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全国LPガススタンド協会
常任理事 柳 也主男氏
LPガス自動車普及促進協議会 事務局長 吉田 稔氏
全国LPガススタンド協会
専務理事  内田 賢氏

LPガス車は現在、国内で約29万台、世界中で600万台の走行実績がある。国内ではタクシー需要と、近年、民間企業や地方自治体によるディーゼル代替を目的としてた塵芥車など多様な用途での導入が地道に進められている。黒煙を出さず、排気ガスがクリーンなLPG車は低公害車の四兄弟(電気、天然ガス、メタノール、ハイブリット車)に比べはるかに歴史と走行実績において他を圧してきた。LPG車は、導入した各機関から大気汚染防止や労務環境の改善を含めた広い意味の環境面に優れた自動車と評価されている。また、地方では電気や天然ガスの充填(電)インフラが少ないため、インフラが整備された低公害なLPガス車への人気は都市部に比べ高い。しかし、環境政策や自動車政策においては省庁間の規制の違いなどが厳然としてある。例えば、LPG車はガソリン車からの改造対応車について車検時燃費データの要求がないほか、省エネのための燃費基準もないのが現状で「低公害車」など公的認知がないため、導入の動機付けに欠ける点が多々あった。最近ではLPG車が四月に施行されるグリーン購入法(国などによる環境物品等の調達推進等に関する法律)に基づく特定調達品目(低公害車など)に当初挙がらず、業界などによる草の根陳情活動、経済産業省と環境省との折衝で判断基準の記述に低公害車などとの比較において「LPG車を排除するものではない」との記述が追加され、低公害車などに準ずる扱いとなった。

LPガス優れた災対能力
改正エネ基本計画閣議決定(PBN2007/3/19)

 政府は9日、改正エネルギー基本計画を閣議決定した。平成15年10月閣議決定の従来計画よりさらに、エネルギー安定供給の重要性を強調する方向で改定され、LPガスも、備蓄機能強化、資源外交分野でより安定性重視の記載になった。また、LPガスは「拠点供給型(分散型)としての特徴を生かし、災害時における初期対応に適している」という具体的な記述を伴いながら、優れた災害対応能力が明記された。
 エネルギー基本計画は、未来10年のエネルギー事情を想定し、国の基本的なエネルギー戦略を方向付けるもの。平成15年に初めて策定され、今回は初改定。
 改正の基本方針は、現行計画決定後に急変した国際エネルギー情勢への対応。特に最近のエネルギー需給ひっ迫感を重視し、序文から「エネルギー安定供給が国家としての最重要課題の一つ」と、エネルギー問題への積極対応に強い意欲を示した。
 安定供給重視という観点から、LPガスの記述も変化。現行計画作成時には竣工していなかったLPガス国家備蓄基地の一部完成を受け、現行計画の「適正な備蓄水準を確保する」に加え、「備蓄制度の更なる機能強化など緊急時対応策の充実を図る」が盛り込まれた。また、「石油、石炭、天然ガス・LPガス等のエネルギー資源の安定供給を確保していくにあたって、資源産出国との友好関係の維持・発展が重要」という認識を示しながら、「政府全体が一体となって、首脳・閣僚レベルの資源外交を積極的に行っていく」とした。石油公団廃止で薄くなった国の関与が、「リスクマネー供給」「ODAの戦略的活用」などで一部復活する。
 LPガスを天然ガスと同じクリーンなガス体エネルギーとする位置付けは変わらない。ただ、LPガスが一次エネルギーの3%を供給していることを明記し、その重要性を分かりやすくした。また、分散型エネルギーの災害対応能力を記す個所で、「拠点供給型(分散型)としての特徴を生かし、災害時における初期対応に適し」ているという具体的な記述が、現行計画の「災害時における安定供給の確保に資する」に付け加えられた。
 LPG車については「実用化段階にある環境負荷の低い」自動車と記し、その環境性能を認めながら「引き続きその導入を促進する」とした。

GHP室外機  
神戸仮設住宅
GHPによる空調で原子力発電所5基分に相当する電力をガスがカバー。2006冷凍年度までの累計では64万4千台が出荷されその能力は731万馬力にのぼります。
災害に強いLPガス
地震、台風。生活の場を奪われた人々に速やかに温かい食事を提供できるのもLPガスの強みです。

