
石油化学新聞 5450号(2025.9.08)
瀬戸内エチレンが発足 西日本センター3社

旭化成と三菱ケミカルが共同運営する水島のナフサクラッカー
カギは海上輸送と連携拡大 グリーン化へ技術を持ち寄り
旭化成、三井化学、三菱ケミカルのエチレンセンター3社による西日本のナフサクラッカー統合に向けた事業体「瀬戸内エチレン有限責任事業組合(LLP)」が発足した。3社連携の検討をより実効性のあるものに深め、クラッカー能力の適正化と将来の石化グリーン化を目指す。当面は3社同等の出資比率でLLPを運営。30年をメドに共同事業体に移行させ、能力適性化による業態変化と合わせて出資比率にもメリハリが付けられる公算だ。
新社長インタビュー
ダウ・ケミカル日本 ジャロッド・トラスラー氏
「日本は多くの領域で高品質、高付加価値な製品を創出し、世界市場へ提供し続けている。近年、日本の経済成長率は決して高くないが、現在も市場規模は大きく、政治・経済は安定している。ダウにとって魅力ある市場であることに変わりはない。ダウ日本グループには製造設備や研究開発拠点などに加え、優秀な人材も揃っており、これらを最大限に活用して成長の機会を広げていく。現在は化学業界のほか、当社が顧客とする業界の多くも変革期にあり、多くの企業が最適な姿を模索している時期だ。そのなかで、ダウ日本としてもパートナーとともにイノベーションを続け、新たな成長の機会を模索していきたい」
ダウ・ケミカル日本のジャロッド・トラスラー社長が就任した(4月1日付)。グローバルに事業を展開するダウにとって、日本は信頼性の高い製品を世界で展開する企業が多いことなどから、引き続き成長のチャンスが多い市場であることを強調し「日本の顧客が成長に向けてイノベーションを続け、サステナビリティーに対応していくなか、ダウが貢献できる役割も多いはずだ」と日本での事業拡大に意欲を示す。
- 東レ・・・滋賀で新設備稼働 水素製造向け電解質膜
- 日東紡・・・福島の増設に150億円 半導体向けガラスクロス
- UBE・・・タイの構改前倒し 26年3月に ベーシック事業で
- 日本化薬・・・クリーナー事業、中国市場の拡大加速 地産地消を強化
THE PETROCHEMICAL PRESS
- クラレ・・・シンガポールに新技術拠点 顧客との共同開発推進
開所式の様子
ポバール、EVOH、活性炭拡販へ
テクニカルセンターが所在する研究開発施設The Galen
クラレがシンガポールでポリビニルアルコール(ポバール)樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)「エバール」、活性炭を対象とした技術支援拠点「Kuraray Asia Pacific テクニカルセンター(TC)」を開所した。ここで顧客との共同開発などを推進し、アジア市場でのこれら製品の拡販につなげる。
新たなTCはシンガポールで企業などの研究開発拠点が集積するサイエンスパーク内に設置した。運営は現地子会社のクラレアジアパシフィック(KAP)が担う。スタッフはローカルスタッフを含む10人ほどの体制でスタートした。
材料の評価、解析、応用技術の検討に必要な機器を備え、迅速、専門的に地域顧客のニーズに応じたソューションを提供する。製品の実演や顧客との共同開発を通じて、新たな価値を創出するオープンイノベーションの場としても機能する。サイエンスパークという立地も生かし、多くの人や企業とコラボレーションすることで市場開発の加速とグローバル人材の獲得を図る。
- ダイセル・・・カプロラクトン誘導体、車両PPF向け拡大 着色用含め世界で
- トクヤマなど3社・・・廃太陽光板ガラスを家具にリサイクル CO250%削減
トクヤマは日立製作所やイトーキの3社協業により廃太陽光パネルから回収した板ガラスをオフィス家具にアップサイクルする実証に成功した。
トクヤマの低温熱分解法で板ガラスを回収し、日立の非破壊強度推定技術で板ガラスの劣化の影響を評価。板ガラスを粉砕せずにオフィス家具の部材として再利用することを日本で初めて可能にした。イトーキはこの板ガラスを用いて会議ブースを試作。回収ガラスの微細な凹凸を残し視線を遮る意匠材として活用。板厚が限定されサイズも不均一な回収ガラスを効率的に再利用するため合わせガラス化し、ガラス面とスチール面を混合させて強度を保持するパネル構造を再設計した。天板素材やソファー張地にもアップサイクル素材を組み合わせている。 - 東レリサーチセンター・・・プラ熱分解 挙動の予測手法開発 リサイクル収率向上
- 東レエンジニアリング・・・極薄半導体チップを業界最高水準のスループットで実装する技術を開発
- 大日本印刷(DNP)と筑波大学・・・新薬開発向け生体模倣システム研究
- エフピコ・・・店舗輸送高効率のPSPトレー開発
THE PETROCHEMICAL PRESS
