2006(H18)年1月1、9日(月曜)
   第2657、8号
1月1日号
  • 第一部 LPガスの挑戦
    * 平成の大統合、激変LPガス上流部門
    * <社説>「2010年度2000万トン」の初年度
    * <本紙予想>2006年業界天気図
    * ライバルエネに勝つ
    * 初場所大相撲番付/LPガス事業者編
    * 攻めの経営/時代を走るトップランナー
    * 原油・LPガス将来展望(需給・価格)
  • 第二部 新たな時代もLPガス
    * <本紙予想>2006年ブロック別の課題と展望
    * 電力攻勢を迎え撃て・わが社の施策
    * 初場所大相撲番付/都市ガス事業者編
    * 元売・メーカー各社の2006年重点方針
    * <好評企画>業界版ヒット番付
    * 2005年LPガス情勢<総括>
    * 2006年LPガス情勢<展望>
  • 第三部 環境新時代・GHP
    * <新年特別座談会>ガス空調市場を展望
    * ルポ/われら需要開拓の達人
    * 闘うガス体エネ/GHP3兄弟
    * GHP掘り起こせ更新需要
1月9日号 総 合 面
  • ウエーブ・風 話題と肖像画 ナリケンがゆく 
  • 1月サウジCP、寒波影響でプロパン575ドル・ブタン585ドルに急騰
  • 合言葉は「未来への約束」、需要拡大に一丸(日協賀賀詞交換会)
  • <新春インタビュー>
    東邦液化ガス・川合英州社長
  • <日協の熱源・機器調査>
    普及率が食洗器17%、浴乾10%、本格普及の兆し
  • <フォーカス>
    需要創造最前線 攻めの経営/闘うLPガス
首 都 圏 版
  • シナネンが4月1日に関東4社の卸事業統合へ
  • 河原実業、顧客サービス、電化対策強化で消費者10万件に王手
  • 移動客への設備費請求訴訟で原告販売店が一審勝訴
プロパン・ブタンニュースがお届けする連載読み物 
<業界50年・再生>
地 方 版
  • 北海道=若松道協会長、「情報発信」を新活動に
  • 北海道=北海道ガス、寒冷地仕様燃料電池を荏原、松下電器と開発へ
  • 東北=八戸液化ガス、一人暮らし高齢者の「見守りサービス」開始
  • 中部=パロマ東海支店が省施工床暖販売に力
  • 中部=東邦ガス、送出量が最大を記録 日本海ガスも送出量最大に
  • 近畿・四国=伊丹産業、売上高目標をグループで1,710億円に
  • 近畿・四国=<なにわ短信>全社員宅にガラストップ
  • 中国=新利用分野へ挑戦(青年部会座談会)
  • 九州=サンワ(福岡市)、CO2削減はまず社内からでLPG営業車を導入
  • 九州=久留米市ガス事業検討委員会、民営化へ傾く
住 設 供 給 機 器 / 新 技 術
  • 山武が金門の経営権を取得
  • カナデン、LPGシステム会社「カナデンブレイン」を設立
  • <2006年ガス機器メーカーの戦略>
    リンナイ=三位一体で市場開拓
    ノーリツ=中計2年目、創造の年に
    高木産業=エコジョーズ目標達成へ飛躍
G H P と コ ・ ジ ェ ネ 版 GHP出荷実績
17年第2四半期
第11回GHP販売事例論文コンテスト結果発表
先 週 の 日 刊 プ ロ パ ン ・ ブ タ ン 情 報>
以下の見出しは日刊プロパン・ブタン情報からのものです
日刊プロパン・ブタン情報についてはこちらから
  • 1月2日(月) 休刊
  • 1月3日(火) 休刊
  • 1月4日(水)
    * 2010年度2,000万トン実現へ、5カ年計画の初年度
    * 流通段階別課題と展望
  • 1月5日(木)
    * 正念場迎える業界、CP高騰・電化攻勢・少子高齢化にどう対応
  • 1月6日(金)
    1月サウジCP、プロパン575ドル、ブタン585ドル 昨年11月の史上最高値を更新
  ご希望の方に見本紙をお送り致します。
    プロパン・ブタンニュースは創業以来LPG業界とともに歩んでまいりました。
    2004年春に石油化学新聞社創業50周年を迎えました。
    創業時の基本理念に立ち戻るとともに新しい挑戦を続けて行きます。
     LPガス業界で高い支持を頂いてるプロパン・ブタンニュースを読んでみませんか?
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2006(H18)年
1月1、9日(月曜)
第2657、8号