キャンプを楽しむ親子
冬の夕暮れ、東京タワーが見えるオープンカフェでは屋外型ストーブがお客さまを暖めます。
大自然の中で楽しい想い出。
LPガスは親子の絆だって温めます。
2005/10/01
東京下町の墨田区では区民まつりでLPガス塵芥車の内部を見学できるように改造し「環境にやさしいまちすみだ」をスローガンにゴミ収集車を使って環境問題への認知度向上に活躍しています。









災害に強いLPガス(プロパン・ブタンニュース2002/5/20・5/27・6/3連載)
 エネルギー間の競合が激しさを増す中で、LPガスが存在感を示すには何が必要なのか。今、京都府の業界では「災害に強いLPガス」を訴え、行政と災害時のガス供給協定を結ぶ活動が始まっている。LPガスの認知度を高める動きとして注目される。
 京都府LPガス協会(小澤八十二会長)は平成14年度の事業計画案の中に、災害時の避難所へのLPガス供給事業を盛り込むことを検討している。「阪神淡路大震災を教訓とした『広場が炊事場に変わる』を実戦経験とし、LPガスのPRも含めた事業推進を図る」というものだ。計画案のモデルケースとなったのが城陽市の事例である。
 城陽市には七事業所があり、城陽LPガス協会を構成している。平成12年4月21日、城陽LPガス協会と城陽市長との間で「災害時におけるLPガス供給に関する協定」が結ばれた。協定は13条からなり、▽協定の目的▽避難場所▽連絡体制▽配送先の分担▽燃焼器具の安全点検▽使用料の決定  などについて定めている。
 城陽市の世帯数は約3万、人口は約8万5千人。近年、都市ガスやオール電化住宅の浸透が強まっているものの、40〜45%がLPガス消費世帯である。黄檗―井手断層を震源とする場合の被害想定によると、り災者(長期間の避難生活を余儀なくされるもの)は3万2千人余りと考えられている。
 避難所は学校や公共施設など44カ所に及ぶが、すでに36カ所には地元業者が寄贈した三連こんろが備蓄してある。今年中には44カ所すべてにそろう予定だ。
 緊急時には城陽市の防災本部から城陽LPガス協会会長の安井清氏(近畿ガス商会)を通じ、他の6事業所に協力要請が行われることになる。連絡手段は携帯電話を想定するが、回線混雑で通じなければ伝令で伝える。要請を受けた各事業者はあらかじめ、割り振られた避難場所にLPガスを供給する。避難所のうち3分の1は元々LPガス消費先なので、その設備を使用することもできるだろう。
 また、非常時に備えて協会員は参集訓練を行っている。昨年11月も避難所にLPガスを運び、地元のボランティア団体「城炊会」が炊き出しを実施した。城炊会とは地域のイベントでも協力して炊き出しを行っているだけに連携もスムーズだ。
 協定は使用料金についても定めた。「LPガスの使用量は災害発生直前時における適正な価格を基準として、甲(城陽市)、乙(城陽LPガス協会)協議して決定するものとする」としている。    (つづく)

