石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

出光興産・・・国内石化適正化の要に スチレンチェーン 原料供給で堅守

27 年1~3月にクラッカー停止完了

クラッカーは止めてもSMは現体制を堅持する

出光興産は国内の石油化学製品の能力適正化で扇の要の役割を担う。戦略製と位置付けるスチレンモノマー(SM)は東西2拠点で国内最大の生産体制生かし、原料の安定供給を通じて日本のスチレンチェーンを堅守する。一方、千葉事業所(市原市姉崎)のナフサクラッカー停止は製油所が定修を行27年1~3月に完了する予定。今年度上期中に基本設計(FEED)を完了せ、下期には統合化の最終意思決定を下す。

新社長インタビュー・・・ダイセル 榊 康裕 氏

次期中計 アイテムの収益化を 次世代事業 競争力強化へスピード感

「小河義美前社長とは年齢が一つ少ないだけで、世代交代とは言い難い。社長が製法転換など、さまざまな施策を考えて実行に取り組むなか、私は事系の側からサポートし、ともに成長を目指してきた。中長期の成長に向け、イデアマンでもある前社長が中心となって仕込んだいろんなアイテムを引きぎ、出口を考えながら26~30年度の5カ年中期戦略で現実のものにし、収益結びつけていくのが私の大きな使命と捉えている」
現行の中計は今年度が最終年。これを推進しながら次期中計の策定作業もめている。これまで長期ビジョンでゴールとする「循環型社会構築への貢」向け、バイオマスバリューチェーン構想などの施策を掲げ、さまざまな角度ら取り組んできた。新社長は、こうした取り組みにメリハリをつけ、推進体の最適化なども含めて具体化させることに力を注ぐ。

  • ユニチカ・・・フィルム、包装用製品構成を改善 ガスバリア品増産検討
  • 東ソー・・・南陽事業所、CR増設に750億円投資 30年春、能力6割増
  • 日本ゼオン・・・中計第3フェーズ、ポートフォリオ改革 成長事業に資源集中

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ハイケム・・・半導体基板向け樹脂開発

高耐熱性と低誘電性を両立

ハイケムは、半導体パッケージ基板向けにビスマレイミド(BMI)・シアネート樹脂「HRポリマー」を開発した。同用途に求められる高耐熱性と低電性の両立を実現した。日本、中国や台湾市場を開拓する。既に複数の顧客のサンプルワークを進めており、1年後をメドに本格販売を開始する。

石化連携に同調する住友化学 水戸信彰社長に聞く

有機化学の技術を追求 将来見据え「より大きな絵」を


「有機合成化学は誰にも負けない。ここにフォーカスし、多彩な事業の中本当に強いところに限られたリソースを集中投下していくことが当社の勝ちだ」。
4月1日に就任した住友化学の水戸信彰社長は、同社創業の原点に帰し技術オリエンテッドな経営を推進する考えを強調する。80年ぶりとなる術系トップで同社史上初の農薬事業出身の社長である。コングロマリット経を貫く共通点は有機合成の技術力であり、また、顧客との緊密な擦り合わせ安定供給の信頼性にほかならない。
同社は24年度に収益のV字回復を果たた。ただし、新たな成長軌道に回帰するためには「ROIC(投下資本利益)やROE(自己資本利益率)など財務指標の改善が必要で、ここを大き経営課題と位置付ける」考えだ。具体的には投下資本を減価償却費内に抑え一方、戦略投資は成長ドライバーである情報電子材料と農薬関連の二つに集。25~27年度の中期経営計画では3カ年の戦略投資枠2300億円の約8に当たる1800億円を2事業に配分する。

  • 宇部エクシモ・・・シリカ系粒子、大粒径品を開発 真球状で最大300㍈
    (写真=高純度シリカ粒子の大粒径グレード)
  • 帝人・・・豪ソーラーカーレース用タイヤ 補強材にパラ系アラミドが採用
  • 東レ・・・透析患者向け機能搭載 PHRアプリ開発
  • 住友化学・・・バイオ原料LCP27年度供給目指す
  • カネカとミズノ・・・生分解性樹脂で人工芝 環境負荷を低減
    Green Planet製人工芝と充填材(白いペレット状のものが充填材)
  • 名大と早大・・・白金族5種合金の単結晶化触媒合成
  • 日本触媒・・・GMP準拠の核酸医薬品を10倍増強
  • 芝浦工大とサイバネット・・・UV接着剤の硬化過程予測技術開発

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  • UBE・・・CPL構造改革 スペインCN化 宇部、併産含め停止
  • 帝人フロンティア・・・帝人F参画の協議会 防災の輪拡大へ会合
  • 出光興産・・・原油外航配船計画に数理最適化システム
  • 芳香族工業会会長に太陽石油の船木氏

