石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

トクヤマ・・・テーマ絞り込み事業化促進

新中計は開発がポイント

トクヤマは26年度から次期中期経営計画の策定に全力を注いでおり、そのポイントは新製品新事業開発となりそうだ。電子、健康、環境の成長事業に対する積極投資を通じて稼ぐ力を身に着け、次期中計ではこれらの回収期を迎える。一方、新製品、新事業開発も順調で、テーマの多くが事業化直前のステージに上がってきた。中長期の利益成長を促す新機軸が求められている。

  • 三菱ケミカル・・・CFRP、ゼロ熱膨張品を開発 光学衛星反射鏡向け
    三菱ケミカルは、熱膨張率が極めて小さい「ゼロ熱膨張」のピッチ系炭素繊維複合材料(CFRP)を開発した。光学衛星の主要部材である反射鏡向けに展開する。従来のガラス反射鏡に比べ大幅な軽量化を実現できる利点などを訴求し、実用化を目指す。
    ゼロ熱膨張CFRPの熱膨張率は1度C当たりわずか0・08ppm。三菱ケミカルがピッチ系炭素繊維メーカーとして長年培った材料設計技術を生かし、CFRP開発ベンチャーのテックラボ(多摩市)の協力も得てゼロ熱膨張CFRPの開発にこぎ着けた。その用途の一つとして、光学衛星の反射鏡向けに提案を進めている。【写真】ゼロ熱膨張CFRPを使用した反射鏡

新社長インタビュー 宇部エクシモ 福永謙二氏

研究開発型企業に復権
6ヵ年中計30年度営業益倍増へ
「当社は研究開発型の企業。市場が変化し、そのスピードが加速するなかで成長を実現するには、原点回帰し今まで以上に研究開発を強化する必要があると考える。親会社のUBEとともに当社も今年度から6カ年の中期経営計画をスタートしており、30年までを見据えたうえで足元の3カ年の成長戦略を描き、推進していきたい」
同社はUBEの完全子会社。新社長に就任した福永さんは宇部興産(現UBE)への入社以降、ほぼ研究開発一筋。UBEグループが拡大を目指すスペシャリティ事業には、特に研究開発の強化が重要。さらに研究開発を強化することでスペシャリティ化を推進し、宇部エクシモならではの価値を顧客に提案していく考えだ。

  • ポリプラスチックス・・・低誘電LCP、ポリマーを年内開発 高周波領域を拡大
  • 積水ソーラーフィルム・・・PSC、年度内に1㍍幅生産 事業本格化へ
  • 国産ナフサ価格・・・4~6月9・7%安6万6300円に下落

<特集>新たな成長の出 発点~技術トッ プに聞くR&D 戦略〈上〉 (2~3面)

化学産業は基礎原料や素材に付加価値を付けて発展を遂げてきた。新たな進化を求めて構造改革やポートフォリオ転換を加速するなか、研究開発力を駆使した新事業・新製品創出にも拍車をかけて研究開発体制の拡充にも力を注いでいる。また、過去数年の研究開発の成果が事業へと昇華する時機を迎えつつある。先進エレクトロニクスからモビリティ、ライフサイエンス、グリーンケミストリーと、取り組むべき課題は無限に広がる。各社は固有の強みを生かし、新たな成長領域への挑戦を続ける。主要化学メーカーの技術トップにR&D戦略を聞いた。

DIC
有賀 利郎
常務執行役員技術統括本部長

  • R&D変革 グローバル×先端技術
  • 事業創出 社会に直接価値提供

三井化学
柴田 真吾
常務執行役員研究開発本部長

  • 次世代技術 〝共創空間〟で創出へ
  • DSLで研究開発力強化

JNC
木部 茂
執行役員研究開発本部長

  • 研究テーマ シーズからニーズへ
  • 研究開発再編と未来に挑戦

クレハ
大倉 正之
研究開発本部長

  • PVDFなど資源集中
  • 人材育成 若手に成功体験を

丸善石油化学
山本 雅則
取締役執行役員

  • レジスト用機能性樹脂、開発から人員強化
  • コーポレートR&D第3の柱づくりへ

日本化薬
加藤 康仁
取締役常務執行役員テクノロジー統括管掌

  • ありたい姿へ 4分野で新事業育成
  • 環境エネルギー 2件を近く実用化

日鉄ケミカル&マテリアル
久保 祐治
常務執行役員総合研究本部長

  • 未来材料戦略 新体制で応用領域拡大
  • 基盤技術を軸に市場開拓

タキロンシーアイ
洪水 治執行
役員研究開発本部副本部長

  • ナノ材料など5重点領域で新製品
  • 新研究所 技術ハブセンターに

THE PETROCHEMICAL PRESS

ダイセル・・・木材3成分の市場拡大

バイオマスバリューチェーン 溶解分離し用途開拓

ダイセルは、バイオマスバリューチェーン構想を研究開発部門で注力する中長期テーマの一つに掲げ、社外とも緊密に連携し革新的な製造プロセスで実現に取り組む。金沢大学とは木材中の3成分(セルロース、ヘミセルロース、リグニン)を溶解する技術と、分離後に高付加価値品として展開する技術の構築を目指し、まずセルロースで用途開拓に取り組む。京都大学とはすべて溶解したうえでの活用に向けベンチプラントを立ち上げ、フィルムや接着剤などへ展開を目指す。

  • 第一工業製薬・・・LIB用バインダー、滋賀に続き増産 四日市に新設備
  • 積水化成品工業・・・構改メドで成長戦略へ 収益構造転換 ポリマー微粒子を軸に
  • 旭化成・・・ウイルス除去フィルター 延岡に新紡糸工場建設
  • ポリプラ・エボニック・・・透明PA、眼鏡フレームに採用 重厚感、快適性両立

    ポリプラ・エボニックの透明ポリアミド樹脂(PA)「トロガミド」がセイコーオプティカルプロダクツの革新的な眼鏡フレーム「セイコーライトアンドフィッティング・ブラックリーフ」シリーズに採用された。
    同シリーズは重厚感と快適性の相反するニーズを両立するべく開発された。セイコーオプティカルプロダクツは従来のアセテート素材で難しかった薄型・軽量で高級感あるデザインの実現に向けてトロガミドに着目し、開発担当者は「通常、フレームが重いと長時間の着用で耳や鼻に負担がかかり、軽すぎると高級感が損なわれるが、その両立を可能にした」としている。
  • 化学品WG・・・東海・中国で鉄道輸送共同物流実証
  • ダウ・・・高精度PEで循環型包装支援

最近の記事一覧石油化学新聞一覧