PBN2006-01-01-1

社説

「2010年度2000万トン」の初年度
日団協プロジェクト+]を

 ★目標・実施メニュー、そして義務の確認
 2006年度は昨年3月に総合資源エネルギー調査会需給部会が示したLPガスの需要見通し「2010年度2,000万トン」の実現へ向け、向こう5カ年計画実行の初年度に当たる。業界はしっかりと目標と実施メニュー、さらに前提となる義務を今一度共有し、取り組む意思を確認すべきである。
 実施メニューとは需要開発運動としての日団協「LPガス“人と地球にスマイルを”プロジェクト」であり、義務とは輸入基地から一般消費先に至るまでの安全確保の徹底である。仮に安全確保に遺漏があるなら、改善のための投資と人材投入を避けてはならない。
 ★耐震設計偽装問題を他山の石に
 義務という点では昨年、社会問題化し越年した耐震強度設計偽装問題が他山の石となる。国民生活に根付いたLPガスの地位を一層高めるには簡易ガスを含む2,800万世帯の一般消費先の安全確保、安心の提供が極めて重要である。
 昨年、経済産業大臣所管の販売事業者と認定保安機関に対する厳しい行政処分が行われた。対象が新規参入組や大手企業グループであったから、社会から不信を買った点で極めて重い事件であった。新たな事件発覚によってLPガス市場の基盤が揺らぐことのないよう、経営者、業界リーダー企業が率先して安全確保策を実践しなければなるまい。また、保安高度化運動の最終年度を迎えるに当たってチェック漏れのないよう販売事業者と認定保安機関とがスクラムを組んで供給機器の期限管理など改善に取り組まねばならない。
 消費先事故は日連主導のLPガス保安高度化推進運動の成果によって、再び減少傾向を見せてきている。この情報を業界も国民も共有していけば、運動の効果はいよいよ高まることになる。
 ★ガス空調・発電戦略の追加を
 2006年度は保安高度化運動の終了と、需要開発運動スタートとがクロスし、襷渡しの年にあたる。問題は需要開発に何か欠けている挑戦目標は無いかである。省エネの要請とオール電化攻勢に対応した厨房・給湯の戦略機器の投入は波に乗りつつあるが、需要の維持路線から拡大路線へと押し上げるには日団協プロジェクトのメニューにあるLPG車の利用先拡大と同時に、需要開発に新メニューの追加が避けられない。新メニューはガス空調・ガス発電であると考える。
 資源エネルギー庁による向こう5カ年のLPガス需要見通しによると、家庭業務用見通しでは過去20年間の地道な積み上げによってGHPが創出するLPガス消費量は現状年間60万d程度、家庭業務用需要量の7〜8%を占め、今後も着実に需要を高める即戦力と位置付けている。
 ★需給構造が危ない
 しかし、LPガス全体を眺めれば、問題は電力・都市ガス自由化政策によってもたらされたエネルギー間競争の最中、LPガス需要構造が高価格時代とも重なって、不安定かつ頑強なものではなくなっていることにある。
 わが国のLPガス需要構造は家庭業務用、工業用、都市ガス用、自動車用、化学原料用、電力用のベストなバランス、しかもプロパン、ブタン、オートガスの使い分けによって安定化している。この需要構造が不安定になれば、海外調達力を含めた供給力に影響を与える。ところが、現実には湾岸戦争時に消費抑制の対象となり、以降の過去10年余に都市ガス原料用、工業用などで約200万dものブタンを中心にLPガス需要が失われ、需給構造が危ういのである。なぜ輸入・元売業界など上流部門の「平成の大統合」が起こっているのか。失われた200万dに大きな原因はある。
 過去50年間に築いてきた需給構造を維持・発展させるには、今最もエネルギー間競争の草刈場となっている業務用から工業用まで大口需要家を守ることである。思い切って輸入基地単位に出力10万`h級のLPガス火力発電所を建設し、電力卸市場に参入するくらいのアイデアがなければ、1,800万dの約半数と物流網も需給構造も守ることはできない。
 日団協プロジェクトと昨年10月に発足した「日本ガス体エネルギー普及促進協議会(コラボ)」の具体的活動は今のところエコジョーズ+エコウィルを軸に一般家庭戦略が重視されている。
 本紙は一般家庭戦略の重要性を強く認識しつつ、2006年度からスタートする5カ年の需要開発運動に、ガスエンジンの技術革新の結晶であるGHPとマイクロコージェネを業界全体の共有財産とし、ガス空調・ガス発電戦略を追加するよう業界に求めたい。
 ★省エネも公平公正に
 運動の成果を国民生活の向上にも結び付けるため、省エネ・流通合理化の促進に寄与するという観点からは国の支援を引き続き得なければならない。同時に業界は省エネに関する助成策や判定基準について、スクラムを組んで国に問題点を明らかにし、公平公正な分配と改善の要請にも力を入れねばならない。



