(2004/9/6プロパン・ブタンニュース)
(ピアニスト・本名=岡山聡子) |
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![]() 「とある決心」 in パリ 8月の終わり、既にひんやりとした空気のパリに降り立った瞬間、私はある決心をした。それは今まで避けて通っていたフランス語の勉強を今回はきちんと始めるという事だ。今まではピアノのレッスンを受けるのに夢中でパリにいても語学の勉強には手が出せなかった。それが今、年の約半分をパリで生活している私にとって、フランス語が話せないことは最大の壁となり、コンプレックスとなっている。 何しろフランス人は英語を話すことを嫌う。観光客相手には使うが、それ以外の人達には絶対使わない。レストランやカフェでも私があまり話せないと分かると、ガラリとウェイターの態度が冷たくなる。こちらがフランス語で伝えているのにもかかわらず、英語で返されるなんて事も日常茶飯事だから悲しい。 ブティックで洋服を買うのだって一苦労だ。日本と違い、フランスではお客よりも店員のほうがずっと偉い。まずは笑顔で「ボンジュール」と言ってお店に入り、選ぶ時もいろいろやり取りをしなければいけないし、店員が電話などしていたら長い間待たされる。もちろん、何も買わなくてもきちんと挨拶をして出るのが常識だ。接客のサービス精神というのはないように思える。すべてがこんな具合だから私が外国人というだけでも大変なのに、ましてフランス語を話せないとなると相手にしてもらえない。又、男女ともに外見のエレガントさも重要視されるから、この国で気持ち良く暮らすには、にっこり優雅な物腰とフランス語をきちんと話せることが必須条件だ。見て美しいものは美しいとハッキリしている価値観と個人の自由を尊重するフランスを今、もっと知りたいと思う。 ピアノのレッスンに慣れてきた今、他のことにも欲が出てきた。今度はフランス人と対等にコミュニケーションが取りたいと思っている。世界はなんて広くて面白いのかと思う。私はその中の一人でしかないが、自分にできることはすべてやってみようと心に決めた。 |