THE PETROCHEMICAL PRESS
- テクノUMG・・・ABS樹脂、新成長戦略で利益拡大 付加価値品を拡販 インドに営業拠点新設
国内最大のABS系樹脂メーカー、テクノUMGは25年度から新たな成長戦略に乗り出した。高付加価値製品を国内外で拡販するほか、中国やインドなどで新規顧客を開拓する。国内の需要減少に対応した生産体制の最適化も進め、コア営業利益の大幅な改善を図る。
3年目迎えた東洋紡エムシー 森重地加男社長に聞く
環境・機能材 M&A結実し飛躍へ
モビリティ関連 30 年売上高 1000 億円に
東洋紡の環境・機能材事業を継承し、三菱商事との共同出資会社として発足した東洋紡エムシーが23年4月の事業開始から3年目を迎えた。今後どのような成長戦略を描くのか。森重地加男社長に施策などを聞いた。
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―東洋紡が公表した環境・機能材事業の24年度売上高は前期比4%減の1108億円、営業利益は71%増の80億円でした。この1年を振り返ってください。
二つのサブセグメントのうち樹脂・ケミカルは、塗料バインダーや接着付与剤など高機能樹脂を展開するバイロン・ハードレンの業績が中国の景気減速を受け厳しかったが、自動車関係のエンジニアリングプラスチック、印刷用感光性樹脂版など光機能材料の出荷が堅調だった。
環境・ファイバーは、リチウムイオン電池セパレーター製造工場などに使われる揮発性有機化合物(VOC)回収装置の販売が年度後半に電気自動車(EV)市場の低迷で失速したが、かん水からリチウムを濃縮回収する塩水濃縮(BC)膜がビジネスとして始まった。不織布マテリアルも
国内生産体制の見直し進展で収益性が改善した。
施策面では産業排気処理プラント用フィルターバグ(ろ布)などを手掛ける子会社(現カンキョーテクノ)と短繊維不織布を手掛ける子会社(呉羽テック)を日本毛織(ニッケ)に譲渡した。いずれもニッケのもとで展開するほうが企業価値を向上につながると判断した。
- 帝人・・・技術戦略組織を始動 来春 シーズ獲得へCVC
- 石油化学工業協会・工藤幸四郎会長・・・「競争力の源泉に」高付加価値誘導品とGX
- ダイセル・・・EV用30年度売上高200億円へ グループ総力で拡大
- 石油化学工業協会・・・6月の石化製品生産実績
<特集>自動車の進化に求められる化学素材と技術 (2~3面)
自動車産業が大変革期を迎えたと言われて久しい。ただ、景気停滞や中国の電動車(EV)台頭と各国市場の混乱、米国の関税政策と供給網の分断など不透明感は強まる。サステナビリティーの潮流は変わらずとも、モビリティの進化は一辺倒ではない奥行きを感じさせる。そこで求められるのは特徴的な化学素材・技術にほかならない。化学企業の多くはモビリティを成長分野に位置付けて取り組みを一段と強化している。
- アラミド、EVタイヤ用に商機
- リサイクル長繊維が初採用
- 潤滑油添加剤 省燃費性能さらに向上
- BDFやEV駆動向け 新製品開発
- PA9T、世界で採用が本格化
- 物性評価浸透 高電圧、熱対策も
- 放熱材料用アクリル樹脂、車載TIM向け拡充
- 世界に拡販 売上高3倍増へ
- PPコンパウンド、技術力で他社リード
- 高機能品と基軸製品 2軸戦略を推進
- 安全部品、アジアのIFに注力
- スクイブ EV電流遮断用へ
自動車用内燃機関技術研究組合 上原隆史理事長に聞く
CNシナリオ 内燃機関ネットゼロへ
素材メーカーと連携 可能性を模索
自動車用内燃機関技術研究組合(AICE)は、エンジンの高効率化や低排ガス化の課題解決を目的に14年に設立された。欧州のコンソーシアムを参考に、企業と大学が協力する産学連携のプラットフォームを構築。競争法の観点から基礎研究と応用研究に焦点を当て企業の製品開発とは分離して研究を実施する。将来の自動車業界に必要な人材育成にも貢献する。
特にカーボンニュートラル(CN)技術の研究に注力。内燃機関の役割を再定義するとともに、「CN技術シナリオ」を採用し燃料の燃焼によるCO2排出ゼロの実現を目指している。内燃機関の可能性について上原隆史理事長(トヨタ自動車パワートレーンカンパニープレジデント)に話を聞いた。
―パワートレインの方向性は。
世界の自動車業界では、環境意識の高まりや政府の規制強化を背景に車両の電動化(xEV化)が急速に進んでいる。EVの販売台数は足元で減速しているものの、長期的にこの流れは止まらないだろう。しかしxEVのバッテリーには重量やスペース、リサイクルといった課題が残る。一方、内燃機関は優れたリサイクル性を持ち、エネルギー密度の高い化石燃料の変換装置として存在価値がある。世界各地域の状況に応じて一定の需要が続くと考えられる。
現在、世界中の自動車メーカーは多様なパワートレインの可能性を探りながら事業を展開しており、AICEも同じ考えになる。内燃機関は車両全体の発展にも寄与する重要な技術であることに変わりはない。現時点でも改良の余地は大きく、燃焼効率の向上や環境負荷の低減に向けた研究の継続が不可欠と考える。
―AICEの構成メンバーは。
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- タキロンシーアイ・・・フィルム型PV開発加速
- タキロンシーアイ・・・三田総合研究所 来春開所へ準備
- UBEと熊本大学発ベンチャーのGALTSファルマ・・・新規低分子化合物ライセンスを供与
- 東レ・・・サウジ海淡にRO膜を供給
- 石油化学工業協会・・・6月の汎用4樹脂の出荷実績