PBN2006-01-01-2

2005年LPガス情勢 総括
寒波、低在庫、ハリケーン
CP史上最高値に

 2005年のLPガス価格は指標価格のサウジCP(コントラクトプライス=LPガス価格)がトン当たり500ドルという空前の高騰となり、11月には史上最高値のプロパン535ドル、ブタン555ドルに象徴されるように、極めて荒く、年間を通しても前年より80ドル程度高い相場となった。
 エクソン・モービルの吉田恭二取締役産業・ホームエネルギー統括部長は「年初に到来した寒波の影響を受け、業界の3月末在庫が極めて低いレベルとなったため、不需要期にさしかかる4月以降も日本の輸入需要は衰えなかった」と年初からの動きを振り返る。
 4月のプロパンは415ドル、5月は同月として最も高い420ドルへと跳ね上がり、11月には史上最高値535ドルを付けたが、その結果「円安やオーシャンフレートの上昇要因もあって、当社の4月から12月までの家庭業務用プロパン仕切り価格はキログラム当たり18・3円の上昇になっている」と新日本石油の津田直和副社長は国内市況への強い影響を説明する。
 CPの史上最高値記録の原因は各首脳の見方は「原油高の影響」で共通している。原油価格は「全世界的に逼迫した需給情勢に、米国のハリケーンによる影響や投機的な動き(スペキュレーション)も相まって8月に史上最高値を付けた」(石黒俊雄三菱液化ガス社長)上に、ハリケーン被害によって「米国で生産能力不足が発生、石油製品の高騰につられて原油も暴騰」(岡山進三井液化ガス社長)する動きとなった。
 ハリケーン被害はLPガス価格に強く影響を及ぼした。「西側の原油市況が高騰したため、西側のLPガスも上昇し、東から西へカーゴが相当ながれ」(津田氏)、さらに「極東エリア向けカーゴの流出により、航海日数が増加した結果、大型LPガスタンカーのスポット運賃の高騰を招き、日本のLPガス輸入価格を押し上げる要因となった」(吉田氏)。
 フレート市況は「トン当たり50ドルまで急騰。中国・インドの旺盛な需要が年間を通じてCPの下支えとして作用したことは否めない」(亀田繁明昭和シェル石油執行役員ホームソリューション部長)。こうして05年はFOB価格に加え、タンカー船賃も高止まりという原因も手伝って、輸入会社の調達費用は一層上昇、「元売・特約店ともに、コスト上昇分の価格転嫁に四苦八苦」(亀田氏)する事態となった。
 11月の史上最高値を記録した後、「極東(中国、日本等)で輸入需要が低迷する一方で、サウジからのLPガス輸出量は安定的に推移、またイランからの新規供給もあり、基本的に需給は緩和の傾向をたどった」(加藤徳生コスモ石油ガス社長)ものの、「需要期を控え堅調な中国等のアジア勢のスポット輸入需要、日本国内の低在庫等の緊迫した需給状況を背景に、(CPは)原油に比べ高い価格レベルを維持することとなった」(石黒氏)結果、05年のサウジCPは500ドル超のまま取引を終了した。
 05年のLPガス業界はLPガス高騰によって「振り回された1年であった」(玉置肇丸紅ガスエナジー社長)。それと共に、1994年のCP採用から11年目になって「CP自体も従来からのアジア、特に日本の需給によるファンダメンタルズを反映するものから、中国・インドでの需要や欧米の市場価格なども織り込んだ価格体系へと変化する兆し」(大江勝日商LPガス社長)が出てきた。
 これに伴って内需は「前年の猛暑・暖房の反動により家庭業務用はいくらか回復したものの、本格的な回復の手ごたえは無い。工業用は輸入価格の高騰により昨年に続き需要が減少しており、厳しい環境にある」(松下功夫ジャパンエナジー取締役専務執行役員)との環境悪化が続いている。
 その上に、産ガス国が見る「消費国としての日本の存在は相対的に年々小さくなっている」(玉置氏)との実感もより強まった。
 同時に「中国、インドの需要増が著しく、世界のLPガス需要増の約四割を占めた」(津田氏)とする指摘のように、中国とインドの存在感と影響力は否が応でもアジア地域ばかりか、サウジを始めとする産ガス国へも伝わり、05年はアジアLPガス市場の勢力地図が一段と変化した点でも記憶される年であった。



