ACU24に栄(は)えあれ
伊丹産業社長
北嶋一郎氏

ウエーブ・風 話題と肖像画/ナリケンがゆく <200>

 伊丹産業の北嶋一郎社長は、創業者社長で現・会長が築いてきた事業を引き継いで、さらなる発展を期したいと前置きして次のように語った。
 ちょうど1年前の昨年11月20日に伊丹産業の集中監視システムACU24が60万戸設置を達成した。そのとき会長は、これから3年、平成20年11月までに70万戸設置の目標を掲げ、ACU24は会社の基礎だと強調した。それは単なる発破はっぱではなく、目標を達成しようという会長の強い意思が社員にひしひしと伝わった。会長は事を処するに何ごとも後回しにせず、その時どきにいつも一所懸命である。そして人に対して分け隔てがない。見習うべきと思っている。
 平成9年3月に社長に就任して来年で10年になるが、今日まで最も印象にのこった事柄は何だったかと尋ねたところ、社長は言下に阪神・淡路大震災だと言う。全社員一丸となってLPガス点検のローラー作戦から仮設住宅、そして復興に頑張った。
 また、伊丹産業恒例のガス機器増販のジャンピングセールを語る一郎社長は自ずと力が入った。
集中監視システム・ACU24
 ACU24(Auto Calling Unit24hours)は、伊丹産業独自の集中監視システムである。昭和61年に実用化し今年10月31日現在ACU取り付け件数は63万1,685件に達した。そしてシステム開始以来ガス事故ゼロの実績を続けている。
 ACU24には3つの機能がある。①保安強化=警報器・メーター・ACUが連動していて警報器が鳴るとメーターが自動的にガスを遮断する。その情報がLPガス集中センターに送られる。これによってセンターからお客に速やかな対応ができる。②自動検針=日・時・分を設定してその時点のメーター値をACUがセンターに自動通報する。その検針データで請求書が作成される。かくて検針員の労力、人件費が削減でき営業活動に振り向けられる。③配送の合理化=お客ごとに設定したガス残量に達すると、ACUはガス残量警報(第一次警報)をセンターに自動通報する。この情報を元にホストコンピューターが容器交換伝票を作成し、オンラインで販売店または伊丹産業の各事業所に発信する。そして容器交換伝票の指示に従って配送する。お客の急激なガス使用量の変化や何らかの理由で第一次警報による配送ができなかった場合でもACUのチェック機能の第二次警報が発信されガス切れを起こさない。
阪神・淡路大震災
 平成7年1月17日午前5時46分、神戸市と淡路島北淡町で震度7、マグニチュード7・2の地震発生。地震発生直後、100万を越える世帯で停電、85万以上の家庭で都市ガスの供給ストップ、135万戸が断水、電話は28万5,000回線が不通となり、ライフラインの崩壊で都市機能は完全にマヒ。神戸市消防局によると、17日から26日までの10日間に焼失面積は、65万1,681平方㍍(甲子園球場の16倍)に達した。
 伊丹産業のACU24監視センターは、地震発生の3分後に初のガス洩れ通報を受信した。卸も小売も一体となって復旧作業と点検のローラー作戦を行った。同27日には兵庫県プロパンガス協会の塩谷専務理事が県庁記者クラブで安全点検が必要なLPガス消費戸数の98%(16万2,000戸)を10日間で終了と発表して災害に強いLPガスを内外に印象づけた。震災に遭遇してLPガスマンの行動、心意気は胸を張って語れる。
 阪神・淡路大震災後、平成7年7月に本社社屋新築工事を開始して翌8年9月、創立50周年を記念して本社新社屋を竣工した。「震災などには負けないぞ」の社員の志気を高める意味をこめての新社屋建設だった。
ガス機器展を精力的に展開
 イタミジャンピングセールは、昭和50年にスタートした。同55年の第6回からは豪華客船をチャーターして「洋上展」を行い、阪神・淡路大震災の前年まで実施した。その後は各地で「ガス機器展」を開催、今年度は、2月1日~9月30日の間に280回の「ガス機器展」を開いた。ガス機器展は、様々な形で行われ、床暖房セール3,000台、ガラストップこんろ1万5,000台、炊飯器ほかほかセール7,400台等を販売して、48億4,600万円にのぼった。10~12月の「暖だんセール」を今やっているところだが、毎年このセールでファンヒーターを1万台くらい販売するが、今年の目標は1万1,800台である。
対談を終えて
 昨年11月20日の朝10時半に伊丹市森本の辻川才一郎さん宅に60万戸目のACUを取り付けた時の感激の模様を話してくれた。60万戸目がどこになるか秒読みの段階に入っていた。そこにこのニュースである。役員・幹部社員が集まって報告会議が始まった。北嶋社長は、この成果は販売店、システムメーカー、社員一人ひとりの努力のたまものであり、敬意を表すると述べ、続けて今日からは年に3万戸、3年3カ月で70万戸にしたいと、会長とも話して考えているところだと述べた。会長が挨拶に立ち、「感無量や」と一言。いつにも増して熱い調子でACUの歩みを回顧して、70万戸達成への檄を飛ばした。父子相伝の経営思想が伊丹産業の全社を貫いている。対談を終えて記者は、「ACU24に栄(は)えあれ」と独語した。 

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