プロパン・ブタンニュース

総合面

LPガスは今後も不可欠でエネ供給の最後の砦(資源・燃料分科会報告書)

災害時備蓄拡充へ支援継続

総合資源エネルギー調査会資源・燃料分科会(分科会長=隅修三・東京海上日動火災保険相談役)は4月23日に第32回会合を開催し、資源・燃料政策の課題と対応の方向性をまとめた報告書案を承認した。LPガスについては引き続き「国民生活・経済活動に不可欠」「石油とともにエネルギー供給の『最後の砦』」と位置づけ、平時や緊急時にも対応できる強靱な供給体制確保の重要性を明記。具体的な対応として、備蓄日数の維持とともに、避難所などでの自衛的備蓄や中核充填所の新設・機能拡充への支援を継続する方針を掲げた。

  • 春の叙勲、葉梨益弘氏・杉岡芳樹氏らに栄誉 社会貢献讃える
  • 容器流出防止で保安規則など改正へ 浸水には収納庫や固定金具など求める
  • 2020年12月末の販売事業者1万7170者に 45都道府県で433減
  • アストモスが佐川急便と災害協定 相互の物流網を生かす
  • 5月サウジCP、プロパン65ドル安の495ドル・ブタン475ドルに
ENEOSグローブ・岩井清祐社長に聞く

10周年、新時代へ決意新た

ENEOSグローブ(本社・東京、岩井清祐社長)が3月1日で設立から10周年を迎えた。設立10日後に東日本大震災という未曾有の大災害を経験したが、安定供給・競争力強化と時代に見極めた販売戦略で、特約店とともに難局を乗り切ってきた。足元では少子高齢化などに伴う需要の維持と引き上げを図る一方、温室効果ガス対策の強化や新型コロナによる新常態での事業展開へ体制を強化しつつある。岩井社長に成長の軌跡と今後の展望を聞いた。
―10年を振り返ってください。
当社はENEOS(当時JX日鉱日石エネルギー)がLPガス事業を分割し、三井丸紅液化ガスと統合して、わが国トップクラスのLPガス元売事業者を目指し、2011年3月1日に設立され、そのわずか10日後の3月11日には東日本大震災が発生するという大混乱のなかで新会社がスタートした。
設立後は海外拠点としてアブダビとシンガポールに事務所を開設し、また販売子会社ENEOSグローブエナジーを設立するなど、輸入から国内小売販売までの強固なサプライチェーンを確立した。
国内では、オール電化の攻勢も含めたLPガス需要減少、電力・都市ガス自由化への対応など、多くの課題に直面した転換期ではあったが、お陰さまで設立10周年を迎えることができた。これもひとえに特約店をはじめ販売店、取引先など当社と取引いただいているすべての皆さまの支援の賜物と心から感謝を申し上げる。

中核充填所補助金、9者16カ所を採択

エネ庁 今期申請20件を審査

資源エネルギー庁資源・燃料部石油流通課は4月26日、中核充填所の新設・機能拡充にかかる2021年度「石油ガス流通合理化対策事業費補助金(石油ガス地域防災対応体制整備事業)」の採択事業者を決定、公表した。2月8日~3月5日の期間に寄せられた20件の申請を審査し、9事業者・16カ所の充填所を採択した。

首都圏版

東京ガス横浜中央、「エマージェンシーハウス」開所 

エネファーム軸に有事対応を

エマージェンシーハウスの展示物を紹介する黒田宏記横浜北支社営業第1グループマネージャー(右)

東京ガス横浜中央エネルギー(本社・横浜市、原文比古社長)は4月20日、横浜市都筑区の東京ガスアースポートショールームで「エマージェンシーハウス」の開所式を行った。パナソニック製のエネファームを軸に在宅避難時の在り方を提案する企画で、横浜北支社の黒田宏記営業第1グループマネージャーが全国で展開するエネファーム販売研修のノウハウを模型などで再現した。

