論文グランプリ横井正則さん
東彩ガス営業本部営業開発部
ハウジンググループ
開発チームリーダー
横井正則氏
ウエーブ・風 話題と肖像画/ナリケンがゆく <158>

 東彩ガスの横井正則さんは、昭和36年生まれの43歳であるが、静かな話しぶり、落ち着いた物腰からもっと年輩に見えた。自分は老けて見えるらしいが、昭和59年入社で今年は20年目だと言う。この間に3年ほど13Aに熱変の仕事をしたが、営業一筋で来た。東彩ガスは、埼玉県の東部、春日部市・越谷市を中心に約15万件(都市ガス13万件とLPガス2万件)のお客さまに供給している。ここ10年余は新築物件を担当して、最近は電化攻勢をどう防ぐかが最重要課題だと言う。
 横井さんは9月11日に行われたGHPコンソーシアムの第11回GHP・マイクロコージェネ販売事例論文コンテストで最優秀賞に輝いた。「エネルギーベストミックス住宅への道程」(本紙14㌻所載)がその論文である。
エンドユーザーへのPR
 東京電力のマスメディアを使ってのオール電化攻勢は激しく、とくに最近の東電のスイッチキャンペーンに圧倒されている。さりとてガスが白旗を揚げるわけにはいかない。今のガス器具は決して電気に負けはしない。われわれ業界人がガス器具の知識を持ち、自信をもって説明できるかが鍵(かぎ)である。
 しかし、IHクッキングヒーターは駄目だとは決して言わない。スイッチを切っても直ぐには熱は逃げないから火傷をしないように気をつけてと注意する。IHの鍋釜やフライパンは重い。実際に厨房に立つのは女性だし、毎日のことだから苦痛に感じるに違いない。テレビや新聞で環境の話を聞かない日はない。消費者は環境問題に敏感である。ガス会社としても環境面に充分留意している器具であると説明している。
ガスこんろは火の文化の継承
 レトルト食品を好む若者はIHヒーターを歓迎し、料理を愉(たの)しもうという中年層は火力が強いガスの炎を求める。ガスこんろは火力が強いから調理時間が短縮できる。調理の量が少ないと分かりにくいが、4人家族くらいになると明らかに調理時間の短縮が分かる。実際に台所に立つ女性には大きな問題である。その観点からわが社ではカスタマー・サービス・チームの女性が比較実演を見せて好評である。火を扱う竈(かまど)の文化の延長線上のガスこんろは「黒いこんろ」の印象を免れなかったが、ガラストップが出てグレード感でも劣らない。
 建築会社(サブユーザー)にガスの良さをPR
 Lハウスの社長は、エネルギーベストミックス住宅を幾十棟も建てその建売に成功している。横井さんはこの社長さんの事業にエコウィル+GHP+太陽光発電を提案して採用された実績を述べた論文でコンテストの最優秀賞を得たのである。論文の結語にLハウスは新たに33棟を計画しているが、そのすべてにエコウィルの設置が決まった。そして横井さんは今後もL社のようなガスファンの建築会社を1件1件作り上げてお客さまにガスの良さを分ってもらいたいと論文を結んでいる。
マサにガスだね
 来年1月を期して東京ガスがエコウィルを大々的に売り出す。東電のオール電化のスィッチキャンペーンが凄まじいので東ガスの登場は大歓迎だし朗報である。俳優の田村正和で「マサにガスだね」でいくのか、新しい趣向のPRが打ち出されるのか知らないが、スィッチキャンペーンに対抗する大きな力が加わることは間違いない。
世上の変化に対応
 横井さんは対談の終わりに自分の論文が最優秀賞に選ばれたのはタイミングと言おうか、めぐり合わせによるものだと思っていると述べた。都市ガス会社に就職して20年、活動のエリアが決まっていて攻めの姿勢も希薄で比較的ノホホンとやってきた。そこに電化攻勢が出現した。うかうかしていれば東電に呑み込まれ兼ねない。住宅事情も著しく変わった。標準的住宅といったものが存在しにくくなり、住宅に対するニーズが多様化した。エネルギー問題も市民の生活を直撃している。そして会社も東武ガスから日ガスグループになった。このような変化の中で電化攻勢に対してお客さまに、サブユーザーにどのように接し、対処したかをありのままに書いたものがこんな大きな賞をいただけたのである。人との出会い、めぐり合わせによるものだ。これらの人々にお礼を申し上げ感謝のまことを捧げたい。

プロパン・ブタンニュース/石油化学新聞社(C)