(2002/5/13 プロパン・ブタンニュース)

水面下で壮絶な顧客獲得争い

本紙アンケート調査によって明らかになった各社のバルク戦略には業務用優先、業務用・集合住宅先行、戸建てを含めた大・中規模顧客推進、GHPとのセット提案、新設限定などの各タイプが見られ、これが設置貯槽の大きさや形態の違いとなって表れている。また、広域大手、地方有力事業者は、その多くがバルク供給の一方の目的を「新規顧客の獲得」におき、水面下で激しい争奪戦を展開中だ。これが業務用価格の低下に加え、家庭用価格の弱含みを招いているとの指摘も出ている。
 河野商事、小平(鹿児島)、安藤プロパン(新潟)などの小売店が積極的に普及している背景には、都市ガス・同業者対策が色濃くあり、また新バルク容器の登場がそれを促進している面もある。
 今後の普及計画を見ると、しばらくは推進組と追随・慎重組との併進状態が続きそうだ。設置計画に大きなばらつきがあるからで、トップの河野商事は向こう1年半で顧客1万6千戸の95%に、サイサンは3年間で20万戸の15%に、またサンリンは5年間で5万戸の70%に普及させるとしている。
 向こう10年間中に顧客の30%以上に普及させるとしている意欲的な回答は16事業者。しかし、回答したのは全体の3割弱の51事業者で、数%から10%台が多い。特に広域大手に慎重な回答が多く、これらの中には「販売店からの要望に応えるため推進している」(他系列への移動回避策)、「収益重視でいく」(1ローリー当たり月100トン配送、充填コストのキロ10円目標)としているケースもある。バルク貯槽、ローリー出荷動向から見て、一服感が生じているのもこうした動きを反映したものといえる。
 新バルク供給はいま、1トン以上3トン未満のバルク貯槽(保安距離)や埋設型貯槽(塗装・材質)の規制合理化について検討が進み、貯槽残量の超音波による管理やローリー運行管理システムの開発・普及も進んでいる。これから業界は普及の意義・効果と、それによる流通効率化、美観・保安向上をどう顧客にアピールしていくのか。第二ステップへの足がかりを固めるタイミングだ。