新生金門のビジネスモデル
金門製作所社長
清水一男氏


ウエーブ・風 話題と肖像画/ナリケンがゆく <197>

 金門製作所は、山武グループの一員となり、新たなスタートを切った。2年前に産業再生機構に支援され今年、株式会社山武が再生機構から株式譲渡を受けて金門製作所の親会社となり事業再生計画が完了した。そしてこの6月に山武の清水一男氏が社長に就任した。清水社長は、昭和50年に成蹊大学工学部を卒業と同時に山武ハネウエル(現山武)に入社、一貫して制御機器事業にかかわり、平成17年に山武執行役員 アドバンスオートメーションカンパニー常務プロダクト事業本部長、18年・金門製作所顧問、同年6月 ・金門製作所社長に就任した。新生・金門製作所のこれからの行き方、社長の所信を聞いた。
新生・金門製作所の三つの経 営理念
 第一は「顧客の満足第一」である。コア事業の計量計測事業の成熟した市場環境の中でお客さまが何を求めているかを見直し、従来の製品ラインアップに安住することなく付加価値の向上、新製品の投入など、お客さまの納得のゆく経営に徹する。
 第二は「自己革新で新たな飛躍」である。社員一人ひとりが飛躍を目指し、お客さまから「金門の社員は変った」と評価されるように努力する。
 第三は「クリーンな企業」である。この三つの理念を堅持して企業価値を高め、企業の社会的責任を果たすと言う。
清水社長の三つの思い
 ①仕事の形を少し変えていこう。言い換えればビジネス・モデルを変えて見よう。これまでに無い付加価値をつけようと言うのである②風通しのいい会社にしよう。営業、生産、技術部門の人々が誰とでも自由に話ができる環境にしよう③気持ちを広く持ってものごとを大きく見るようにしたい。ものの見方が狭いと旧来の事業から離れられない。清水社長は山武で30年ほど働いた。その仕事は、ものの流量を計測する仕事だった。食品、石油、鉄鋼、半導体等々いろいろの物を計測してそのデータを管理データとして活用して仕事の領域を広げた。
 金門製作所は国産初のガスメーターのメーカーで、LPガスのメーターや水道メーターも製作した。それは課金のためのメーターで、言わばお金をもらうための枡である。販売先もガス会社や水道局に限定され、計量法もあってビジネスの領域は狭く限定された。
 流量を計測してこれを活用する手段は山ほどあるが、課金のための枡に終始した。これからはメーターが持つ機能を活用して付加価値をつけて行かねばならない。
安全センターやケアネットとシナジー効果
 山武グループには「安全センター株式会社」や「山武ケアネット株式会社」等がある。安全センターは、電話回線を利用した緊急サービス事業である。利用者は自宅にペンダント型送信機と通報装置を用意する。ペンダント型送信機のボタンを押すとセンターのコンピューター画面に誰が通報したか、その通報者の住所、電話、緊急連絡先等の個人データが瞬時に表示される。そして相談員・看護師が対応する。電話の向こうにもう一人の頼りになる家族がいるといった具合である。予防型緊急サービス事業である。
 「山武ケアネット株式会社」は、介護サービスセンター「かたくり」を拠点に在宅介護サービス、デイサービス、福祉用具の貸与ならびに販売など、少子高齢化社会のお客さまの多様な要望に応えている。また、「ケアネット」の寝たきり老人にしないための体操の配信は好評である。
 課金のためだけのメーター販売は、検満サイクルによって需要が伸縮する。メーターの需要が縮小したとき、どうするか。LPガス事業者もいかに生き残るかを必死に考えている。また、高齢化社会の到来が社会問題となっている。山武グループに「安全センター株式会社」や「山武ケアネット株式会社」があるのは、メーター屋から離れたところからのシナジー(相乗)効果が期待できる。
「azbil」は、山武グループのシンボルマーク
 今年10月1日から山武グループ各社は、「azbil」をグループ共通のシンボルマークとして使用することになった。「azbil」は、Automation Zone Builderで、金門製作所も当然「azbil」のシンボルマークのもとに「“人を中心としたオートメーション”で、人々の“安心、快適、達成感”を実現すると共に、地球環境に貢献する」というグループの理念の実現に邁進するものだ、と清水一男社長は対談を結んだ。

プロパン・ブタンニュース/石油化学新聞社(C)