総合面
国交省概算要求、新築賃貸住宅に補助金
ZEH水準 省エネ確保 高効率設備導入を後押し

ZEH住宅は省エネ基準に比べ、より高い断熱性能と住設の1次エネ消費量20%削減が必要
国土交通省は8月26日、来年度の概算要求をまとめた。住宅局は新築の賃貸住宅を対象とする補助金を新設し、ZEH水準の省エネ性能を確保するための高断熱化と給湯器など高効率設備の導入を支援する。賃貸集合住宅への高効率給湯器導入の後押しになると期待される。また、既存住宅や建築物の高効率給湯器や断熱窓への改修に対する補助金は拡充、継続する。
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<トップインタビュー>マスダガス&リテイリンング・中野浩樹社長
新たな価値を創造 アストモスと資本提携 シナジーで飛躍へ
マスダガス&リテイリング(本社・福岡市)は2024年6月に増田石油とアストモスエネルギーの資本提携による新社として誕生。創業100年を迎える増田石油を中核企業とするBEYONDグループのLPガス事業と、それに付随した生活関連サービスを一手に担っている。両社の強みを掛け合わせ、カーボンニュートラルやデジタルなどの技術革新による課題解決とさらなる発展を図る。今年2月1日付で第2代社長に就任した中野浩樹氏に聞く。
―社長就任の抱負と、新社設立の背景を。
当社は増田石油とアストモスエネルギーそれぞれの歴史と信頼を融合し昨年6月に発足した。われわれはLPガスというライフラインを支えることで、地域社会の安心と安全を守る崇高な使命を担っている。大きな責任を果たし、地盤を確固たるものとするため、両社の強みを最大限に生かした事業基盤の確立に全力を注ぐ。互いのノウハウを掛け合わせて生まれるシナジーを追求し、効率的で強靭なサプライチェーンを構築していく。
首都圏版
明治記念館、婚礼などに用いる特別仕様車にLPG車導入
環境負荷低減や経済性評価

明治記念館が導入した3台のLPG車
都内有数の総合結婚式場・明治記念館とフォレストテラス明治神宮・桃林荘は、婚礼などに用いる「特別仕様車」として、トヨタ・ジャパンタクシー3台を導入した。新郎新婦やVIPの送迎に使用しており、快適な車内空間や乗り心地、デザイン性や整備性の高さを評価した。環境負荷の小ささや燃料費削減など、LPG車ならではの特徴も採用の決め手となった。
新車両はクラシックな高級車をモチーフに、内外装にこだわりのカスタマイズを施した。
外装にはマルーン(赤褐色)とブラックのツートンカラーを採用。ボディーラインに沿ったゴールドの装飾やオリジナルホイール、明治記念館ロゴ入りのエンブレムをアクセントに、上質で洗練された雰囲気を演出した。後部座席は外装に調和した特別色の本革シートに変更。婚礼用
途を意識し、3台すべてのナンバープレートに「1122(いい夫婦)」の数字を割り当てた。
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地方面
北海道=JGEトークコンテスト北海道大会
4選手がしのぎ削る

JGEトークコンテスト北海道地区大会に出場した(左から)前田恭輝、江口陸哉、水上晃良、大原秀之の各氏
ジャパンガスエナジー東日本支店北海道営業所(佐井臣史所長)は8月20日、今年度のJGEトークコンテスト北海道地区大会を札幌市の札幌ガーデンパレスで行い、4選手が競った。
いちたかガスワンの大原秀之氏がゴールド賞に輝き、11月21日に東京都内で行われる全国大会
への切符を獲得した。
東北=宮城県協の検定試験対策講習が効果てきめん 受講者軒並み高合格率
保安業務員は 100 %

