガラス 水平リサイクル実証に成功
- 日本ゼオン・・・エンジニアリング2子会社を統合 7月
- 東洋スチレン・・・デンカ七井氏が新新長に就任
東洋スチレンの社長に親会社デンカの七井正成ポリマーソリューション部門副部門長が1日付で就任した。石塚賢二郎社長は退任した。社長交代は22年10月以来3年半ぶり。
七井正成(なない・まさなり)氏 91年明治大学経営学部経営学科卒、電気化学工業(現デンカ)入社。23年ポリマーソリューション部門副部門長。58歳。