  • TOKAIHD、「富士山育英財団」設立 大学・院生に奨学金
  • 首都圏総会日程
    【中央団体】
    ▽ガス警報器工業会=19日午後1時半、東京・千代田区の如水会館。オンライン併用。改選期
    ▽日本溶接容器工業会=19日午後4時、大阪市のニューオーサカホテル。改選期(情勢により他地域開催、書面決議への変更あり)
    ▽日本ガスメーター工業会=26日午後3時、東京・中央区のコートヤード・マリオット銀座東武ホテル。オンライン併用。非改選期
    ▽日本厨房工業会=6月16日時間未定、東京・港区の厨房機器会館内会議室。改選期
    ▽日本コミュニティーガス協会=17日午後3時、東京・千代田区の霞山会館。非改選期
    ▽全国LPガス協会=17日午後4時、東京・港区の第一ホテル東京。非改選期
    ▽全国高圧ガス容器検査協会=18日午後3時、東京・港区のホテルメルパルク東京。非改選期
    ▽日本LPガス供給機器工業会=21日午後2時、オンライン併催。非改選期
    ▽日本LPガス協会=23日時間未定、東京・港区の協会でオンライン併用予定。改選期【地方協会】
    ▽千葉=19日午後3時、ウェブ形式。非改選期
    ▽群馬=24日午後1時半、前橋市の群馬県農協ビル。非改選期
    ▽新潟=26日午後1時、長岡市のホテルニューオータニ長岡。非改選期
    ▽埼玉=26日午後1時半、さいたま市のロイヤルパインズホテル浦和、オンライン併用。非改選期
    ▽山梨=26日午後1時半、昭和町のアピオ。非改選期
    ▽長野=26日午後2時、長野市のホテルメトロポリタン長野。非改選期
    ▽茨城=28日午後1時半、ウェブ形式。非改選期
    ▽神奈川=31日午後2時、横浜市の神奈川県民ホール。非改選期
    ▽静岡=31日午後2時半、静岡市のグランディエールブケトーカイ。非改選期
    ▽栃木=6月1日午後2時、宇都宮市の栃木県ガス会館。改選期
    ▽東京=8日午後3時、東京・千代田区の主婦会館プラザエフ。改選期
    【その他団体】
    ▽日本コミュニティーガス協会関東支部=18日、書面決議。非改選期
    ▽茨城県高圧ガス保安協会水戸支部=20日午後1時半、水戸市の茨城県立県民文化センター分館。非改選期
    ▽長野県高圧ガス地域防災協議会=書面決議。非改選期
    ▽東京都高圧ガス保安協会=26日午後3時半、東京・文京区の東京ガーデンパレス。改選期
    ▽静岡県プロパンガス商工組合=31日午後1時半、静岡市のグランディエールブケトーカイ、非改選期
    ▽日本宅配水&サーバー協会=6月9日午後1時、東京・千代田区の御茶ノ水NKビル11階。改選期
    ▽日本液化石油ガス協議会=10日午後2時、オンライン開催(事務局から中継)。非改選期
    ▽関東液化石油ガス協議会=11日午後2時半、東京・千代田区の如水会館。非改選期
    ▽東京都LPガススタンド協会=15日時間未定、東京・港区のアジュール竹芝。非改選期
トレンド #地域一番店 菊地金物店(龍ケ崎市)

彩りの雑貨屋 次代へ

菊地敬社長

菊地啓社長は来年、娘への事業承継を予定する。自身65歳の年にバトンを渡すことを構想していた。

業界では後継者不在などで廃業が相次ぎ、茨城県高圧ガス保安協会も深刻な会員減を受け支部再編の検討を進めている。江戸崎支部長として支部会員から全幅の信頼を集める菊地社長は近隣支部長や本部職員と協議し、支部統合路線に合意した。

約1千件のLPガス供給先を持つ菊地金物店にも商権を売ってほしいとの提案が頻繁に届く。しかし、すべて断り続けている。会社を託す確固たる後継ぎがいるからだ。

石油化学新聞社(プロパン・ブタンニュース)は、平成 30 年間のLPガス関連データをまとめた『データで振り返る「LPガスの平成 30 年」』を発刊しました。
令和時代が始まり1年余りが経ちました。振り返るとバブル景気の中で始まった平成は、その後バブル崩壊、「失われた 20 年」とも言われる景気の低迷がつづきました。平成の前半に 1,900 万tを超えていたLPガス需要は、平成の終わりには 1,400 万t台にまで落ち込みました。また、平成は大規模な自然災害が多発した時代でした。「災害に強いLPガス」と言われる災害対応力や環境性などのLPガスの特性が高く評価され、エネルギーにおける位置付けが向上したことも業界にとって平成の大きな出来事でした。
本書には業界企業の経営トップに話を聞いた弊紙『プロパン・ブタンニュース』の連載インタビュー「治のざっくばらんに~平成、そして新時代へ~」も併せて収録しました。令和時代となった今、改めて平成 30 年間のLPガス業界をデータと概況、連載インタビューで振り返る本書は、業界の資料として貴重な一冊です。また、平成 30 年間のトレンドを分析することでマーケティングや流通戦略の立案などにも利用できます。LPガス関連業界をはじめ、関係各位に本書のご活用をお勧めします。