6月24日に実施した第二種販売の検定試験対策講習
宮城県LPガス協会(渡邉政博会長)は保安業務員と第二種販売、丙種化学液石の検定試験直前の6月に検定試験対策講習を行ったが、いずれの資格も講習を受けた受験者の合格率は、オンライン講習だけで本番に臨んだ受験者の合格率を上回った。保安業務員の受講者の合格率は100%だった。
法定講習がオンライン化されると合格率が下がると危惧して始めた検定対策講習。丙種化学と二
種販売は2022年から始め、昨年度から保安業務員と設備士も加えて四つの検定対策講習を行っている。今年の検定試験日は保安業務員が6月12日、丙種化学6月27日、第二種販売7月4日で、その直前の日程でそれぞれ対策講習を実施した。
約1カ月後に合格発表があった。県内で保安業務員の検定試験を受けたのは90人で合格者80人、合格率88・9%だった。受験者90人のうち対策講習を受講した人は25人で全員が合格した。
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中部=石川県協、復興公営住宅供給に力
珠洲や輪島など秋に再度提案へ

山本久雄会長
能登半島地震から1年半以上が経過し、今年は復興元年と言われる。山本久雄・石川県LPガス協会長は本紙取材に対し、「既に仮設住宅の建設はすべて完了し災害公営住宅(復興公営住宅)の建設段階へとシフトしている。用地確保の問題などまだまだ遅々と進まない部分も残るが、今後はそうした住宅へのLPガス供給をしっかりと実現することが目標だ」と述べた。
石川県の「復興公営住宅の整備に向けた進捗状況」(表参照)によると7月31日時点で、9市町で3千戸程度の戸数建築が必要だとしている。ただ、用地確保が難航するなど建設のメドが立っている割合は現時点で極めて低いとされる。
災害公営住宅は、現在仮設住宅に入居中で自宅再建が困難な被災者を対象に、国の助成を受けて自治体が整備する家賃を抑えた住宅。
山本会長は、奥能登では七尾市など一部地域でのオール電化への動きも注視しながら、現地支部と連携し市への働きかけを継続する方針だ。「能登半島地震はあれほどの甚大な被害を出したが、LPガスでライフラインは早急に復旧した。この強みをアピールし、災害公営住宅でもLPガスを供給してもらえるようにしなければいけない」と気を引き締めた。
近畿・四国=滋賀県協青年委、県にデリステと容器寄贈
寄贈式には「野洲のおっさん」も

デリバリーステーションの鍋のふたを手にする北川純二防災危機管理監(左)と青山新弥委員長。後ろは青年委員
滋賀県LPガス協会青年委員会(青山新弥委員長)は8月20日、滋賀県にデリバリーステーションと8㌔㌘ガス容器を寄贈した。地域の災対力強化を支援するのが目的。県本庁舎前で寄贈式を行い、北川純二・滋賀県防災危機管理監(防災危機管理局長事務取扱)が出席した。地元テレビ局びわ湖放送の人気キャラクター「野洲のおっさん」も駆け付け番組を収録した。

県庁職員にも大人気の「野洲のおっさん」
式典には青年委員12人、協会事務局2人、岩谷産業2人、防災機器管理局17人が参加、びわ湖
放送や一般紙が取材した。青山委員長は「災害がなく炊き出しせずに済むのが一番だが、危機管
理センターの展示でも滋賀県で30年以内に震度6弱以上の地震が起こる確率は17%と紹介している。万一の災害時に『備えあれば憂いなし』としたい」とあいさつした。
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中国=山陰酸素、JGEトークコン社内予選開催
鳥取支店の福田佳祐氏が中四国大会へ