PBN2006-01-01-3

2006年LPガス情勢 展望
需要は中・印が牽引
価格高続く AL+30〜50ドル程度か

 2006年のLPガス情勢について各首脳は価格面については総じて「高止まり」を予想する。原油価格の見通しについて昭和シェル石油の亀田部長は「05年ほどのレベルではないものの、引き続き高水準で推移するだろう」との見方で、「BRICsを中心とする需要増、OPEC増産余力への疑問、北海油田の生産量減少」を価格の下支え要因に挙げる。
 三菱液化ガスの石黒社長はアラビアンライト(AL)原油価格を「バレル当たり45〜55ドル」の推移と予想した上で、サウジCPの値動きを「トン当たり370〜530ドル」、新日石の津田副社長は「CPはAL対比プラス30〜50ドル程度」と幅を持って具体的な数値を示す。津田副社長は「例えば、AL55ドルならばプロパンは係数8・2を掛けた上で、プラス30〜50ドルとすると、約480〜500ドルという意味である」と説明する。
 06年のCP価格高止まり予測の結果、石黒社長は「元売各社は大きく振れるサウジCPに対して慎重な調達を行うため、日本国内の在庫は1年を通じて相対的に低いレベルで推移するだろう」とし、コスモ石油ガスの加藤社長も「CP高価格の状況下では需給を反映した在庫管理を厳格にし、適正在庫量での運用を心がけたい」と指摘する。
 フレート面でも「数隻の新造船の就航が見込まれるが、LPガス増産にともなう稼働日数の増加等により軟化は見込めない」(三井液化ガスの岡山社長)、「原油・ナフサが高騰すると、北米におけるLPガス価格に大きく影響を及ぼし、極東カーゴのスエズ以西への流出を招く可能性があるため、タンカー運賃の高騰にも大きく影響することが懸念される」(エクソンモービルの吉田取締役)との見解で、FOB価格高にフレート高も加わる情勢に変化はなさそうだ。
 加藤社長は06年の世界の需給構造について「基本的に05年と大きな差異は無いものと想定されるが、小規模ながらアフリカなどでの新規増産も予定されていることから、より緩和する可能性が高い」とするものの、価格面は「基本構造の改善が見込まれているわけでなく、大きな下落は考えにくい」とする。
 需給の見方では「スエズ以東向け供給はカタール等で生産量が増加するものの、中国・インドの需要が堅調と見込まれることから、需給バランスはタイトの状況が継続」(ジャパンエナジーの松下専務)、「世界規模での化学工業用の原料としての需要、中国・インドの需要の伸びを背景に、需給は概ねバランスかタイト気味に推移」(日商LPガスの大江社長)の情勢とする向きが多い。
 一方、2006年の為替予想について新日石の津田副社長は「欧州景気の回復と利上げ、米国送金法(米雇用促進法)の期限到来、米金利の景気に対する中立的水準到達による利上げ終了、日本の景気拡大と金融量的緩和並びにゼロ金利からの脱却、米国の双子の赤字が再び注目される」などの要因を挙げながら、「次第にドル円やもみ合いないしドル安反転へと相場展開が変化する」、三液の石黒社長は「前半は現在レベルで推移し、年央からは米国の利上げ打ち止めと日銀の量的金融緩和解除への流れから、日米金利格差が縮小し、円高に流れが変わる」、丸紅ガスエナジーの玉置社長も「予想に反し円高になるのではないか」とそれぞれ円高局面を予測。昭シェルの亀田部長の場合、「1ドル=115円を挟んだ動き」を予想する。
 一方、内需見通しについては「大幅な伸びが期待できない上に、他燃料との競争が多様化し産業全体のマージンは圧縮されるだろう」(玉置氏)との見方を代表として、「産業向け、都市ガス向けに占める割合の高いブタンは天然ガスへの燃料転換により、需要の伸びはマイナスになるとみられるが、プロパンの一般向け需要は若干ではあるが、引き続き伸びを示すものと見られる」(吉田氏)、「プロパンが家庭用を中心に伸びを見せる」(亀田氏)と言ったブタン、プロパンの需要格差の拡大懸念を指摘する声がある。
 プロパン需要に対しても「料金引き下げを武器にした電化攻勢を受ける状況が続くと予想され、厳しい環境が続く」(日商LPガスの大江社長)ことから、「家庭用コージェネなどの需要開発が重要な課題」(同)とする指摘は、業界全体の課題として共有できるものだ。