(2004/7/5プロパン・ブタンニュース)
(あおき・ゆきこ=岩谷産業広報・社会関連部) |
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![]() ハッとした瞬間 「あっ〜、線路が動いてる」−−。JR車内での出来事だ。歳は3歳くらいであろうか、利発そうな男の子が電車が動き出すなり発した言葉である。「えっ?動いているのは、電車とそこに乗っている私たちなのに…」微笑ましいと思ったのと同時に、衝撃が走った。確かに、自分を起点に考えれば、線路が動いているのかも知れない…。 普段、自分では当たり前のように思い考え、行動していることも、視点を変えてみると全く違うものに感じたり見えたりして、新しい発見や異なった発想のきっかけになることがある。 生け花を習い始めてから13年近く経つが、でき上がる形がいつも同じようで、面白みのない作品になることがある。そんなとき先生から言われることがある。「生けた花を横から見た方が面白い」「葉の向きを変えるともっとダイナミックになる」−−。何気ないひと言だが、確かに生けた花を違った角度から見つめ、そして、花の位置、葉の動きひとつ変えるだけで、全く別の表情を見せるのである。また生ける人によって、同じ花材を使用していてもひとつとして同じ作品はない。それぞれ全く違う作品ができ上がるから面白い。 発想力が豊かだと多種多様なアイデアや発明が生まれる。人との出会い、体験や情報、自然現象との遭遇等々からヒントを掴む瞬間は様々だと思うが、それを意識することが大切だ。米国の科学者ワラスは発想の段階説「ワラスの4段階」を唱えている。それによると1、準備 2、あたため 3、ひらめき 4、検証で、重要なのは発想の瞬間を迎えるには、徹底した準備が大切だという。発明王エジソンは、家庭でも、職場でも、また町中を移動するときでも、とにかく人の発言や動作を観察したといわれる。また目にした情報を自分の仕事にどう活用できるかと常に考え記憶していたというのだ。常に目的を持つことで、観察・分析力も働くのかもしれない。 発明までとはいかなくとも豊かな発想力は持っていたい。小さな男の子の一つの発見が、固定観念に縛られ柔軟な発想をすることを忘れていた自分を目覚めさせてくれた。まさしく“ハッとさせられた瞬間”であった。 |