(2004/6/14プロパン・ブタンニュース)
 新日本石油ガスは五月二十八日、福岡市内で第三回LPGカンファレンスを開き、先に実施した十万人アンケート調査の結果を明らかにした。それによると@LPガスからオール(部分)電化に移った顧客は、「ガス代が高いから」ではなく、電化機器の安全性、操作性、お手入れ性などを評価A電化ユーザーの平均光熱費は高いB電気に移行した消費者の月間LPガス使用量は三立方メートル以下が最多  など興味ある内容が明らかになった。
 アンケートは北海道から沖縄までの全国百七十二社のLPGカンファレンス会員が、かつての顧客で電気に移行したところを対象に実施。約六万五千枚の配布に対し千四百五十二枚の回答があった。それによると、IHクッキングヒーター使用家庭では、安全性、使い易さ、掃除がラクの三点を買い替えた主な理由とし(いずれも一八〜四〇%)、「ガス代が高い」はわずか(五%)だった。
 IHを取得した家庭の購入年齢をみると、リフォーム世代と呼ばれる五十五〜六十四歳が多かった。IHと電温・エコキュートの組み合わせでは、購入年齢は三十五〜四十四歳と、五十五〜六十四歳の二つのピークがみられた。
 またLPガスの使用量でみると、月間三立方メートル程度の顧客が最も多くオール電化に移っていた。部分電化移行客では同七立方メートルが最多で、次いで二・五立方メートルにも山が現われた。少量消費者の電化への移行が多いことが明らかになったわけで、「三立方以下の消費者、つまり全国のLPガス消費世帯の四七、八%が電化に移る可能性が大」と講師である新日本石油ガスの吉田マネージャーは指摘する。
 オール電化でも部分電化でも全国平均の八・九立方メートルを下回っているわけで、今のところ業界にとっての得意客への痛手はないが、「かつて、炊飯器がガスから電気に劇的に替わっていったように、ある屈曲点から急速にIHに替わる可能性はある。私見だがその屈曲点は炊飯器の一二%より低い八%程度ではないかとみる」と同マネージャーは警告する。
 三立方メートルの顧客はおおむね三つのゾーンに分けることができ、「もっとガス機器を増やしたい」積極派も存在することが“コレスポンデンス分析”(類似性分析)で明らかになったとしている。こうした結果を踏まえ、同マネージャーは「五立方メートル以下、とくに三立方の顧客についてはガス機器を増やしたい意向を持つ顧客を押さえることが大時」と提案する。
 IHは昼間使用することが多いので深夜電力の契約家庭では電気代は割高になるが、「安くなった」と思っている消費者が四三%を占め、「高くなった」の一七%を大きく引き離している。「テレビの宣伝などによる“洗脳”ではないか」(同マネージャー)との結果も出た。