
プロパン・ブタンニュース 3643号
総合面
- LPガスにチャンス到来! 三ツ輪産業、販売店と追い風つかむ
三ッ輪産業(本社・東京、尾日向竹信社長)は15日、東京・新宿区の京王プラザホテルで2026年度の活動方針発表会を開いた。尾日向社長は、エネルギー基本計画でのLPガスの立ち位置から「GHP導入や災害対応など地域でLPガスが選択肢に上がる機会が増えてくる」と展望。その追い風を販売店がつかむため、自社のノウハウを提供する考えを示し「販売店の皆さんと協業し、未来を作っていきたい」と話した。尾日向曉会長
尾日向竹信社長
尾日向曉会長が開会に先立ちあいさつし「便利な生活を追求し過ぎると気候変動を後押ししかねない。そうなれば、われわれのマーケットの縮小も危ぶまれる。また、大規模災害が発生すれば、便利や不便と言っていられない。その時に備え、元売から販売事業者まで一体となって、対策を取れるようにならないといけない」と話した。
尾日向社長は、第7次エネルギー基本計画が現実的な低炭素へのシナリオを盛り込んだことに言及し「現実路線から既存エネルギーを生かす追い風が吹いた」と説明した。特に学校体育館などへのGHP導入促進が明記されたことを「石油製品の概念的評価をLPガスへの定量的実需へ変えた」と強調。三ッ輪HDが全国の自治体との取り組みで蓄積したノウハウを提供することで、販売店が実需を獲得することを後押しする考えを示した。そのうえで「チャンスをつかめるかはわれわれ次第だ。機器や燃料への専門性に加え、地域事業者として地域社会の課題を解決する力があるかも問われる。販売店の皆さまは、間違いなく地域密着の強みがある。そこに当社のノウハウを掛け合わせ、チャンスをつかめるようにしたい」と話した。 - 全L協の24年度需要開発調査、エコジョーズは4%増 GHPは14%減
- 経産省の電子申請システム「保安ネット」でLPガス法の4手続きを追加 計11種類に
経済産業省の電子申請システム「保安ネット」は11日から、新たにLPガス法に基づく4種類、ガス事業法の5種類の手続きが可能になった。
- アストモス配送コンテスト、小野・遠藤両氏が最優秀賞 大事な役割を再認識
首都圏版
- キグナスプロパン会、本社ブロック会開催 世界市場を展望 改正省令対応も
キグナス液化ガスは9日、キグナスプロパン会(会長=古寺宏幸・キグナス液化ガス社長 =写真=)の2025年度本社ブロック会を東京・港区の新橋プレイスで開いた。柏原千里・リム情報開発LPGチームリーダー/バイオマスチーム編集記者が「この冬どうなる? 米中貿易摩擦と世界のLPGマーケット」、境野春彦・コネクトエネルギーCEOが「自由化を超えて~行動こそ今を変える原動力」と題して講演を行った。
本社ブロック代表幹事に就任した高塚慶則・静岡ガスエネルギー取締役があいさつし「米国トランプ政権の動向で原油やプロパンガスの価格から目が離せない。LPガス法改正省令は事業にダイレクトな影響を与えている。当社は『すべてはお客様のために』をスローガンに、過大な営業行為は一切行わない方針を貫いている。一部でマイナスの影響も出ているが、今は事業者としての信念を問われていると受け止めている」と述べた。
- 台風22・23号直撃の八丈町、暴風と記録的な大雨もLPガス災害報告なし
- 「STOP!ヒートショック」スタート 関係業界挙げ啓発
地方版
- 北海道=道協上川支部・北條事務局長が第2種販売主任者試験の独自勉強会を開催
2024年度から北海道LPガス協会上川支部の北條省一事務局長が、支部会員を対象に高圧ガス第2種販売主任者(販2)試験に向け、独自の勉強会を開いている。昨年度からスタートさせ、今年度、2回目を開いた。
北條事務局長(写真)が勉強会を立ち上げたのは「業界従事者の高齢化から有資格者が年々減少し続けている。このままいけば事業が維持できなくなる」と危機感を抱いたからだ。
高圧ガス第2種販売主任者(販2)の資格は、LPガス販売に従事するうえで必須の資格。業界全体の高齢化に加え、新たに志望する若年層も少子化の影響から年々減少している。有資格者の自然減とも重なって状況は想像以上にひっ迫する。
- 東北=東液協の業務主任者研修会、保安監督部が事故対策強化を要請
東北液化石油ガス保安協議会(黒田隆一会長)は7日仙台市で、8日盛岡市で「業務主任者等保安研修会」を行った。関東東北産業保安監督部東北支部保安課は、雪害事故と他工事事故、質量販売事故の対策強化を要請した。シナネンホールディングスから能登半島地震への対応について、マルハ産業から保安への取り組みについての発表があった。(写真=8日はサンセール盛岡で行い120人が集まった。仙台会場は150人だった)