 狭い国土に人口が密集する日本。山が多く川は急峻であり、台風や梅雨など大量降雨時のぜい弱さは否めない。そして何より恐ろしいのが地震である。全国至るところに活断層があり、遠くない将来に東海・東南海・南海地震のいずれかが起こることが確実視される。そして関西地域の住民には阪神淡路大震災の記憶がはっきりと残っている。
 城陽LPガス協会会長の安井清氏(近畿ガス商会社長)が災害時のLPガス供給協定を思い立ったのも、その阪神淡路大震災のときのことだ。当時、何度も阪神地区に出かけ、ボランティア活動を行った安井氏は災害の恐ろしさと、可搬性に優れたLPガスの威力を身をもって体験する。「こんな大地震が城陽市で起こった時にはどうすればいいだろうか」。そんな思いが数年後の協定を生んだ。
 「日本は数千の温泉を持っているが、その下にはマグマがある。温泉大国はすなわち地震大国だ。東京をはじめ日本には高層ビルが林立するが、日本の地盤はニューヨークとは違う。ビルや高速道路は耐震設計のはずだったが、阪神淡路大震災ではあの始末だった」。安井氏はインフラの地震対策が不十分であることに懸念を感じており、地震国の日本ではエネルギー供給のあり方も欧米とは違って当然だと強調する。「地震の少ない国ならパイプラインによるガス供給が優れているかもしれない。でも日本では地震が起こればパイプラインが寸断されてしまう」。
 防災対策では二次災害を防ぐことも重要だ。大量のり災者が出た場合、伝染病や食中毒が発生する可能性がある。阪神淡路大震災は冬場に発生したため、防疫面では大事に至らなかったが、防災上は夏季の対策も必要だ。何よりも安全な飲料水の確保が重要になる。幸い城陽市には木津川という水源がある。安井氏は「市が所有するろ過器を使い、LPガスで煮沸すれば水の問題はクリアできる」と考えている。
 行政との間で協定を結ぶ意義は第一に地域住民の安全と健康を守ること、すなわち地域貢献である。だが都市ガスや電力と競合し、守勢に立たされる現状を考えれば、LPガスの存在感を行政と地域住民に示すための手段にもなり得るだろう。LPガスは環境性などさまざまな利点があり、業界は国や自治体に訴え続けてきた。しかし、クリーンエネルギー自動車政策を例にとっても、LPG車は電気自動車やCNG車と比較して十分な扱いを受けているとは言えない。
 「いくら環境に優しいとアピールしても都市ガスに転換した消費者は戻ってこない。他エネルギーと同じ土俵に上がるには『災害に強いLPガス』をアピールし、LPガスの存在感を示すことが必要だ」。安井氏は供給協定の取り組みが京都府の43市町村に拡大し、行政の認識が変わることがLPガス業界の生き残りにつながると考えている。(つづく)

 城陽市での取り組みを受けて、京都府LPガス協会(小澤八十二会長)は平成14年度の事業計画案の中に、緊急時(地震発生時)のLPガス供給事業を盛り込むことを検討している。
 その内容は、各支部の協力を得て地震発生時の避難所への炊き出し用LPガスの供給協定を行政との間で締結できるよう務める、というものだ。実施可能な地域から順次、協議を進めることになる。阪神淡路大震災を教訓とした「広場が炊事場に変わる」を実戦経験とし、LPガスのPRにもつながるような事業を想定する。
 すでに一部の地域では行政と災害時のLPガス供給協定の締結を検討する動きが始まった。京都市内、八幡市、久御山町などだ。
 京都市内では現在、伏見支部が支部内および行政との間で協議を行っている。
 推進役を務めるのは油忠の石塚正徳社長である。石塚氏は城陽LPガス協会の安井清会長との30年来の付き合いもあって、「伏見でも協定を進めてはどうか」と勧められた。今年の一月頃のことだ。
 石塚氏は「阪神淡路大震災のことを考えればLPガスが果たすべき役割は大きいし、地元への貢献にもなる。伏見でもやってみよう」と思い立つ。それ以来、行政側の窓口となる京都市消防局防災対策室との折衝や、伏見支部役員会への提案を行ってきた。5月6、7日の支部総会では話を前向きに進めることが決定、支部内の業者(16事業所)がLPガス供給に協力することで合意した。
 京都市伏見区は11万7千世帯、人口は約28万1千人。他の区を引き離し、市内トップの人口を誇る。学校や公共施設などの避難施設は69カ所に達する。ただ行政の区割りと支部の線引きが異なるため、伏見支部内の避難所は約40カ所になる。伏見支部は当面、この約40カ所を対象に緊急時のLPガス供給を行う考えだ。詳細は支部内や行政との今後の協議で詰めていく。
 大まかにみて一事業者が近くの避難所2〜3カ所を分担することになるが、災害時には運搬ルートの寸断も予想される。そのため緊急時には他の販売店の容器を借りられるようなコンセンサス作りも必要になるだろう。石塚氏は今後、10年ほどかけて三連こんろ、調整器などを各避難所に3セットずつ寄贈する考えだ。
 現在、京都市の施設は都市ガスが席巻しているが、石塚氏は「地震対策を考えれば、常時使うかどうかは別にしても公共施設にLPガスが入ってもおかしくないはずだ」と語り、災害時のLPガス供給協定が行政の意識を変えるきっかけと考えている。
 地域や支部から始まった災害時の供給協定の取り組みが京都府全域に広がれば、LPガスの存在価値の向上に寄与することになるだろう。      (おわり)

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