石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

クラレ・・・開発品生産スケールアップ

正極材添加剤と バイオフィルム 早期事業化図る

クラレは、コーポレート研究で開発するリチウムイオン電池(LIB)正極材向け導電性炭素材料と、100%バイオマス原料ベースの水溶性フィルムの生産のスケールアップに乗り出す。早期の事業化につなげる考えだ。

  • 旭化成・・・バイオガス精製システム、海外展開へ 技術供与先を探索 無形資産を収益化

積水ソーラーフィルム 上脇太社長に聞く

フィルム型PSCで新市場開拓
30年1㌐㍗へ 段階的に能力拡大
積水化学工業は、次世代の再生可能エネルギーの一つとして注目されるペロブスカイト太陽電池(PSC)の事業化で他社を先行する。独自技術で高い発電効率と耐久性を兼ね備えたフィルム型PSCを開発し、政府の支援事業に採択され量産化に必要な資金確保にメドをつけた。今年1月にはPSC事業を継承し、日本政策投資銀行(DBJ)が出資する積水ソーラーフィルム(SSF)を発足させた。SSFの上脇太社長に今後の事業戦略を聞いた。
◇   ◇
 ――PSC開発の経緯は。
積水化学では11年からPSCの研究開発をスタートした。NEDOや政府の補助も受けながら性能向上の課題解決に取り組んだ。30㌢㍍幅のロール・ツー・ロール方式のフィルム型で変換効率15%、耐久性10年以上のPSCを開発し事業化への移行を判断した。積水化学には基礎技術開発を担うPVプロジェクトを残し、開発を継続していく。PSCの技術や特許を守り当社の競争優位を確保する。

  • KHネオケム・・・ 冷凍機油原料、安定生産でロスなく 増強効果と猛暑で好調
  • 三菱ケミカル・・・炭素繊維事業構造改革を加速 広島と米で生産縮小

<特集>新たな成長の出 発点~技術トッ プに聞くR&D 戦略〈中〉 (2~3面)

化学産業は基礎原料や素材に付加価値を付けて発展を遂げてきた。新たな進化を求めて構造改革やポートフォリオ転換を加速するなか、研究開発力を駆使した新事業・新製品創出にも拍車をかけて研究開発体制の拡充にも力を注いでいる。また、過去数年の研究開発の成果が事業へと昇華する時機を迎えつつある。先進エレクトロニクスからモビリティ、ライフサイエンス、グリーンケミストリーと、取り組むべき課題は無限に広がる。各社は固有の強みを生かし、新たな成長領域への挑戦を続ける。主要化学メーカーの技術トップにR&D戦略を聞いた。

ダイセル
塩飽 俊雄
取締役専務執行役員研究開発本部長

  • 短期テーマ セルロース、EVに力
  • 注力4領域 事業化へ開発進展

日本ゼオン
赤坂 昌男
執行役員研究開発本部長

  • 新製品事業化 アイデア創出に全力
  • 社内外連携 共創施設で活性化

積水化学工業
柏原 久彦
執行役員R&Dセンター所長 

  • コア技術融合 イノベーションを創出
  • 研究開発力 30年業容倍増に貢献

トクヤマ
岩崎 史哲
代表取締役専務執行役員

  • M&A活用 体外診断領域を拡充
  • 電極触媒 開発体制を再集結

三菱ケミカル
葛城 俊哉
常務執行役員チーフテクノロジーオフィサー

  • 開発モデル 目的別4領域に分類
  • テーマの新陳代謝が進展

住友化学
木全 修一
技術・研究企画部部長

  • 触媒利用CR実証 パイロット段階へ
  • 新研究棟 境界領域に可能性

ENEOS
田中 祐一
執行理事中央技術研究所長

  • 低炭素化へ方向転換
  • バイオエタノール 糖化と発酵同時に

THE PETROCHEMICAL PRESS

  • ポリプラスチックス・・・環状オレフィン新樹脂で市場拡大 高周波領域やPFAS代替
  • 帝人・・・マテリアル増益へ 今期 アラミド・CF改革
  • 積水化成品工業・・・再生EPSで収益拡大 今期パイロット工場を稼働
  • DIC・・・半導体用エポキシ千葉増設59%増強
  • 子ども化学実験ショー・・・元素組み合わせグッズに

日本化学会、化学工学会、新化学技術推進協会、日本化学工業協会の4団体で構成する「夢・化学―21」委員会は1~2日、東京・千代田区の科学技術館で「夏休み子ども化学実験ショー」を開催した。化学の不思議さや楽しさを子どもたちに体験してもらい、化学への関心を育むことを目的とする参加型イベントで、今年は小学生と保護者6千人近くが来場した。

今年は化学関連15社と1団体が出展し、16の化学実験教室と二つのステージイベントを加えた全18プログラムを展開した。各社の実験教室は人気が高く、受け付け開始直後に予定人数に達した。実験内容は各社が強みを持つ製品や技術を生かして、子どもたちが興味を持ちやすいテーマに工夫を凝らした。児童は若手研究者のサポートを受けながら、化学反応によるグッズづくりを体験。自らの手で完成させた作品を持ち帰り、化学を身近に感じられる機会となった。スマートフォンやインターネットといった仮想空間が遊び場となる現代社会で、五感を使ったリアルな実体験は貴重な場となる。実際、会場では驚きや発見に目を輝かせ、真剣に取り組む子どもたちの姿が目立った。

会場を視察した日化協の岩田圭一会長(住友化学会長)は「女の子の参加が多いと感じた。将来は『リケジョ(理系女子)』として化学業界で活躍してほしい」と期待を寄せた。さらに「BtoB産業であるわれわれにとって、消費者である児童と親が直接触れられるこのイベントは非常に意義深い。今後も継続・発展させていきたい」と語った。93年にスタートし30回目を迎えた子ども化学実験ショーは、夏の恒例企画として定着している。コロナ下の3年間の中断を経て23年に再開。入場制限のあった同年の参加者は1500人程度にとどまったが、24年は4千人台に拡大、25年は5900人を記録した。【写真】会場を視察する日化協の岩田圭一会長(奥中央)

  • TCE(帝人のドイツの炭素繊維(CF)事業子会社)・・・航空宇宙産業の国際認証を取得
  • 日本触媒・・・グループ協創センター始動
  • 三菱ガス化学と富士電機・・・メタノール原料水素FC実証へ
  • S―RACMO(住友化学子会社)・・・再生・細胞医薬CDMO倍増
  • 東レリサーチセンター・・・試料非破壊ナノ形態観察サービスを開始
  • 東洋紡・・・有機溶媒耐性分離膜 医薬品精製向け開発
  • エフピコ・・・スーパーアルプスとリサイクル協業強化
  • 塩化ビニル樹脂(PVC)・・・8月、PVC印向け下落 4ヵ月ぶり 中国その他横ばい
  • 国産ナフサ・・・4~6月6万6300円に下落
  • 化学製品値上げ
    ・クラサスケミカル・・・酢酸エチルと酢酸ノルマルプロピル(NPAC)を18日納入分から1㌔㌘8円値上げする。
    ・東ソー・・・塩化カルシウム液を9月1日出荷分から固形換算で1㌔㌘15円以上値上げする。
    ・東ソー・・・クロロプレンゴム(CR)硫黄変性グレードを9月19日出荷分から1㌔㌘120円以上(輸出は1㌧800㌦以上)値上げする。

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