社内予選会で優勝した福田圭祐氏(中央)と選手ら
山陰酸素工業(本社・米子市、並河元社長)は8月5日、本社で2025年度JGEトークコンテスト社内予選会を開いた。5人が出場し鳥取支店LPガス課の福田圭祐氏が優勝した。福田氏は10日、岡山市のホテルグランヴィア岡山で行われるJGEトークコンテスト中四国大会に出場する。
開会式で三輪淳二取締役常務執行役員営業本部長があいさつした後、予選会を開始。顧客設定は15年前、新築戸建て住宅を購入した結婚33年目の夫婦。夫は以前より節約志向が強く暖房費を気にしており、妻は家族との時間を重視し「もう少し快適に過ごしたい」と考えている。住宅には経年したガス給湯器、3口ビルトインこんろがあり、電気エアコンなどを備える。担当者が定期点検時、給湯器交換を提案。年末に孫が遊びに来ることを考え「暖かく安全なガス機器はないか」と問い合わせ、担当者が再訪し提案するシナリオ。
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九州=熊本豪雨、浸水や容器転倒多数
広範囲で被害も全容未確認

流出防止措置の強化もあり現在まで容器流出の報告はない(上天草市、8月13日撮影)

床上浸水し水かきに追われるコインランドリー(天草市、12日)
九州北部を8月10日から11日にかけて襲った記録的な豪雨で、熊本県では熊本市随一の繁華街、下通アーケードで発生した大規模な内水氾濫をはじめ、県内の広い範囲で浸水や土砂崩れが多発した。LPガス関連の被害も広範囲に分散し局地的に発生しているが全容は分かっていない。熊本県LPガス協会へのファクスまたはLINEによる被害報告率は8月26日正午時点で
91・3%。
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住設・新技術
- パロマ、テーブルこんろ最上位モデルを一新 レンジフード連動搭載
- ノーリツ、ラク家事浴暖「シャーン」がキッズデザイン賞に

