(2004/8/30プロパン・ブタンニュース)
(あおき・ゆきこ=岩谷産業広報・社会関連部) |
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![]() 和菓子に魅せられて 最近、和菓子に魅せられている。「和菓子」とひと口にいってもその種類は豊富だ。多くは花や果実、虫、鳥など四季折々の身近な自然風物がモチーフになっている。和菓子を見れば季節が分かる。花ひとつとってみても、蕾から開花、散る姿までと実に様々に表現されている。色や形を見ているだけでも心豊かになる。また、白露やすすき野といった菓銘からも風景や季節を思い浮かべることができ、「視覚」だけでなく「聴覚」も刺激する。何よりも和菓子をいただくと、心が落ち着く。そして「臭覚」「触覚」「味覚」も満たされる。和菓子は五感の芸術といわれる所以がわかる。和菓子の奥深さには本当に驚かされる。 和菓子のルーツは「果子」で果物だったといわれる。その後、仏教・禅宗・南蛮菓子の伝来・茶道文化の確立などにより和菓子も発展を遂げてきた。今日の和菓子の基本が確立され、完成の域に達したのは江戸時代に入ってからといわれる。それから現在まで約300年以上も受け継がれてきたのだと思うと、伝統を感じずにはいられない。 日本には四季があり、折々の行事やしきたりがある。昔から春夏秋冬にあわせた暮らし方を大切にしてきたと思う。しかし、今では、1年中いろいろなものが手に入るようになった。便利で快適な生活にすっかり慣れてしまったためか、季節感が失われつつある。慌しく毎日を過ごし、季節の移ろいに気付かないこともしばしばあった。心貧しい生活を送っていた。それが和菓子との出会いによって変わった。 蝉の声で賑やかな日中も、耳を澄ませば、夕方にはコオロギなど虫の音も聞かれるようになった。庭を見渡せば柿の実も大きくなり、実りの季節を待っている。少しずつではあるが秋の気配を感じるようになった。こうした季節の変化を感じられるようになったのも和菓子との出会いが大きい。和菓子によって季節の移ろいに目を向けるようになり、心にも余裕が生まれた。 和菓子を楽しみ、自然を慈しむ。心豊かに過ごす時間を大切にしたい。 |