- 中部=東液供給センター、配送コンテストで「お客様対応競技」を新設
東液供給センター(本社・名古屋市、濱島和久社長)は8日、名古屋市の名港事業所で「2025年度第13回配送コンテスト」を行った。8月に236人の全配送員が参加して保安点検、ガス基礎知識、配送手順、安全衛生、コンプライアンスなどのテストとLPガス容器の交換作業、容器交換時点検作業の実技からなる予選を実施。配送スキルを競った合計点の上位12人が本選に進出した。本選では四つの競技ブースを設置し3グループで配送競技を実施した後、上位3人が今年から新設した「お客様対応競技」に進出して優勝を争った。(写真=競技終了後には表彰式を行った(中央は優勝した大久保恒之氏))
- 近畿・四国=甲賀協同ガス、「ふれあいECO」フェア開催 機器の提案販売に重点
甲賀協同ガス(本社・甲賀市、岡持憲二社長)は4~5日、甲賀市共同福祉施設で「ふれあいECOフェア」を開いた。感謝祭ではなく展示会と位置付け、機器販売や需要開拓に力を注いだ。
ビルトインこんろはメーカーごとに松竹梅の3グレードを用意。レンジフード、食洗機、給湯器と組み合わせた2~4点のセット割引により客単価の引き上げを図った。給湯器は8年間のリースを提案。電気や灯油から指定機種の給湯器に燃転する場合はリース代24カ月サービスの特典を付けた。
- 近畿・四国=伊丹産業高知を地元テレビが事業紹介 地域密着型の生活総合商社と強調
伊丹産業(本社・伊丹市、北嶋太郎社長)は8日、高知放送で放映の情報番組「こうちeye」で、同社高知支店(大西善基支店長)が紹介された。地域の生活に根ざしたサービスを提供する事業者として紹介。幅広い事業にも触れ、地域密着型の生活総合商社であることも強調した。
番組内の約2分間のコーナー「R.ケイシーリサーチ」で紹介された。県内で1支店4営業所1スタンドを基盤に事業展開をしていると説明。
「ライフスタイルに合わせたガス機器やサービスを提案し、小さな困りごとにも耳を傾けて、顧客ニーズに丁寧に答えている」と顧客に近い存在であることを訴求。また「安全性、利便性、経済性に優れた最新ガス機器を揃えて、毎日の暮らしをより快適にする手伝いをしている」とした。
- 中国=ヤマサン会青年部会、JGKA招き研修会 省エネ給湯器普及へ意見交換会も
ヤマサン会青年部会(杉原慶太郎会長)は9月26日、米子市の米子コンベンションセンターで研修会と意見交換会を開いた。日本ガス石油機器工業会(JGKA)から講師を招き「今後の国の省エネ・住宅政策とLPガス事業者の対応について」研修。参加者25人によるグループ討議も行った。(写真=意見交換では前城典昭氏(奥)らJGKAも立ち合い省エネ機器普及に向けた取り組みや課題を洗い出した)
杉原会長は「猛暑続きの今夏、空調用ガス販売は良かったかもしれないが、一般の販売量には影響が出ただろう。業界には暑さだけでなく問題が多くて厳しい。研修会には出雲から鳥取まで各社が集まる。会を有意義なものにし、会社を盛り上げるきっかけにしてほしい」とあいさつした。
- 九州=JGEトークコン九州大会で5人がスキル競う
ジャパンガスエナジー西日本支店(森本秀和支店長)は9月25日、鹿児島市のサンロイヤルホテルで2025年度トークコンテスト九州大会を開いた。5人の選手がトークスキルを競い、ゴールド賞にエコアの所谷海人氏が輝いた。所谷氏は11月21日、東京で開かれる全国大会に出場する。
住設・供給機器 / 新技術
- ノーリツグループ、給湯器廃材の寒水石を土壌改良材に再生 農業向けへ共同開発
ノーリツ(本社・神戸市、竹中昌之社長)の特例子会社エスコアハーツ(同・兵庫県稲美町、新田博哉社長)と農園芸のイノベーションカンパニーwelzo(同・福岡市、金尾佳文社長)のグループ会社サンアンドホープ(同・北九州市、中武英一社長)は協業し、給湯器製造過程で廃棄されていた寒水石を再資源化した。園芸・農業向けミネラル土壌改良剤「ゼオカル」として14日から販売する。販路は全国のホームセンターとwelzoグループを通じた農家への直販。来春にはネット販売も予定する。【写真】規格外で廃棄される寒水石を再資源化した土壌改良剤「ゼオカル」
- 危機管理産業展で発電機の出展目立つ BCP提案も
- ナビタイムジャパン、LPガススタンド検索がカーナビアプリで可能に
ナビタイムジャパン(本社・東京、大西啓介社長)は10日、カーナビアプリ「カーナビタイム」でLPガススタンド検索機能の提供を始めた。タクシーの70~80%がLPG車であることから、多くのタクシードライバーから要望を受けて開発した。
