2004(H16)年
11月22日(月曜)
第2602号

PBニュース2004/11/22-01

経済産業省、増税なきCO2削減策
高効率給湯器800万台へ
2010年まで目標省エネを重視 環境税に対抗

 経済産業省は18日、高効率給湯器(ガスエンジン給湯器、潜熱回収型給湯器、CO2冷媒給湯器)を2010年度までに全世帯の約2割に当たる800万台普及させるなど、省エネ機器の追加投入案を含む「増税なきCO2削減策」を明らかにした。削減策にはLPガスを含むガス会社や電力会社に高効率機器の普及とその実施状況の公表を制度化する案も盛り込んだ。これは環境省が平成18年1月の導入を目指して提案し、政府税制調査会でも議論が始まった環境税の対抗策と位置付けられる。LPガス業界は環境税導入に「反対」で一致しているが、CO2削減の具体的貢献と電化対抗上から、高効率給湯器の普及に業界挙げて強力に取り組む段階にきたようだ。


PBニュース2004/11/22-02

“火”のある暮らしを
LPガス仮設住宅建設急ピッチ

 新潟県中越地震で家屋が被害を受けた住民のため、仮設住宅の建設が急ピッチで進んでいる。
 熱源の供給はLPガスと都市ガスの2つを採用することが決定。LPガス販売事業者は約10社が協力し、各地区の仮設住宅へのガス供給の準備を進めている。



PBニュース2004/11/22-03

LPガス仮設住宅,
12市町村26カ所に1600戸

 新潟県中越地震の被災者向けのLPガス使用仮設住宅の建設が15日から始まった。全国LPガス卸売協会が新潟県LPガス協会・全国LPガス卸売協会新潟県支部災害対策本部から得た情報などによると、15日現在判明している建設数は12市町村の26カ所・1,618戸(最大)。今後さらに600〜1,000戸ほど増加する見込みだ。
 LPガス供給は50`c容器を使用し、ガスこんろ、給湯器が標準設置となる模様。地元業界・事業者が対応しており、工期は11月末までとなっている。豪雪地であることから、雪害対策を講じる。



PBニュース2004/11/22-04

新潟県中越地震
村山芳夫・村山商会社長に聞く
「あらゆる場面でLPガスが活躍」
炊き出しや簡易風呂など

 10月23日発生した新潟県中越地震で自らも被災者になり、テントを災害対策本部として復旧活動の陣頭指揮に当たった十日町市のLPガス販売事業者、村山商会の村山芳夫社長が10日、本紙のインタビューに応じ、困難だった復旧活動について語った。要旨は次の通り。


PBニュース2004/11/22-05

カナジュウ 複合ビジネス狙い中計策定
3年後顧客2万5,000件目指す

 カナジュウ・コーポレーション(本社・横浜市、牧野修三社長)は「複合ビジネス企業に進化する」を基本に中期経営ビジョンを策定した。これからの3〜5年間を飛躍のための第一歩と位置づけ、環境変化に柔軟に対応できる“強いカナジュウ”を目指す。具体的には43期までに@顧客数2万5,000件ALPG部門の売上高21億6,000万円Bネットビジネス年商20億円CDyneCSの事業基盤強化――などを達成したい考え。このため、10月からスタートした第40期は、“新たな時代づくりへの始動の年”とし、ビジョン実現に向けて課題を解決していく。


PBニュース2004/11/22-06

簡易ガス―進化の予感
リーダーに聞く近未来像

 簡易ガス事業は、都市近郊の活発なタウン造成を背景に急ピッチで発展し、平成16年3月末現在では、事業者数1,713、供給地点群数7,891、供給地点数194万、総販売量(年間生産量)2億2,082万立方bまで伸長した。1戸当たりの単位消費量も12・9立方bに増加した。総合資源エネルギー調査会都市熱エネルギー部会・報告書でも、簡易ガス事業は「一般ガス事業と比較して一般的に規模は小さいが、事業の特性により需要に即応可能な供給特性を有しており、都市近郊や郊外においてガス導管網が発達していないわが国の現状を踏まえれば有効な供給形態」として改めて位置づけられた。しかしながら、今年4月には電気事業法・ガス事業法が改正され、自由化範囲がより拡大されるなど事業環境はより競争時代にシフトしている。現に“オール電化住宅”の攻勢は激しく、ボーダーレス化も一段と進んでいる。こうした中、簡易ガス事業に求められるのは、災害に強いクリーンな分散型エネルギーの特性を生かした“元気な簡易ガス”創り。新たな需要の創造(地点群コージェネ等)なども不可欠。簡易ガス事業を取り巻く環境が大きく変わろうとしているなか、オピニオン・リーダーは「近未来の簡易ガス事業」をどうイメージしているのか。@簡易ガスの近未来A当社の課題と展望Bその他――などを聞き、次代への発展策とした。


