関東ガス販売はラグビー型
シナネン関東ガス販売社長 
中村 源治氏
ウエーブ・風 話題と肖像画/ナリケンがゆく <165>

 昨年4月に発足したシナネン関東ガス販売の中村源治社長を埼玉県松伏町の本社に訪ねた。関東圏でLPガス事業を展開しているグループ五社の直売部門を統合して「規模の経済性」「攻めの経営」「機能の集中による効率化とサービスの向上」を目指したのが統合の趣旨だった。グループ五社は、シナネン関東ガス販売(本社・市川市、山本嗣郎社長)、ニチメンエネルギーガス販売(本社・埼玉県松伏町、清水洋一社長)、チバネンホームガス(本社・冨里市、山田尚幸社長)、ミヤネン(本社・埼玉県白岡町、岩元政利社長)、アルプス産業(本社・茨城県新治村、青木保社長)である。資本金は3億円、出資比率はシナネン86・6%、チバネンとミヤネンは、それぞれ6・7%。
 これによって顧客数12万戸、年商147億円、営業拠点50カ所、従業員数460人となった。
平成20年までに需要家20万軒
 新生シナネン関東ガス販売は平成20年までに関東圏のLPガス消費者650万軒の三%、20万軒の顧客を持つ会社にしなければと、中村社長は言う。平成19年度が最終年度になるシナネンの中期5カ年計画に沿うためには何としてでもそうしたい。シナネンは平成15年度から中期5カ年計画「プラン236」に取り組み、リテーラー支援・リテール強化、グループブランドの向上、グループコスト競争力の強化を図っている。
 「プラン236」の基本コンセプトは、①より顧客に近づき、一般家庭の囲い込みを図る(利益率の向上)②自社の強みである灯油販売を中心とした卸売分野の効率化を図りながら安定収益源として維持し、その収益をガス営業権の買収に向ける(小売進出の加速)③将来的にエネルギー需要構造の変化が生じても消費者から選ばれる企業として生き残る(一般家庭とのつながりの向上)―― の3点である。シナネングループ全体の平成20年度の戦略目標は▽灯油卸売販売=200万㍑▽LPガス小売消費者数=30万戸▽連結ROE(株主資本利益率)=6%に設定している。
 シナネンは「プラン236」で卸売主体から小売主軸に大きく舵取りし、卸先販売店とシナネン小売販社による並立体制に転換した。“ひまわりガス”ブランドの下、卸売部門と小売部門がノウハウ共有やキャンペーン連携などを図り、厳しい事業環境を勝ち残るための“ゆるやかなフランチャイズシステム”を推進していく考えである。
エコウィルと太陽光発電はベストミックス
 今、リフォーム市場は7兆円市場である。2010年には9兆円市場と言われている。これに対応するには客の信頼を得なければならない。フェイス・ツー・フェイスができるわれわれの事業には最適である。先ず水、湯まわりの機器提案から始めよう。ガラストップは80%、浴室乾燥は30~40%の普及率を提唱している。次は床暖である。床暖にはガスエンジン給湯器とも言われるエコウィルの登場が最適である。エコウィルと太陽光発電は相性がいいベストミックス提案である。
 昨今の灯油の値上がりは、昨年比1缶(18㍑)当たり400円ほど高くなっている。一般の家庭で月に5~6缶消費するから2,000円/月高騰している。LPガスは、大幅値上げと言っても立方㍍当たり30円として月に10立方使う家庭で300円の値上げである。環境に優しい分散型エネルギー・LPガスの強みを図る好機である。
年間1万円収益がある浄水器
 エネルギーに限ることはない。浄水器のレンタル料は月に1,500円、年間1万8,000円である。カートリッジの取り替えイニシアルコストが7,000円。1軒当たり1万円の収益が可能である。LPガスの配送時にセールスしてもさして手間ひまはかかるまい。
 かく言う中村源治社長は、平成14年シナネン常務時代に生活関連営業本部長だった。そのキャリアからこのような発想が生まれるのだろう。
社員のモチベーション高揚
 新生「シナネン関東ガス販売」は、会社のスタイルとしてラグビー型でありたいと言う。野球は監督の采配が大きくものを言う。監督が采配を誤ると70%負ける。サッカーはどうか。選手個人々々の力量が大きく影響する競技である。ラグビーはフォワードやバックスなどがあって皆が持っている長所短所を融合して勝つチームにしていく。シナネン関東ガス販売は、そういう組織にして行きたい。460人の社員は、その歴史も違い、教育も文化も違う。併し、融和をはかりながら目標に向かって協働している。全体のモチベーションも上がってきたと中村源治社長は対談を締めくくった。

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