
石油化学新聞5455号(2025.10.13)
THE PETROCHEMICAL PRESS
- 三菱ケミカル・・・設備保全計画を最適化 信頼性向上へ RBMシステム導入
三菱ケミカルは、設備管理の現場で、設備のリスクに基づき保全計画を最適化するリスクベースメンテナンス(RBM)システムを導入する。設備保全を担う熟練技術者の引退が進むなか、担当者のスキルレベルに依存することなく設備の信頼性向上につなげる。30年度までに国内全事業所での導入を完了する計画だ。 - 三井化学ICTマテリア(ICTM)・・・用途展開を加速へ 主力製品 新市場参入も視野
- 三洋化成工業・・・国内生産体制、抜本的な設備改革へ 稼働率向上と保全費削減 成長戦略の準備
三洋化成工業は国内生産体制の抜本強化に乗り出す。プラントの老朽化対策と設備経費削減を両立すべく、生産設備改革プロジェクトを編成。26年度からの次期中期経営計画で大規模な設備集約化に向けた投資を計画し、そこで創出するキャッシュを成長戦略投資に充当する方針だ。
樋口章憲社長は「グループ全体の3分の1程度の設備が不要になる」との見通しを示し、「保守・修繕費用は相当額の削減が見込まれ、残るプラントの稼働率も高まるだろう」と意気込む。将来の設備自動化やロボット技術の導入なども視野に入れる。 - 東レ・・・産業用繊維 農業資材の戦列拡充 ハウス遮熱シートなど
- ダイセル・・・網干工場で実証試験 3社連携 五感点検と在宅化
- 北川氏にノーベル化学賞 金属有機構造体創出で
- 出光興産・・・ブラックペレットベトナムに竣工 年産12 万㌧
- 東洋紡エムシー・・・海淡用RO膜を岩国で3倍に増設
東ソー創立90周年 挑戦と革新で未来を切り開く
東ソーは今年、創立90周年を迎えた。その歩みは、挑戦と革新で未来を切り開いてきた同社の歴史そのものである。25~27年度の新中期経営計画でもその姿勢は変わらない。中長期の経営課題を「『成長』と『脱炭素』の両立」とし、CO2の排出を抑えつつ収益を拡大できる事業構造への変革を進める。事業構造をより的確に反映するために、配管でつながる「チェーン事業」と、成長市場をターゲットにした「先端事業」に区分。底堅い収益力を持つチェーン事業と、高い収益力を持つ先端事業の両輪で安定成長を実現する。チェーン事業で創出されるキャッシュを経営基盤とし、先端事業で利益を拡大する事業ポートフォリオを構築する考えだ。業績目標として27年度売上高1兆1830億円(24年度1兆634億円)、営業利益1400億円(同989億円)、自己資本利益率(ROE)10%以上(同7・2%)を掲げた。営業利益は過去最高の21年度(1440億円)と同等とし、30年度には1700億円を目指す。桒田守社長と石油化学、クロル・アルカリ、機能商品の各セクター長に成長戦略を聞いた。【写真】広大な敷地で強力なインフラを有する創業の地、南陽事業所
100周年見据え 成長と脱炭素を両立 「あってよかった」会社に

桒田守社長
―創立90周年を迎えての所感と次の10年に向けた抱負をお聞かせください。
私は東ソーの社長として13代目、戦後では10代目。東ソーという会社が本当に厳しい時代を経験し、ここまで成長したことを感慨深く思う。次の10年、100周年へ向かう東ソーが多くのステークホルダーから信頼され、社会に貢献できるよう従業員一丸で努力していきたい。
100周年を迎える35年に向けた具体的なターゲットがあるわけではないが、30年を見据えた中長期ビジョン「Vision2030」では経営課題として「成長」と「脱炭素」の両立を掲げた。
パーパスは「『地球とヒトの快適な暮らしのパートナー』として存在意義を発揮し、社会課題の解決により持続可能な成長を目指す」。「パートナー」と言うには東ソーがある程度、世の中に知られなければならない。まだ「縁の下の力持ち」としてやっているイメージ強く、もっと存在感を出していき、東ソーがより社会の皆さんから「あってよかった」と言われる会社になりたい。
―25年度から始動した新中計は、22年に社長に就任されてから2回目の中計です。