PBニュース2004/11/22-07

ベストパートナー・簡易ガス 顧客創出の達人

 ガス体エネルギー産業は、環境問題やエネルギー資源問題への対応、需要家サイドに立った利便性拡大などの観点から大きな変革が求められている。簡易ガス事業も例外ではなく長期的なビジョンのもと、従来の概念を捨てて新たな時代づくりに挑戦する時である。オール電化住宅の攻勢がさらに加速しているなか、消費者との触れ合い強化で顧客創出に取り組むモデル事例をルポした。


PBニュース2004/11/22-08

健康食品「天然がごめ昆布」
人気支える池見石油の乾燥機

 道南の東海岸から函館にかけて分布し、松前漬や納豆昆布の材料として人気が高い「天然がごめ昆布」。その加工現場を支えているのが池見石油店(本社・函館市、石塚與喜雄社長)が開発・販売中のLPガス、または灯油を熱源とし、遠赤外線(天上)と温水暖房(床面)の昇温効果を引き出す昆布乾燥システムだ。
 同社は今夏、南茅部町の昆布加工工場に乾燥機を納入したが、本格的な発売時期を来春に置き、このほど普及拡大のため北海道工業試験場に助成金交付のための申請書を提出した。石塚社長は「来年4、5月には助成金が交付される見通しで、加工業者に利用を提案し、一等品の昆布を大いに広めていきたい」と語る。同社では今月から鮭の加工食品「トバ」の乾燥試験を始め、提案先を広げていこうとしている。
 「天然がごめ昆布」の品質を決めるのが乾燥工程。従来は天日干しが主流であったが、これだと品質にむらができ、出荷量も不安定になりがちだった。生産加工業者の望みは「何より市場で高く取引される一等品の昆布を生産すること」と、幼い頃から地元で昆布の生産加工現場を体験してきた石塚社長は、がごめ昆布の調理方法を伝授する役も買って出ている。
 天然がごめ昆布漁は毎年1〜2月のわずか1カ月半が勝負。漁獲高は真昆布の10分の1程度という貴重品だ。アルギン酸や抗がん、坑アレルギー作用があるU−フコイダン(粘性多糖類)=ぬめり成分=を他の褐藻類より多く含み、美容効果からも健康食品として注目されている。最近はテレビの情報番組に取り上げられ人気が急上昇、インターネット販売でも超人気となっている。


PBニュース2004/11/22-09

LPガス安全・料理教室
目輝かす中学生
秋田・羽後中

 秋田県LPガス協会湯沢雄勝支部(前田貞一支部長)は9月から今月まで支部管内の中学校と高校12校でLPガスの「安全教室」と「料理教室」を行っている=一部既報=。支部は今回のためにガラストップこんろ4台を購入、料理教室はこれを持ち込んで行っている。教室そのものやガラストップに対し、学校や生徒、親からの評判は上々。ガラストップに対し「あのガスこんろが欲しい」と感想文を書いた生徒もある。支部は12月に合同展示会を行うが、この勢いで展示会を成功させたいと張りきっている。




PBニュース2004/11/22-10

「お父さん頑張って」
ヤマサ總業 業務用機器をPR

 ヤマサ總業長野支店(黒河内芳範支店長)は、業務用ガス機器を家庭用に普及させるための提案方法を模索している。
 第1弾として、焼き鳥用の業務用機器を選定した。これは、不景気が続くなか、家族のために一生懸命に働く男性を意識したもの。
 「居酒屋など飲みに行く回数が減っている」との予測から、スーパーなどで販売している冷凍焼き鳥が、炎のあるガスで調理することで「簡単においしく安くできることをアピールしたい」としている。
 長野エリアのガス展会場では、担当者が「お父さん、いつもご苦労様です。これからも、家族のために頑張ってください」と労い、ガスで調理した“おいしい”焼き鳥を試食してもらった。



PBニュース2004/11/22-11

伊丹産業、和泉工場竣工
地下式20d3基を採用 旧堺工場を移転改称

 伊丹産業(本社・伊丹市、北嶋一郎社長)は、かねてより大阪府和泉市の工業団地テクノステージ和泉で建設工事を進めていた堺工場の新築移転工事が完成したことから、11月9日「和泉工場」と事業所の名称を改め、現地で竣工式と披露宴を行った。LPガスタンクは地下式20d×3基、充填システムは8連式回転自動充填機×2基、投資総額は10億円。


PBニュース2004/11/22-12

全社員が徒歩、自転車で
南紀プロパン総合防災訓練

 南紀プロパンガス(本社・新宮市、市川榮一郎社長)は10月28日、本社工場で、第34回総合防災訓練を実施した。今回は地震のため道路が損壊したとの設定で、全社員が徒歩や自転車などで出社した。女性社員5人を含め60人が、通報連絡班、作業班などに分かれ参加した。
 訓練は社員帰社後、震度6強の地震が発生し、充填場の充填容器が多数転倒、散乱。ガス管の一部が破損しガス漏れが発生したとの想定で行った。