地方版

北海道=エ ネ ク スHL北海道 医療従事者支援へ寄付

販促収益の一部

 

鈴木一博・北海道保健福祉部次長(右)に寄付金目録を手渡す米澤公明社長

伊藤忠エネクスホームライフ北海道(本社・札幌市、米澤公明社長)は4月23日、北海道が窓口となって最前線の医療従事者を支援する募金活動「エールを北の医療へ!」に寄付をした。

寄付金は道内に12ある各HLエネクス会の協力を得て、昨年7~12月に全道で展開した燃焼機器販売キャンペーンの売り上げの一部を充てた。米澤社長は「われわれエネルギーの販売事業者も医療従事者と同じで、生活を支える不可欠の存在。コロナ禍で大変ななか、少しでも役に立ちたい」と寄付を申し出た。

北海道=新道産子登場

ソケイズ社長 曽慶一介氏

地域経済活性化に力

「自分個人にというより商工会、商工事業者全体に対するものだと思う」。春の叙勲で旭日単光章を受章した感想をこう語った。南富良野町商工会長としての受章で、商工会の運営に通算44年も携わり、町の発展に尽力した功績が認められたかたちだ。

1977年に理事として商工会に仲間入りしてから、一貫して地域経済を盛り上げていくことに専念してきた。近年は人口の減少が進んでいる状況もあり、引き続き魅力ある地域にするにはどうしたらいいのかを考え続けている。

  • 東北=若松ガス、衣類乾燥機を190台販売 2期連続で目標突破
  • 中部=Gラインとやま、衣類乾燥機のモニターキャンペーン実施 こんろ寄贈は継続
中部=マルエイ、理美容チェーンを傘下に 

サムスンSophia設立

アズーラブランドなど11直営店とフランチャイズ60店を展開している

マルエイ(本社・岐阜市、澤田栄一社長)は、理美容院チェーンを展開するサムソンから全事業の営業を譲り受け、4月1日付で新会社サムソンSophia(同)を設立した。全店舗11店と全従業員160人を継承し、同日から新体制の下で業務をスタートさせた。

サムソンはヘア全般のほか、ヘッドスパ、メイク、ブライダル、美顔、発毛、アイラッシュ、着付け、ネイル、フェーシャルエステ、芸能人やタレント、ミスユニバース日本代表のヘアメーク、表参道コレクションのヘアショーの企画と実行などを行っている。「ブランコ」「アズーラ」「スープラム」の3ブランドで岐阜、名古屋の9店舗と東京の青山、表参道に2店舗の計11の直営店を運営。全国に「ブランコ」「アズーラ」「サムソン&デリラ」ブランドで約60のフランチャイズチェーンを展開している。

  • 近畿・四国=岩本石油、カフェ風キッチンやリビングスペースで職場環境を快適に
近畿・四国=鳴門ガスが6月から新サービス

住まいの課題解決 

漫画で広範なサービスを紹介する

鳴門ガス(本社・鳴門市、中岸雅夫社長)は6月、住環境に関する課題を解決する新施策「鳴門ガスの住まいるサービス」を本格的に始動させる。顧客の困り事に真摯に向き合い、密着度を高める。

新サービスはLPガス、リフォームの両営業部で展開する。水回り関連の修理や交換、畳や障子の張り替え、建具の新調、蛇口の交換、浴室暖房乾燥機の設置費用、雨どいの交換や瓦の修理などの外装工事費用、屋内コンセント増設やドアノブ交換、階段の手すり取り付けに至るまで、基準となる料金を明示してメニュー化した。案内チラシではトイレのトラブルから業者の選択、解決策、電球の交換や手すりの設置など水回り以外のサービス、厨房や浴室、内装のリフォームなどまで漫画にして紹介。LPガス販売事業を超えた存在であることを示している。

中国=「ともに生きる未来へ」山陰酸素鳥取支店

高校生の書道作品を掲示

写真㊤看板に掲示した作品と鳥取東高校書道部員 写真㊦書道部員はパフォーマンスで作品を制作した

山陰酸素工業鳥取支店(谷口俊二支店長)は、鳥取市の県立鳥取東高校(中島靖雄校長)書道部が書道パフォーマンスで制作した書道作品「わたしたちが世界を変える ともに生きる 未来へはばたく」を支店の屋外大型看板に掲示した。コロナ禍にあるなか、高校生に作品発表の場を提供するとともに、市民に広く見てもらうことで地域を元気づけたい考え。