ノーリツ(本社・神戸市、竹中昌之社長)のラク家事浴室暖房乾燥機「シャーン」=写真=が第19回「キッズデザイン賞」の「子どもたちを生み育てやすいデザイン部門」を受賞した。
同賞はNPO法人キッズデザイン協議会が主催する。2007年に「子どもたちが安全に暮らす」「子どもを産み育てやすい社会をつくる」などの目的を満たす製品・サービス・空間・活動・研究から優れた作品を選び社会に発信するために創設された。大人や一般向けでも、子供や子育てに配慮したデザインであれば対象となる。
シャーンは同社独自技術の「アクアオゾン」を実装したオゾン水除菌ユニットを搭載。スイッチを押すだけでオゾン水の散布、換気・乾燥までを自動で行い、ピンク汚れや黒カビの原因菌の発生
を99・9%抑制する。
- ホームハイテック、転倒防止ベルトの新「ぐる~とひと巻くん」ラチェットで強固結束
<防災特集> 奥能登は今=本格復興へ立ち上がるLPガス
2024年元日に石川県奥能登地方を襲った能登半島地震から1年半が過ぎた。石川、富山、新潟の3県の犠牲者(災害関連死含む)は650人超、全半壊家屋は3万棟弱に及び大きな爪痕を残したが、地元の人々は力を振り絞り、復旧・復興に向けて動き出した。しかし、その傷も癒えない同年9月、今度は非情な豪雨が襲う。山の斜面が崩れ土石流となってインフラを破壊、川が氾濫し流木が幹線道路を遮断した。再び人々を不幸に陥れた自然災害の恐怖。それでも奥能登の人々は歩みを再開した。今年2025年を真の「復興元年」にしようと立ち上がり、奮闘を続ける現地のLPガス販売事業者の声と復興の現状を取材した。
・小森商会(輪島市)=エネ特性前面に燃転 エコキュート40件ガス化
・室金物産(輪島市)=LPガス評価の声広がる 災害公営住宅向け期待
・川端商店(珠洲市)=市に体育館GHP要望 本復旧へ公共福祉に貢献
- カメラアイ/地域復興へ官民挙げ支援・協力
- 現場ルポ/事例に学ぶBCP対策、常設提案
災害時の長期停電でも自立稼働できる分散型エネルギーとしてLPガスが病院、福祉施設や避難所などで生命線をつなぐ役割を果たしている。新たな防災の観点として日用品やサービスを災害時にも役立つようデザインする「フェーズフリー」が注目されているが、LPガスはまさにフェ
ーズフリーなエネルギー。激甚化する自然災害に備え訓練を重ねBCP対策を講じることはもちろん、LPガスの特性を生かした災害対応バルク、LPガス発電機、GHPなどの平時利用も踏まえた常設提案が重要性を増す。災害に強いLPガスをビジネスにつなげるヒントを探りたい。
・カネコ商会=地域防災に貢献継続 ノウハウ鍛えフルに反映
・グッドライフサーラ関東=所沢営業所、中核充填所の資質磨く 地域に安心感供与
・八戸液化ガス=停電対策総仕上げ 本社と2営業所で非常用発電機完備急ぐ
・八幡市=電源自立GHPを全12校体育館に LPガス仕様7校に
・エネアーク関西=教育・訓練・施設強靭化 有事即応へ行動力磨く
・福岡酸素=肥薩営業所の社屋と設備一新 事業継続・働きやすさ両立
・ホームエネルギー南九州=全6拠点に充填機能 タクシー会社の生命線担保
公立学校体育館などへの空調設置状況
- 有事に備えを~災対一押し商品
国土強靱化の充実強化が一刻を争う課題となるなか、LPガスの特性を存分に発揮するためにも事業者がなすべき課題は多い。まずはLPガス供給設備の強靱化。マイコンメーターとガス警報器の連動率向上、非常時を視野に入れた災害対策用ユニットや非常用発電機の普及、そして非常用の供給設備を〝常用化〟していくことが不可欠だ。防災需要の開拓や常用化、BCP対策を後押しする商品とシステムのラインアップを紹介する。
・桂精機製作所=ガス漏洩遮断機能付きの「グラピタ」 風水害や落雷・地震に有効
・I・T・O=生活用水浄化装置「ウォーターリリーフ」 シャワーや洗濯機の水源に
・デンヨー=非常用発電機、待望の125KVA機を上市 省スペースで低騒音
・新コスモス電機=火災警報器「プラシオ」、家庭向け普及促進 CO検知で早期発見
・富士工器=バルクユニット、多彩な機器に接続可能 避難生活の質向上
・矢崎エナジーシステム=低圧発電機を累計1万6千台販売 個別供給の強み発揮
- 防災庁設置でどう変わる政策の方向性展望
石破茂政権の肝いりである2026年度の「防災庁」設置に向け、その役割を検討する政府の防災庁設置準備アドバイザー会議(主査=福和伸夫・名古屋大学名誉教授)が6月4日に報告書を公表し、その組織構想が明らかになった。報告書の冒頭では個人、企業、地域、産業などがかけがえのない存在であることを前提に「皆で共に創る防災立国」の考えがうたわれている。なぜ今、防災行政の抜本的な見直しが求められるのか。そして防災庁設置で何が変わるのか。報告書のポイントを読み解き、防災政策の方向性を展望する。
- 供給設備を強靭化
7月末にカムチャツカ半島でM8・8の地震があった。同規模の地震が国内で発生すれば、ライフラインに甚大な被害を及ぼすだろう。自然災害と隣り合わせの日本では、どの地域がいつ被害にさらされるか誰も分からない。トカラ列島では6月以降、震度1超の地震が2千回以上発生しており、国内での大地震の発生を危ぶむ声もある。地震のほかにも台風や、近年は突発的な集中豪雨による風水害が増えている。加えて想定外の大雪で、寒冷地ですら大きな被害が生じている。年初に青森県で発生した豪雪災害は、死傷者179人を出すまでの規模になった。平常時だけでなく災害時にも力を発揮するのがLPガス。こうした自然災害が発生した時も供給を維持し、ライフラインを支えるためには、LPガス事業者自身の備えが欠かせない。エネルギー供給の最後の砦としての力を発揮するには、供給設備への災害対策に万全を期す必要がある。供給先の安全を守るためにも、安全性の高い機器の採用を進めたい。