PBニュース2004/11/22-13

中国路
☆「まず自分で使う」から
 電化攻勢、単位消費量の向上などを目的にLPガス業界のガス機器販売は展示会などを通じて盛り上がってきている。
 山陰酸素工業(本社・米子市、並河勉社長)の販売店会であるヤマサン会(足立令一会長)では「まず、自分(自店・自家)で使用して商品知識をしっかり身につけ納得したうえで販売しよう」ということから「自店自家使用推進キャンペーン」に取り組んでいる。
 今回、リンナイが発売したIH対抗の戦略商品である100ボルト電源対応の最高級ガラストップこんろ100台を購入し、会員に対して使用推進キャンペーンを開始した。
 会員である水谷電業社(本社・安来市、水谷幸男社長)もこのほど、最新こんろを自宅で購入し、母のタマエさん、夫人の知子さんらが早速、調理に使っている。タマエさんは「オート機能を使って焼き魚をつくったがうまく焼けて美味しかった。それにタイマーを使って湯沸しなどできるのでその間、安心して他のことができる」という。知子夫人も「実物を直接お客さんに見てもらうことができ、その機能や特徴を説明し直に使ってもらうこともできる」と自信たっぷりに話していた。


PBニュース2004/11/22-14

全会員60社参加
初の合展に5,000人超が来
福岡県協嘉飯山支部安全周知も実行

福岡県LPガス協会嘉飯山支部(秋元正幸支部長)は13、14日の両日、「joyたまおき東町店多目的ホール」(飯塚市)で「ガス感謝フェア」を開いた。同フェアには嘉飯山地区のLPガス販売店60社が参加。同支部が全会員販売店の合同によるガス展を開いたのは初の試み。同地域で最大規模のガス展に来場者数は膨れ上がり、2日間の動員目標4,000人に対し5,116人、当日の機器販売は3,150万円を売り上げるなど大成功を納めた。


PBニュース2004/11/22-15

神鋼機器倉吉工場 ルポ

2005年元旦に神鋼機器工業(深澤正弘社長)とJFEガスシリンダー(西内侃二社長)が合併し、神鋼JFE機器としてスタートする。その新会社の主力工場となるのが倉吉市海田東町の神鋼機器倉吉工場。敷地は7万平方bを超え、20、50`c容器、バルク貯槽、一般高圧ガス用タンク、コンテナ、環境設備機器などを製造している。容器生産の最前線を訪問した。
50キログラム容器検査・生産ライン
完成した上取出型バルク貯槽


PBニュース2004/11/22-16

火のある暮らし再発見〈上〉
大阪ガスエネルギー・文化研究所 山下満智子氏

火は「生きる力」
食文化の発展に貢献

 三菱液化ガス関東支店(布施俊郎支店長)は10月13日、東京・東京商工会議所でオープンセミナーを開いた。「エコ時代のガスライフを考える」をテーマに顧客密着を考えるのが狙い。講師の1人である大阪ガスエネルギー・文化研究所の山下満智子氏は「“火のある暮らし”再発見」をテーマに講演した。2回にわたり概要を紹介する。

 IH普及にともない、改めて文化に立ち戻ったのが原点である。“人間にとって火とは何か”という問題意識で文献調査を行うことで、今までの火の歴史、食文化、暮らし、神話、宗教・祭事が見えてきた。前国立民俗学博物館館長の石毛直道氏は「人類史最大のでき事は人間が“火を利用する動物になったこと”“言葉を話す動物になったこ”である。火の利用はエネルギー革命であり、火を利用した料理は食生活革命である」と話している。火を扱うエネルギー事業者は自信をもっと持ち、人類にとって重要な意味を持つ火の未来を担っていることを自覚する必要があるのではないか。
 「火」は暮らしの中で、人を惹きつけ、五感を刺激してきた。特に子どもたちを育むのが火の体験であった。火を扱う能力は“生きる力”であり、現代のこどもたちは火に触れると熱いということも知らずに成長している。火の知識ではなく、火の体験が重要である。そのためには、子どもの“日常”に火があることが重要だ。また、火は神社や寺では邪気を払い、暮らしと密着してきた。
 「火」と食文化には、火で焼くことが料理の原点であり、食文化を豊かにしてきた。そして、家族が火を囲み、食卓をともにすることで家族の絆を作り出してきた。人類史では、旧石器時代に原人が火をコントロールできるるようになり、食事・防衛・社会交渉が大きく進展した。
 食文化の中でも、日本では特に米にこだわり、文化の中に力強く根付いてきた。竈、お釜の包み炊きと歴史を辿り、江戸時代で炊飯技術を完成させた。現在のガス炊飯器も江戸時代の“美味しいご飯”を再現できるように努めている。昭和30年頃の大阪ガスのチラシによれば、1升のご飯を炊くのにガス4円12銭、薪5円30銭、木炭5円72銭、電気8円3銭が掛る。ガスが食文化の発展に貢献してきたことがわかる。最近では土鍋で“美味しいご飯”を炊くことが消費者にヒットしている。        (つづく)