コロナに負けず元気を

地域とのつながり強化活動の一環として実施した。新型コロナウイルス感染症による閉塞感が漂うなかにあって、作品発表の機会が失われた高校生に発表の場を提供し、書で市民を激励しようと企画した。

4月10日、支店ショールームに書道部員ら関係者を招き、お披露目会を開いた。

九州=熊本県協運営の「協会LINE」登録進む

災害発生時は情報を迅速収集

佐藤逸郎会長

熊本県LPガス協会(佐藤逸郎会長)は会員に対し、協会が運営する「協会LINE」への登録を推進している。2019年に36・3%だった登録率は現在73%まで上昇。大規模災害発生時の被害状況通報を迅速に行うことを目的としており、3月には協会LINEを活用した通報訓練を行うなど、活用の幅を広げている。協会では今後も登録の呼びかけと活用を継続していく方針だ。 協会では年1回「被害状況通報訓練」を実施し、会員からの大規模災害発生時の被害状況報告を訓練している。昨年の訓練ではファクスによる報告が大半を占めたため、協会の回線がパンクし一時受信不能となった。反省を踏まえ、保安委員会で会員に対し無料通信アプリのLINEへの登録推進を呼びかけ、協会LINEでの情報伝達訓練実施を視野に準備を進めてきた。

 

  • 九州=西部ガス、九電とLNG発電所の事業化検討 脱炭素の流れ受け

住設・新技術

岩谷産業、カセットガス炊飯器「HAN-go」発売 

防災やアウトドアで活用を

カセットガス炊飯器「HAN-go」

岩谷産業(本社・大阪、東京、間島寬社長)は、カセットガスで火加減不要の本格的な炊飯を実現した「カセットガス炊飯器〝HAN―go〟」(CB―RC―1)を開発、4月28日に発売した。グループのオンラインショップ・イワタニアイコレクト、全国のホームセンターやアウトドア専門店、家電量販店などで順次取り扱っていく。希望小売価格は5万9800円(税込み)、年間販売台数3千台を見込む。 HAN―goは、カセットガス式、かつ最新のガス炊飯器仕様となっており、①カセットガス式のため屋内外で使用可能、ホースやコードがないため、使う場所を選ばず、家庭やアウトドアでも手軽に利用でき防災用品としても最適②釜をセットすれば後はレバーとつまみを操作するだけの簡単操作で、直火で悩まされる火加減の調整も不要、取り外し可能な内釜はフッ素加工で手入れも簡単③ガスの直火で炊くため、米が芯までふっくらと炊き上がる―などが特徴。

  • アプリでガス機器操作 リンナイがプラットフォームと連携
  • ハマイ、バルブ製品の原料高騰で6月メドに値上げへ 黄銅材連動制も提案

<特集記事> 地域と用途さらに広げる「IoT―R」 東洋計器

親機・子機連携 限りなく100%通信へ 「IoT―R wan」開発
東洋計器(本社・松本市、土田泰秀社長)は、LPWA端末「IoT―R」の通信が困難なエリアでも親機・子機連携で通信が可能となるサブ通信システム「IoT―R wan」を開発した。これまで通信の障害となっていた携帯電話基地局の未整備地区や建物の奥まった場所などでIoT―Rの通信成功率を限りなく100%に近づけられる。7月から本格的に市場投入する予定だ。新型IoT―R単体では既に99・6%の通信成功率を確保しているが、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進のため、通信困難域を可能な限り解消し、設置全世帯からのデータ取得を目指す。

LPガスの枠超え多方面で活躍 都市ガス・水道など インフラ高度化に貢献
IoT―Rは3月末までの累計出荷台数が93万台に達した。全国各地のLPガス需要家で取り付けが進み、厳寒地から遠隔地、離島までさまざまな設置環境で活躍している。しかし、「電池で10年動く携帯電話」の特性を持つIoT―Rの用途は必ずしもLPガスに限定されない。都市ガスや灯油、水道などのインフラ分野ではIoTを利用した遠隔監視のニーズが高まるなか、入出力する信号の変換次第でIoT―Rの活躍できる場面が予想以上に広がっていると言える。ここではIoT―Rで今後の成長が望まれる高度利用事例を取り上げる。ほかにも移動体の監視など、事業者のアイデア次第で新たな使い道が生まれてくることを期待したい。

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