千葉の野の児手柏(このてかしわ)の含(ほほ)まれど
千葉県LPガス協会会長
小野口壽一氏


ウエーブ・風 話題と肖像画/ナリケンがゆく <185>

  千葉県LPガス協会会長の小野口壽一さんは、協会長に就任して1年余が経過した。千葉県はわが国有数のLPガス県である。県下の総世帯数は235万4,717世帯、LPガス消費世帯は100万541世帯、うち家庭業務用95万9,397世帯、簡易ガス4万1,144世帯。LPガス販売数量は、家庭業務用32万5,805t、うち家庭業務用31万492t、簡易ガス1万5,314t、この他に工業用が3万4,411t(平成17年10月1日調べ)である。
 協会には16支部があって中央・北・東の3ブロックにまとまり、ブロック会議が協会と支部との情報交換の場となっている。県協本部には組織全般を管掌する総務委員会、需要促進を図る経済委員会、防災体制を確立する保安委員会の3委員会があり、委員長はそれぞれ副会長が担当している。千葉県協でもう1つ特徴的なのは「青年委員会」である。同委員会は昨年、改組、再出発10周年を迎え意欲的な活動を続けている。
開かれた事務局、会員のための事務局
 小野口会長は千葉市中央港にほど近い所にある小野口商会の創業者社長である。昭和41年の創業である。26歳だった。自動車のセールスをしていたが、自動車が5台ほどある運送会社を買わないかと勧める人がいて3人の仲間と市川市で始めたが、仲間割れして手を引いた。このころプロパンを知り将来性があると思って始めた。東亜燃料工業の塚田健次さんが指導者だった。もっと早くからこの事業を始めていればよかったが、後発なので、いまだに500軒ほどのお客を擁する小さなプロパン店の経営者である。だが、千葉県のLPガス事業者の85%が500軒未満の店なのだからその代表として会長に選ばれたのだと思い、次への繋ぎ役と考えて職責を全うしたいと言う。
 小野口商会は県協会にほど近いので、平日の午後1時半から3時まで県協会事務局に入り会員の生の声を聞いている。「開かれた事務局、会員のための事務局」を小野口会長はご自分の行動で示している。65歳の会長さんは、午前中はLPガスの配送をするそうだ。
補助金にリース事業をタイアップ
 昨年度千葉県協会は、ガラストップに対する国の補助金申請を県協会がまとめて200台分申請した。協会がまとめたのは千葉県協会だけだった。ガラストップだけではなく潜熱回収型給湯器の普及は、オール電化対策に有効なので協会として積極的に推進する。今年からはこれをリース事業とタイアップして行うことにした。これと同様にLPG車普及のために業界内LPG車の率先導入を図るべく、オリックス自動車の代理店ホープフルと業務提携してLPG車のリース制度を創設した。
 このようにLPガスの元売、卸、小売だけではなくスタンド、機器・器具メーカーやプラント会社、またコラボの東京ガスや千葉ガスの協力を得ながら業界一体となっての協力体制を築いている。そこには企業の大小ではない。小野口会長の強(したた)かさを感じた。
災害対策マニュアルと青年委員会
 千葉県協会は協会長の諮問を受けて青年委員会が「災害対策マニュアル」を作成。今年1月に協会理事会が承認、正式採用となった。国民保護法による指定地方公共機関に指定されたことで人災対応の追加、より詳細な行動や体制づくりの必要が生じ、また日団協が昨年に作成した業界全体の災害対策マニュアルとの整合性も図った。千葉県のマニュアルは、非常時の情報混乱を想定し、緊急点検時に持参する物資や点検事項、消費者への連絡表、協会への連絡表などをフォーマットして細かく定めている。さらに青年委員会は、4月1日現在の組織図や連絡網を支部レベルでも作成するよう求めている。
取材を終えて
 千葉県の犬吠埼を中心にコンパスで半径1,000㌔の半円を書き、そこに本州・四国・九州・北海道をのせると綺麗に日本列島は収まる。千葉県は日本の中心にあたり、東北日本と西南日本の接点に位置する地理的特性をもっている。こんなことを考えながら取材を終えて京葉線の車窓に暮なづむ房総の景色を眺めて、「千葉の野の児手柏(このてかしわ)の含(ほほ)まれどあやにかなしみ置きて高来ぬ」(万葉集卷20の4387番)の防人(さきもり)の歌を思い出した。現代語に訳すと、「国の千葉野の子手柏の木が、捲いてすぼんでいるのではないが、いくら共寝をしていても無上に可愛くて飽く時がないので、起き出して来たのは誰だ。(その気強い男は俺ではないか。それに今更、恋しく思うということがあるものか)。千葉の地名が文献に出てくる最も古いものではなかろうか。


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