船木保宏会長

日本芳香族工業会は定時総会で新会長に太陽石油の船木保宏執行役員、新副会長に丸善石油化学の蒲池良二常務執行役員を選任した。
総会後の懇親会で船木新会長は「石油化学業界は供給能力の過剰や需要の低迷により、厳しい状況にある」との認識を示した。
課題であるカーボンニュートラル(CN)への対応も触れ「世界経済の不確実性が高まったことで、各社は理想と現実とのギャップに気付き始めた」と指摘。CNにどう取り組むべきかが改めて問われているとべ、対応の強化を訴えた。

  • 東亞合成・・・大分のアクリル酸ISCC認証取得
  • ソーダ工業会・・・国内供給体制を強化
  • 日本バイオプラ協会・・・会長に帝人の中石氏

中石昭夫会長

日本バイオプラスチック協会は10日の定時総会で小山俊也会長の退任に伴う新会長に帝人の中石昭夫ミッション・エグゼクティブを選任した。中石新会長は総会の懇親会で「バイオベースプラスチックと生分解性を持つプラスチックはまだ存在が大きいものとは言えないが、持続可能な社会を実現するソリューションとして認知度向上と普及、業界の健全な発展に向けて力を尽くす」と抱負を述べた。 同協会は1989年に設立。生分解性プラ識別表示制度、バイオマスプラ識別表示度、海洋生分解プラ識別表示制度の運用などを手掛ける。25年に任意団体から一般社団法人化した。会員は5月1 日現在、樹脂、加工、最終製品メーカー、商社ど403社(正会員24社、賛助会員36社、マーク会員343社)。

  • 経済産業省素材産業課・・・主要石化製品の各社別生産能力
  • 財務省貿易統計・・・2025年4月石化品輸出実績、2025年4月石化品輸入実績
  • 日本ソーダ工業会・・・2025年4月カセイソーダ出荷内訳
  • 日本プラスチック板協会・・・2月の硬質塩化ビニル平板生産出荷実績、2月の硬質塩化ビニル波板生産出荷実績、2月のポリカーボネート平板・波板生産出荷実績
  • 化学製品値上げ
    ・三菱ケミカル・・・ポリビニルアルコール(PVOH)とその特殊銘柄、反応型PVOH用架橋剤を16日出荷分から1㌔㌘50円(輸出は1㌧350㌦または00ユーロ)値上げする。
    ・三菱ケミカル・・・メタクリル樹脂製品を7月1日出荷分から値上げする。上げ幅は原燃料費とその他諸費用の上昇を踏まえ個別に算出する。

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本州化学工業・・・30年目標へ攻勢

ビフェノール 27年から増産

本州化学工業は30年度に向けた長期ビジョン「HCI500」の達成を目し攻勢をかける。中核事業は需要動向に沿ったビフェノールの生産能力増、主・三井化学とのシナジーも生かした電子材料や特殊ビスフェノールの拡大どで成長を加速。使用される製品としての機能評価体制を整備するなど、新事業の創出に向けた研究開発も強化する。ビフェノールの増強は当面ボトルック解消によって対応する考え。27年から増産を可能にし、年産1万㌧程度を供給できる体制を目指す。

  • 東ソー・・・成長と脱炭素両立 四日市で施策推進 先端事業拡充 研究開発の成果発揮

    20年に稼働したナフサクラッカー。四日市事業所は計15基を擁する

    中長期の経営課題に「『成長』と『脱炭素』の両立」を掲げる東ソー。そんな同社が石油化学事業の主要拠点、四日市事業所(三重県四日市市)で課題実現向けた施策を推し進める。脱炭素に向けた設備投資を検討し、近年実施した研究開発機能強化の効果も発揮する。成長分野の「先端事業」の生産も拡充してい。
    四日市事業所は70年、伊勢湾の出島形式の人工島にある第3コンビナート(通称・霞コンビナート)で操業開始。面積は約114万平方㍍で、同コンビナートの5割弱を占める。ナフサを熱分解して得られるエチレンなどの基礎原料から塩化ビニルモノマー、ポリエチレン、キュメンなど誘導品を生産するほか、基礎原料や電気、蒸気をコンビナート各社に供給し、同コンビナートの中心的な役割を担っている。

  • 三井化学・・・MDI、韓で次期増設検討 旺盛な需要に対応
  • UBE・・・窒化ケイ素、コスト競争力強化 基板用の拡販加速
  • 群栄化学工業・・・30年度 営業益40億円に 6ヵ年中計始動
  • 日本ゼオン・・・バイオプロセスで合成ゴム原料生産 研究棟竣工
  • 横河電機・・・中国企業グループと自律制御で協業契約
  • 千葉大院の泉教授ら・・・酸化ジルコ光触媒でCO原料に別物質光強度順に作り分け

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