サーチアスGは経営改革のツール
システムアンドリサーチ社長
高橋武夫氏


ウエーブ・風 話題と肖像画/ナリケンがゆく <191>

 横浜のみなとみらい線の馬車道駅で下車、駅前の横浜第一ビルにある株式会社システムアンドリサーチ(以後S&R)の本社に高橋武夫社長を訪ねた。高橋社長は1950年生まれの56歳。システムアンドリサーチを設立したのは1982年、32歳のときである。松下通信工業の集中監視の伝送盤(NCU)を作ったのを手始めに機械モノを作るのが好きでこの道一筋に今年で24年になる。
 高橋社長は開口一番、LPガス事業者は自らの経営改革を推進してほしいと言う。会社を変革するためには社長自らが変わり、社長が変わって従業員も変えられる。集中監視システムの導入は、検針のためでもなければ、集金のためのものでもない。第一に経営の合理化のために、第二に保安を確乎たるものにして消費者の信頼を獲得するため、そして第三には、これが一番大事なのだが、ガス消費量や家族構成など的確な情報を得て客にどのような提案をするかを検討して攻めの方針を得ることにある。かくて事業計画を建てることができるのである。このように生のデータを見て営業に役立つシステムを作るお手伝いをするのがわが社の役柄である、と前置きして思いのたけを語った。
サーチアスG開発の足どり
 1999年にS&RはLPガス業界向けに集中監視システム「サーチアスG」を発表、2000年には業界初の携帯電話を用いたi-mode集中監視機能を、翌01年には同じく業界初のi-mode業務管理機能を発表、03年には地域をつなぐネットワークサービス「サーチアスネット」を発表してLPガス事業者の新規ビジネス・チャンスを広げた。また、消費者が携帯電話を用いてガス弁を遮断するなど携帯を活用した消費者向けサービスも発表した。しかも従来はNTTドコモのi―modeだけの対応だったが、Vodafone、auなど他の携帯電話でも使えるようになった。
 04年には集中監視システムの新ラインアップを発表した。従来の集中監視ラインアップを一新するもので初期投資を抑えて始められる「ライト」、機能充実の「スタンダード」、クライアント端末も展開可能な「グレート」とラインアップを強化した。サーチアスG開発の足どりを概観したが、通信技術の進歩、事業者の規模や地域性に合わせた選択ができ、低コストで運用できるのが大きな魅力である。
最近のサーチアスG
 サーチアスGライト=とってもライトなLPG集中監視システムである。消費者1,000軒程度に最適で、価額は250万円。
 サーチアスGスタンダード=これからのスタンダードなLPG集中監視システムで消費者5,000軒ぐらいに適す。価額は450万円。
 サーチアスGグレート=グレートな機能を持ったLPG集中監視システムである。消費者1万軒台に適す。価額は650万円である。これらの価額はいずれもセンターのものである。
S&Rのセミナー事業
 集中監視システムは、検針のためのシステムでもなければ集金のためのツールでもない。経営改革のツールだと高橋社長は強調する。そこで03年ころからセミナー事業を全国的に展開してLPガス事業者の意識改革に努めている。ここ数年のセミナー実施状況を列挙すれば次のごとくである。03年度に茨城県LPガス協会水戸支部青年部、岩手県液化ガス商工組合、福岡市でS&Rが独自で、福島県LPガス協会会津支部青年部、宮崎県高圧ガス保安連合会。
 04年に札幌市、松江市、山形市、岐阜市、広島市でS&Rが独自で、会津若松市で福島LPガス協会会津支部青年部、大阪LPガス協会青年部、愛知県津島支部、盛岡市で盛岡青年部。
 05年に松山市、岡山市、さいたま市でS&Rと矢崎総業共催で、この外に香川県の高松市と丸亀市で香川県LPガス協会。06年度は大阪府で大阪府LPガス協会のセミナーに参画した。テーマはいずれもLPガス販売業者の意識改革である。
 対談の間でS&Rが製作した各地展示会で使用するシステム紹介のアニメーションを見学した。集中監視システムの実際を、火災が生じた場合、ガス漏れが起きた場合、一酸化炭素で部屋の空気が汚れた場合などの集中監視による対処の実際をブラウン管上に分かり易く説明している。画面も綺麗だしナレーションもよい。高橋社長は、わが社はこんなこともやるんだよ、利用して下さいと営業を怠らなかった。
対談を終えて
 LPガス事業者よ、本当の企業家におなりなさい。そして事業計画をお建てになって業界そのものを健全にして行かないと誰も助けてはくれないと、歯に衣(きぬ)着せぬ高橋社長の直言は記者の胸に重く響いた。そして近い将来にどこかで行われるセミナーで高橋社長の講義を聴講せねばと思った。  

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