
石油化学新聞 5475号(2026.3.16)
THE PETROCHEMICAL PRESS
- 素材メーカー、供給途絶回避へ全力 クラッカーを止めるな
石油化学各社は生活に不可欠な素材の供給途絶を回避すべく懸命の努力を続ける。中東情勢悪化に伴うホルムズ海峡の事実上の封鎖により原料ナフサの輸入が滞るなか、石化センター各社は原料から誘導品に至る在庫状況の確認や代替調達の可能性を探るなど、対策を日々アップデートさせている。経済産業省が仲介役を担い川下産業とのコミュニケーションもスタートした。ナフサクラッカーの稼働停止を可能な限り避けたい思いはサプライチェーン全体で共通する。
状況に応じ最適運営を図るナフサクラッカー
- 東ソー・・・バンク材、有機EL向け開発 30年までに製品化
- ダイセル・・・脂環式エポキシ、新銘柄で戦列拡充 付加価値高め成長加速
- 積水化学工業・・・層間絶縁フィルムを拡販 基板メーカーで認定進む
- 日本化薬・・・半導体用クリーナー、地産地消で中国拡販
- 三菱ケミカル・・・AF&P部門好調 江川洋介常務執行役員に聞く
事業構造改革一巡 来期から成長フェーズ
三菱ケミカルの高機能フィルム・ポリマーや熱可塑性エラストマーなどを手掛けるアドバンストフィルムズ&ポリマーズ(AF&P)部門が好調だ。同部門の25年度コア営業利益は400億円(前年度340億円)、コア営業利益率は9%(同7%)となる見込みで、同社の全7部門中、最大を誇る。同部門を所管する江川洋介常務執行役員に戦略や展望を聞いた。
―事業戦略を聞かせてください。
当社は25年度から5年間の中期経営計画でスペシャリティやグリーンケミカルへのシフトを事業戦略の中核に据えている。ここで言うスペシャリティとは、当社しかできないもの、あるいは当社が市場の中で特別な存在であるものと定義している。市場での事業の価値を測るのは難しいが、得られるベネフィット(利益)はその指標となる。価値があるから利益率が高い、なくてはならないから高いリターンが得られるということだ。人件費や物流費などのコスト上昇に対応した製品の値上げも進めている。値上げを打ち出した際に顧客からそれなら要らないと言われたら、その製品はそれまでの価値だと割り切っている。もう一つの戦略として挙げるのは、変化が常にある市場に身を置くことだ。そこで当社も変わることで、他社が追いついてきてもその距離感をきっちりと保てる。
<特集>戦略的拡充を図 る高吸水性樹脂 メーカー(2面)
日系高吸水樹脂メーカーの戦略
高吸水性樹脂(SAP)メーカーはグローバルサウスを含む世界的な需要増大に対応して戦略的に供給体制の拡充を図っている。新市場発掘はもとより、日米欧中の既存市場ではより機能と品質に優れたプレミアムSAPの安定供給を堅持し、最終需要家の期待に応えている。中国で過剰生産が続くなかにあって、日本のSAPメーカーは厳格な投資判断と最適事業運営のノウハウを発揮。グローバルに配置する各拠点はフル生産フル販売の
レベルを取り戻し、世界のSAP業界でその存在感を高めている。
概況
- アジアで能力増強へ
- 世界の高品質市場を牽引
住友精化
- 新設備が商用運転へ
- 既存各装置効率化工事 姫路で再生実証開始
日本触媒
- インドネシア、5万㌧増設が27年完工
- 持続可能な研究開発を推進
THE PETROCHEMICAL PRESS
- 中国樹脂貿易・・・昨年 初の輸出超過 5年連続2ケタ成長
- JSPなど・・・フィルム貼付食品容器 明大でリサイクル実証
- 日本芳香族工業会・・・2026年BTX需要見通し
- 日本ポリプロ・・・高透明PP 化粧品容器に初採用 PETやPS代替
- 三菱ケミカル・・・新人教育期間を半減 スキル管理システム導入
- 東洋紡エムシー・・・一体成形で3次元構造 熱可塑性ハイブリッド複合材 2材料を開発
- 日本ABS樹脂工業会・・・2月国内出荷
- 発泡スチレンシート工業会・・・2026年2月のPSP出荷実績
- カーボンブラック協会・・・1月のカーボンブラック実績
- 積水化学工業・・・防火区画貫通部材 冷媒管用認定取得
- 化学製品値上げ
・クラレ・・・ポリビニルアルコール(PVA)樹脂とPVA系樹脂を11日出荷分から1㌔㌘70円以上(アジアパシフィック、中東、アフリカ向けは0・45㌦以上、欧州向けは0・45ユーロ以上)値上げ
・デンカ・・・ポリビニルアルコール(PVA)を16日納入分から1㌔㌘60円(米州・アジア向けは1㌧400㌦、欧州向けは350ユーロ)値上げする。
・KHネオケム・・・オキソアルコール類や酢酸エステル、合成脂肪酸、グリコールエーテル類など化学品23品目を4月1日納入分から1㌔㌘60
~72円以上値上げする。MAKは同250円上げる。
・クラレ・・・エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂・フィルム、回収助剤、パージング材を15日出荷分から1㌔㌘75円(アジアパシフィックと北南米向けは0・55㌦、欧州向けは0・55ユーロ)値上げする。
・ダウ・ケミカル日本・・・ポリオレフィンエラストマーを4月1日納入分から1㌔㌘25円以上値上げする。
THE PETROCHEMICAL PRESS
- UBE・・・PI売上高、30年度に1.5倍超へ ワニスを牽引役に
- 日本化薬・・・半導体製造用ラミネーター、世界で顧客層拡大 新旧工場フル活用
- ポリプラスチックス・・・耐熱樹脂の戦列拡充 高度・多様化に対応
新社長インタビュー ハイケム 高 裕一 氏
化学産業発展へ 「日中の懸け橋」に
新事業育成 1兆円企業めざす
「ハイケムが目指す姿は第一に日本と中国の懸け橋であり続けること。第二に両国が力を合わせることで生まれる商品、サービス、技術を世界に展開していくことだ。歴史を振り返れば、日本と中国は数千年にわたる付き合いの中で、うまく関係を維持してきた。その関係を基盤に日本の成長、特に化学産業の発展に貢献できる活動を続けていきたい」。こう語るのは元日付で社長に就任した高裕一氏。創業者で父の高潮氏(現会長)から経営を引き継いだ。
ハイケムは98年設立。高潮氏が93年に設立したコンサルティング会社を前身とする。日中の化学業界で培った経験と人脈を基盤に日中双方の企業とのネットワークを構築し、「日中の懸け橋」を掲げて事業を拡大してきた。売上高は22年に1千億円を突破。26年には2千億円規模を見込む。
化学品商社兼メーカーとして地位を確立し、品質の高い中国製品を迅速に調達できる点や、小回りの利いた対応が評価されている。「社長就任後、多くのお客様に会い、当社が必要とされている企業だと改めて実感した」と語る。
- 三洋化成工業・・・アニオン界面活性剤 湿潤性と透明性高く
- 東レ・・・アクリル短繊維にサブブランド7つ 、海外で訴求強化
- 帝人・・・再生医療CDMO 、岩国で工場稼働
- 三洋化成工業・・・東京事務所を移転 日本橋室町に
- 東洋スチレン・・・デンカが子会社化 ダイセル持ち分を取得
- ENEOSホールディングス・・・グループ共通機能3社を1社に再編