全国LPガス協会がまとめる全国約900カ所の最新のLPガススタンドの場所を検索できる。ジャンル検索だけでなくスポットアイコンを表示できるため、地図上でL
Pガススタンドがどこにあるか簡単に探せる。スタンドの住所や電話番号も確認できる。
<コミュニティーガス特集>
人口減や消費原単位の減少など構造的に厳しい市場環境にあるが、安定供給や経済効率性、再生可能エネルギーの併用による環境適合の観点から分散型のコミュニティーガスは大きなポテンシャルを持つ。脱炭素対応へ今後導管に流すことになる次世代燃料の研究開発や社会実装に向けた検討が進む。供給現場を守る事業者に求められるのは保安に対する不断の努力と自然災害への備え、低炭素なLPガスと分散型供給である点を生かした需要開発となる。次代の街にもコミュニティーガスが選ばれるために今、何をすべきか。協会や先進事業者への取材を通じて考える。
環境・分散型特性を発揮
・日本コミュニティーガス協会・古野晃会長、保安可視化へ体制整備
・登別ガス協同組合=訓練・実践重ねBCP充実 有事に備え余念なく
・大城エネルギー=COSLPガス、全8拠点群に供給 電化対抗へ優位店訴求
・甲賀協同ガス=地域密着 存在感高く FHレンタルで裾野拡大
・鳴門ガス=「即湯サービス」前面に 燃転進め生涯顧客化
・広島ガスプロパン=接点深め暮らし提案 団地ごとにミニ展開催
・ニチガス=スマートシティ構想実現へ 電気・ガス、リモコンで一括制御
日本コミュニティーガス協会 古野晃会長
保安可視化へ体制整備 災害見据え不断の努力
国内経済は消費者物価指数が2014年以降段階的に上がっており、緩やかな景気回復基調にあるもののいまだ賃金、所得の伸びが物価上昇を安定的に上回る状況には至っていない状況であり、引き続き諸物価の高騰や円安による影響などから、国内では社会・経済ともに厳しい状況が続いていくものと認識している。
コミュニティーガス事業を取り巻く環境は少子高齢化、世帯人数の減少などの影響による住宅着工件数の減少、LPガス消費量の減少で厳しい環境下となっている。自然災害は、24年は元日に発生した能登半島地震に始まり震度6以上の地震などが頻発した。25年は台風や集中豪雨による影響で土砂崩れや河川氾濫が発生し、災害に備える意識とその準備がますます重要になってきていると考える。
- 顧客に安心供与/わが社の災害対策
自然災害が各地で相次ぎ、日本コミュニティーガス協会も事前の備えと災害時対応の方向性をまとめたマニュアルを作り会員の対策強化を後押ししている。危険物を扱う事業者として2次災害も含めて被害を最小限に抑え需要家の安全を確保し事業を早期に再開させるためには綿密な計画と訓練が欠かせない。供給事業者の取り組みを取材した。
・仙台プロパン(多賀城市)=地震・津波注意報に迅速対応 豪雨時行動マニュアルも
・中部ライフエナジー(山梨県富士川町)=PE管化で安全担保 建物含め細部まで気配り
・高崎市ガス事業協同組合(高崎市)=他工事立ち合い 事故防止へ連携密に
・西部ガスエネルギー(福岡県粕屋町)=耐震化・導管更新にめど 技術継承へ若手教育 - 認知度高めガスのある暮らし再興-藪内雅幸専務理事に聞く
コミュニティーガス事業は人口減少などの構造的要因に加え気温上昇や国際情勢の不安定化に伴うLPガス輸入価格の値上がりなど引き続き多くの課題を抱える。日本コミュニティーガス協会は安全・安定供給の基盤が揺らぐことのないよう監督省庁と連携して作成する各種刊行物や講習会、訓練など多様なアプローチで会員の保安、防災強化を周知・啓発している。ガス事故は減少傾向にあり、昨年の能登半島地震でも損傷が大きい地域を除き迅速な復旧を実現した。エネルギー業界にカーボンニュートラル(CN)が求められるなか、将来のコミュニティーガス事業のあり方に道筋を付けるため分散型で導管供給の特性を生かせる方向性を模索している。籔内雅幸専務理事に話を聞いた。
―コミュニティーガス事業を取り巻く環境認識をお聞かせ下さい。
2024年の生産動態統計調査によると、合計販売量は前年比97・3%と引き続き前年を下回った。内訳は家庭用が96・9%、商業用他が101・4%となっている。
これは家庭用の調定数が前年比99・5%であったことを考慮すると、気温が前年よりさらにわずかながら上昇したこと、従来の少子高齢化、世帯人数の減少の影響はもち
ろん、解決のメドがつかないロシアのウクライナ侵攻や中東情勢の混乱に起因する原油高の影響も受けた輸入LPガス価格の値上がりから、需要家がガスの使用を差し控え
たことなどが要因と考える。 - 全国コミュニティーガス事業マップ/都道府県別現勢