- 塩化ビニル樹脂(PVC)のインド向け9月価格上昇・・・AD最終案で先高観
- プラスチック循環利用協会・・・増量・品質向上へ研究会で課題抽出
- レゾナックなど27社・・・次世代半導体パックコンソ組み開発推進
デンカ・・・事業創出を促進 山田雅英執行役員CSOに聞く
既存・新領域 スピード感持ち開拓
コンペで切磋琢磨 外部連携も積極化
デンカが新規事業の創出に向けた研究開発に力を入れている。4月に研究統括(CSO)に就任した山田雅英執行役員に具体的な戦略を聞いた。
―研究開発の基本方針は。
当社の研究開発は新事業開発部門だけでなく全社で取り組んでおり、うち全社での研究開発は各事業部門の方針に従ってタイムリーに製品開発することを基本方針としている。一方、新事業開発部門は新規事業の創出に向けて、事業部門にひも付かない基礎研究などを主に担う。
新事業開発部門の研究ポートフォリオは既存事業からの染み出しのテーマが8割、既存事業の延長ではない飛び地(新しい領域)のテーマが2割を占める。現在は業績状況を踏まえ、足元を固める意味で染み出しのテーマの比率が高いが、この比率は事業環境によって柔軟に変化させる。
スピード感も強く意識している。新規事業の創出には3~5年ほどの長いスパンがかかるものも多いが、開発の後半になればなるほど製品に必要な評価項目が増え、時間もかかる。このため納期意識を強く持ち、開発の初期段階であろうが自分たちで立てた計画から遅れず、最後の最後まで粘って達成させる。
- コスモエネルギーホールディングスと静岡大発新興・・・バイオエタノール食品残渣原料を検討
- 塩ビ工業・環境協会(VEC)・・・7月のPVC、VCMの生産・出荷
- 日本スチレン工業会・・・2025年7月受払表
- 日本ポリプロピレンフィルム工業会・・・7月のOPP・CPP出荷実績
- 日本ABS樹脂工業会・・・ABS樹脂の7月国内出荷
- 発泡スチレンシート工業会・・・2025年7月のPSP出荷実績
- 日本化学繊維協会・・・7月の合成繊維生産・在庫量
- ベンゼン9月ACP・・・10㌦安の760㌦
- 東レ・・・人工皮革値上げ 、10月から10%
THE PETROCHEMICAL PRESS
- 日本化薬・・・水系IJインク 増産機に産業用拡大 軟包装用も来期投入
- エム・エーライフマテリアルズ(MAL)・・・衛材不織布 中空化技術で差別化 ASEANに照準
KHネオケム・・・事業部制導入の成果検証 販売から開発まで一元化
ソリューション自在に 全員参加で議論活発化 PHB事業化加速

千葉の冷凍機油原料プラント
KHネオケムが事業部制を導入して2年が経過した。既存製品の販売戦略や投資戦略、マーケティングなどの事業戦略の立案機能を一元化して強力に推進することを企図し、23年4月に従来の営業部と事業戦略部を「事業部」として統合。既存事業の新製品開発機能も事業部に集約し戦略策定から営業、マーケティング、開発に至る一気通貫の組織体制を構築した。
同社は25~27年の第5次中期経営計画で「新たな成長ステージへ」を基本方針に、稼ぐ力の強化、将来への布石、経営基盤の強化を基本戦略に掲げている。このうち事業部は稼ぐ力と将来への布石で実行部隊として取り組みを加速させている。各種溶剤や可塑剤原料などの基礎化学品から電子材料、世界トップシェアを誇る冷凍機油原料を主軸とする機能性材料と幅広い製品群を事業化している同社にあって、これらすべてを一つの部署で販売していくことの厳しさは想像に難くない。しかも事業部となってからは既存の新規製品の市場開拓もカバーしている。
- 住友化学・・・ラービグ株一部売却 再建プラン支援加速
- ダイセル・・・レジスト材料 EUV向け増産 需要増に対応
- 旭化成・・・IM法食塩電解装置 ポルトガル社で稼働
旭化成のイオン交換膜(IM)法食塩電解プロセスを採用した新たな電解装置がポルトガルで商業運転を開始した。独エンジニアリング会社CACと協業しポルトガル化学大手ボンダルティのエスタレハ工場で全9槽の電解槽のうち1槽を実証実験槽として導入。通常運転と並行して新電解槽を活用し、顧客の運転状況に応じた省エネ・最適運転を検証する。
旭化成のIM法電解プロセスは世界30カ国、160工場超で採用されイオン交換膜で世界首位、IM法電解槽で2位のシェアを誇る。同社のIM膜は耐久性と生産効率に優れ、電解プラント操業時の消費電力の低減に寄与する。このため環境規制の強化や電力価格の高騰にあえぐ欧州で特に高い評価を得ている。【写真】ボンダルティ・エスタレハ工場の実証実験槽と設置に携わった日欧合同のプロジェクトメンバー
- つばめBHB・・・グリーンエネ事業アフリカで本格化
- AGC・・・フッ素樹脂塗料 子会社株を譲渡
- 三井化学・・・未活用技術実装へ日本材料技研と協業
- 三井化学・・・触媒科学賞と奨励賞 応募受け付け開始