前中計最終年の24年度業績目標は売上高、営業利益、営業利益率、ROEのいずれも未達だった。21年度の営業利益が過去最高であり、前中計は業績の発射台がずいぶん高いところからスタートしたこと、その後の世界情勢の混乱もあり、このような結果になった。
- 石油化学セクター 取締役常務執行役員石油化学セクター長 亀崎尊彦氏
クラッカー 誘導品強化で高稼働へ CRの大型設備投資決定
―石油化学事業を取り巻く環境の見通しと対策について教えてください。
中国を中心にエチレン生産設備の大増設が継続し、25年から27年にかけてエチレン生産能力は年2千万㌧以上増える見通しだ。これによりエチレンやプロピレンの余剰感が強まり、当社の石化事業にとっても非常に厳しい局面を迎える。一方、当社はエチレンメーカーでありながら国内最大のエチレンバイヤーでもあるため、ナフサクラッカーの高稼働維持に有利なポジションにある。実際に当社の稼働率は国内の業界平均より高い。四日市事業所のクラッカーは中京地区で唯一という地理的な強みも生かしながら誘導品の強化などを図り、高稼働を維持する方針だ。
―誘導品強化に向けた具体策は。
オレフィン製品で最も強化しなければならないのはプロピレンだ。その背景には昨年、四日市コンビナート内でプロピレン誘導品のポリプロピレンの生産設備が停止し、プロピレンのコンビナート内販売量が減少したことがある。当面はコンビナート外へのプロピレン販売拡大でカバーする。 - クロル・アルカリセクター 常務執行役員クロル・アルカリセクター長ウレタン事業部長 木内孝文氏
事業モデル サステナブルに転換 バランス見極め最適生産を
―東ソー90周年の歩みの中で、祖業であるクロル・アルカリセクターが今のアジア有数の事業体制を構築し得たターニングポイントとは。
バブル経済崩壊前後の80年代後半から90年代にかけて、当社はさまざまな事業に進出する一方で、多くの事業を整理・撤退するという厳しい経営環境にあった。こうした縮小均衡の局面で、当時の経営者は本業回帰の拡大戦略を打ち出し、最も厳しかった96年に第2塩ビモノマー(VCM)プラントを立ち上げた。05年には第3・VCMが稼働を開始。第2・VCMは11年の爆発火災事故後に撤去したが、14年に第3・VCMを60万㌧能力に増強し、現在は第1と第3の2系列合計で89万6千㌧、四日市と合わせて115万㌧体制を整備している。 また、イソシアネートメーカーの日本ポリウレタンを傘下に加えたことも大きな転換期だった。当社の南陽事業所に年産20万㌧のMDI(メチルメタンジイソシアネート)を誘致し、当社自身も04年にCOプラント、05年にアニリンプラントを新設して万全の原料供給体制を整備。その後、07年に年産20万㌧の8Mプラントを新設して合計40万㌧体制に拡充し、14年には日本ポリウレタンを吸収合併した。 - 機能商品セクター 取締役常務執行役員機能商品セクター長 大道信勝氏
半導体関連の反転期待 ジルコニア粉末とHSZ新用途展開を強化
―機能商品セクターとして新中計でどのような成長の道筋を描いていますか。
前中計(22~24年度)では、30年度にスペシャリティ領域で営業利益1千億円超を上げる目標を掲げた。そのうち、機能商品セクターで900億円程度を目指すグランドデザインを策定しており、この方針は変えていない。新中計はその目標を達成する途中段階に当たるが、既に30年度の目標達成に必要な投資の約7割は実施済み。基本的にはオーガニックグロースで目標を達成する計画だが、高機能材料とバイオサイエンスの両事業において、弱点を一部補完する目的でM&Aも検討している。
―機能商品セクターの27年度営業利益目標586億円(24年度386億円)の3事業別内訳はバイオサイエンス235億円(同212億円)、高機能材料205億円(同53億円)、有機化成品146億円(同121億円)。特に高機能材料の伸びが大きいですが、その内訳は。
高機能材料事業の増益幅約150億円のうち、約60%は半導体関連製品、残りはジルコニア粉末とハイシリカゼオライト(HSZ)による増益を計画している。
THE PETROCHEMICAL PRESS
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