石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

帝人・・・複合成形材料 欧で車向け事業拡大

GF―SMC 第3ラインを増設

帝人は欧州で自動車向け複合成形材料事業を拡大する。ティア1(1次部品メーカー)として独BMWから電気自動車(EV)部品を受注したことで、チェコの工場でガラス繊維(GF)―シートモールディングコンパウンド(SMC)成形設備の第3ラインを増設し9月に稼働する。複合成形材料事業は主力の北米事業を7月に売却したが、欧州事業は拡大を加速させる。
BMWから受注した部品は多目的スポーツ(SUV)車EV「iX1」「iX2」と小型車ブランド「MINI(ミニ)」のEVモデル「ミニクーパー」のバッテリーケース=写真。欧米で販売されるこれら車種の約半分の同部品に帝人のGFSMC
成形品が採用された。同成形品は軽量で、複雑な形状の部品が一発の成形で得られ、部品点数や工程の削減によりトータルコストが金属部品に比べ低いことが高く評価されている。

バイオ燃料を低炭素の切り札に ENEOSの取り組み

総合的に供給網構築へ SAF、バイオエタノール 着実に進展

ENEOSはバイオ燃料を低炭素事業の強化・拡充の切り札に据え、製造プロセスの確立や原料調達、供給までのサプライチェーン構築に全力を注ぐ。SAF(持続可能な航空燃料)の供給体制確立を急ぐとともに、セルロース系バイオエタノールの製造技術確立で実証事業のスケールアップを図る。グリーン水素への独自の技術的アプローチもあきらめず研究開発を継続する。
◇     ◇
石油業界では化石燃料油に代わる低炭素燃料としてバイオ燃料にフォーカスしており、特に規制が整備されたSAFを先行的に事業化する向きが強い。ENEOSもSAFの安定供給体制を確立すべく、国産SAFの製造プロセス確立と海外からの輸入体制の整備の2本立てで取り組みを推進。SAF輸入では24年に国内石油元売りで初めて輸入を開始し、10社以上の航空会社に供給した。

  • カネカ・・・難燃繊維、アンチモンフリーに 高砂で年内量産化
  • JSP・・・台湾でEPP能力増強 AIサーバー梱包材が好調
  • クラレ・・・液晶ポリマー(LCP)フィルム「ベクスター」、FCCL用に注力
  • DIC・・・高機能エポキシ軸に収益拡大へ
  • クラレ・川原仁社長・・・ポートフォリオの高度化さらに推進

<特集>新たな成長の出 発点~技術トッ プに聞くR&D 戦略〈下〉 (2・3・5面)

化学産業は基礎原料や素材に付加価値を付けて発展を遂げてきた。新たな進化を求めて構造改革やポートフォリオ転換を加速するなか、研究開発力を駆使した新事業・新製品創出にも拍車をかけて研究開発体制の拡充にも力を注いでいる。また、過去数年の研究開発の成果が事業へと昇華する時機を迎えつつある。先進エレクトロニクスからモビリティ、ライフサイエンス、グリーンケミストリーと、取り組むべき課題は無限に広がる。各社は固有の強みを生かし、新たな成長領域への挑戦を続ける。主要化学メーカーの技術トップにR&D戦略を聞いた。

旭化成
松崎修
常務執行役員

  • 新事業、3領域の業際で創出
  • サステナブル研究開発収益性重視も推進

日本触媒
住田康隆
取締役常務執行役員

  • 開発テーマ絞り込み 成長、次世代、将来へ
  • ソリューションズ体制 現中計で確立

東亞合成
松崎英男
執行役員川崎フロンティエンスR&Dセンター長

  • 電池用固体電解質 有機、無機にHBも
  • 素材系医療機器、バイオ医薬 2本柱で市場展開

東ソー
土井亨
常務執行役員研究本部長

  • 自動化などで効率化
  • 新中計で成果 外部連携にも注力

三菱ガス化学
東友之
取締役常務執行役員研究統括管掌

  • 新事業、創出促進へ組織再編
  • 11月 平塚で新研究棟が稼働

三洋化成工業
藤井雄一
専務執行役員

  • バイオ系材料、農業からQOL向上
  • ウレタン 多彩なニーズに対応

ポリプラスチックス
松島三典
常務執行役員研究開発本部長

  • POM、改良技術でGHG削減
  • LCP、低誘電特性を向上

クラレ
須郷望
研究開発本部長

  • 開発品、生産をスケールアップ
  • 米に新拠点 新事業創出促進

カネカ
藤田かおる
R2B本部長

  • 新製品売上構成、27年度40%に向上
  • 生分解性ポリマーなど 実装加速へ

KHネオケム
磯貝幸宏
常務執行役員

  • 糖鎖、PHB 将来の布石を着実に
  • テーマ進捗 事業化フェーズへ

帝人
中原雄司
取締役執行役員技術戦略管掌

  • 顧客近接型を主眼に
  • デジタル・AIの戦略強化

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