
石油化学新聞5462号(2025.12.1)
THE PETROCHEMICAL PRESS
- 住友化学・・・石化構造改革が進展 ポリマー 高付加価値戦略に活路
技術ライセンスにも引き合い
住友化学の石油化学事業が本来の強みを発揮し始めている。先行的に実施した国内外での構造改革が収益改善のかたちで成果を表しており、厳しい市況環境下でも25年度通期業績は黒字を確保する見通し。26年はポリオレフィン事業統合の正式合意をはじめ、構造改革を検討から実行段階に移行させる。残る事業ではポリマーを軸に高機能・高付加価値戦略に活路を見い出す。
【写真】財務リストラを完了したペトロラービグの石化プラントではデボトルネックで供給能力を
5~7%拡大することを可能にした
- 三井化学・・・成長3領域で利益拡大 28年度コア営業益2000億円達成へ
三井化学の橋本修社長は経営概況説明会で、当面の業績目標に掲げる28年度コア営業利益2千億円(24年度1010億円)の達成の道筋を示した。ライフ& ヘルスケア、モビリティ、ICTの成長3領域の利益拡大を加速させるほか、25年度で3年連続の赤字となる石油化学事業の損益改善を急ぐ考えで「事業ポートフォリオ変革の加速により企業価値向上を図る」と改めて強調した。
28年度のコア営業利益は成長3領域で2千億円(24年度1159億円)、石化を中心とするベーシック&グリーンマテリアルズ(B&GM)で320億円(同114億円の損失)を目指す。
- 東洋紡・・・フィルム、SPSで2軸延伸実現 回路基板向けなど提案
- テクノUMG・・・ABS系樹脂 3D印刷向け拡販 幅広い用途に展開
テクノUMGが3Dプリンターの成形材料向けにABS系樹脂の本格展開に乗り出した。3Dプリンター市場の拡大に伴い増加する材料ニーズを取り込む狙いだ。
長年培った独自のポリマー配合技術により3Dプリンターに適したABS系樹脂を開発。造形性が高く層間密着強度の高い材料を提供し、自動車機構部品や建材、家具など幅広く用途を開拓する。最近の事例として、前澤化成工業の水門の開閉ハンドルに採用された。このABS系樹脂製の開閉ハンドルは製造に金型設計が不要で、従来の鋳鉄製に比べ製造コストが低い点などが評価されている。【写真】3Dプリンターで製造したABS系樹脂製の水門の開閉ハンドル - JSP・・・EPP原料、米2拠点で相次ぎ増強 車向け需要増に対応
- 日本化薬・・・中国向けクリーナー 半導体用を現地生産
機能を生かし付加価値提案 スーパーエンプラ特集(下)
- 有力メーカーの現状と戦略
市場が変化し最終製品が高度化、多様化するなか、高度な物性や複数の機能を備える素材へのニーズもモビリティや電気・電子関連をはじめとする多くの市場で増えている。スーパーエンプラもその一つ。日系企業が現在も世界で高い競争力を発揮している化学品の一つでもあり、応用分野は素材の持つ機能を最大限に生かす周辺技術の革新もあって、さらに広がる方向だ。その需要をグローバルに取り込み、素材としての存在感を高めていきたい。 - 概況
事業機会拡大、変化を捉えて成長へ 日系企業、技術で競争力発揮
- ポリプラスチックス・・・LCP/PPS
- LCP、増産を機に拡販進む
高周波領域など 新銘柄も積極投入 - PPS、中国xEV用に力
AIサーバー関連 コネクター向け拡大
- 東レ・・・PPS
- ポリマーコンパウンド、世界展開へ積極投資
スペックイン 車向け中心に強化
- 三菱ガス化学・・・バイオ由来耐熱PA
- 強度・弾性率 高い機能で環境対応
- 軽量化支援 強度保持し3倍発泡
THE PETROCHEMICAL PRESS
- PC輸出減 止まらず 国内メーカー 付加価値品にシフト
- 三井化学と豆蔵・・・食材盛り付けロボット開発
- 帝人・・・炭素繊維基材、航空宇宙向け展開 成形時間を短縮

帝人は高機能繊維の編組技術を持つ世界的メーカー米A&Pテクノロジーと、高い強度や弾性率を維持しながら成形時間を短縮できる炭素繊維基材「IMS65 PAEK Bimax」=写真=
を開発した。高い物性が求められる航空宇宙用途などに展開する。 - 住友ゴムとNEC・・・材料配合予測と探索で成果確認
- 石油化学工業協会・・・エチレン換算輸出入実績
- 塩ビ工業・環境協会(VEC)・・・10月のPVC、VCMの生産・出荷
- 日本スチレン工業会・・・2025年10月受払表
- 東洋紡・・・ファミマ向け環境配慮高剛OPPおむすびの包装材に
- 石油化学工業協会・・・「石油化学工業の現状2025年」(A4判横63㌻)= 写真=を発行した。1部700円(送料別)で頒布する。

- 宇部丸善ポリエチレン・・・ISCC認証EVAを上市
- ケミトックス・・・LIB安全性試験サービス大幅拡充
- 日本ポリプロピレンフィルム工業会・・・10月のOPP・CPP出荷実績
- 発泡スチレンシート工業会・・・2025年10月のPSP出荷実績
- 化学製品値上げ
・クラレ・・・ヤシ殻活性炭と関連製品(浄水器用の成形体、成形体用ファイン活性炭、添着活性、
活性炭繊維など)を国内外で1日出荷分から20~40%値上げする。
THE PETROCHEMICAL PRESS
- 日本化薬・・・色素材料の成長加速 商品力高め量産拡販
- 日鉄ケミカル&マテリアル・・・PIフィルム人工衛星に採用
- 東ソー・・・バイオサイエンス開発加速 東京研究センターに2新棟
東ソーは11月21日、東京研究センター(神奈川県綾瀬市)でバイオサイエンス製品の研究機能を持つ新研究棟と、同製品のカスタマーサポート機能などを持つイノベーションセンターの竣工式を行った。設備や機器などの導入を経て12月から運用を開始し26年4月までに全面稼働する。既存施設のリニューアルも含む総投資額は約100億円に及ぶ。 バイオサイエンス製品はバイオ医薬品製造向け分離精製剤、糖尿病診断システム、免疫診断システムなどをグローバルに展開。東ソーの収益拡大を牽引する先端事業の一つだ。今回の2施設稼働による開発機能拡充で事業の領域拡大と成長を加速させる。【写真】竣工した新研究棟
- 日鉄ケミカル&マテリアル・・・熱可塑性CFRPノートパソコンに
- 東洋紡エムシー・・・フレキソ印刷製版向け廃液処理システム開発
- 東洋インキ・・・リキッドインキ、インドで5 割増強
- 三菱重工業・・・日本ゼオンの周南COPプラント受注
- プライムポリマー・・・PP包材、薄肉・モノマテ化 新グレード開発
- 東洋紡・・・エアバッグ用基布、中国子会社を譲渡 帝人フロンティアに
- カネカ・・・肌の新陳代謝を維持 還元型CoQ10訴求
- デンカ・・・導電性ポリマー開発 新興クレバに出資
- 日東紡・・・有機ナノ粒子化技術 東北大発新興に出資
- 住友化学・・・半導体プロセスケミ 台AUECCを買収
