ウェーブ・風  話題と肖像画 ナリケンが行く

(2004/10/18プロパン・ブタンニュース)

岩谷産業 専務
重松公夫氏
「マイホーム発電」に大号令

 イワタニでは今年4月にマルヰガス本部を総合エネルギー本部に改めた。その本部長に就いたのが専務の重松公夫さんである。総合エネルギー本部は、LPガスの取り扱いを本業に、LNGや天然ガス、灯油をはじめ風力や太陽光などの自然エネルギー、再生エネルギーや水素エネルギーそしてコージェネなどを総合的に取り扱う。それで「総合エネルギー」という名称になったのである。また、同本部にはエネルギー・ソリューションすなわちエネルギー問題の解決策を提案をする「本社営業室」も置いた。同本部は、1`hの家庭用コージェネや5〜50`hの業務用マイクロコージェネ事業に注力する。また、これら諸々の用途にLPガスを供給するのにボンベとバルクとパイプ供給の最適化も推進する。
総合エネルギー本部の「五重の塔」
 @本部長と2人の副本部長、総合エネルギー事業統括室、マルヰ会事業部の下にマルヰガス部、調達・LPガス営業部、石油部、物資部、供給保安システム部、産業エネルギー部、本社営業室(室長の下にエネルギーサービス部、自動車燃料部、天然ガス部、導管営業部がある)、そして水プロジェクト営業部も同本部の本社機構である。
 A支社・支店は、8支社、29支店、25営業所。
 B地域事業会社は21社、ホームエネルギー会社は19社。
 Cマルヰ会は、全国に約1,700会員。
 D一般ユーザーは、直売のみで平成16年3月末の実績55万件。計画では平成17年3月には62万件、18年3月には70万件(直売のみ)を見込んでいる。これがイワタニ総合エネルギー本部の「五重の塔」のあらましである。
LPガスを支えるマンパワー
 ガス事業法、電気事業法は、都市ガス、電気事業の普及促進をはかる法律である。それが大幅に規制が緩和され、2007年に向けてさらに規制緩和は進展しようとしている。
 電気は、発電装置と送電線で、都市ガスはパイプで客に届けられる。この激変の中でLPガス業界を支えるのはマンパワーである。LPガスの商流は長い。それにかかわるすべての人がお客と接点を持つのは難しい。そういう中で代表として客と接点を持つのが販売事業者である。
 わが社は「台所安心点検サービス」訪問を実施した。今年3月にこの運動の1年半の集計をした。その結果、お客の目線での需要動向をつかむことができた。これを販売促進につなげていく。顔の見える営業、これが原点だと思う。
電気は炎を奪った
 「始めチョロチョロ、中パッパ」は、米を炊(かし)ぐ炎(ほのお)の加減を教えた日本人の知恵である。その昔、かまどの壁に面相の面白い童子の絵を貼り付けたものである。その童子の名は、ヒヨトクと言った(岩手県の民話)。ヒヨトクは、かまどの守護、火の神である。お神楽(かぐら)のヒョットコの面をつけて所作をするあのヒョットコはこのヒヨトクに由来する(閑話休題)。
 炎を使いきることは、もっと尊重されなければならない。ガス屋が炎を使いきるガス機器を売る。使い勝手のよいガスのシステム機器にもっと執着してよい。
 わが社の「台所安心点検サービス」訪問は、電気が炎を奪い、高熱を要する調理に不便を感じている主婦が多いことが分かった。30歳台の主婦がCO2等環境への影響を配慮した機器に関心が高いことも分かった。
 そのようなガス器具、システム機器は、安全で品質もデザインも良く、お客さまが選べるものを提供していきたいと重松さんは言う。
マイクロコージェネは電化攻勢に対し攻めのツール GHPをベースに開発された5〜50`hの業務用マイクロコージェネ、それに1`hの家庭用コージェネの登場は「GHP三兄弟」と称たたええられ大評判になっている。これまでコージェレーションは、1,000`h以上で、主として産業用で行われてきた。5〜50`h、いわんや家庭用の1`hコージェネなど手も足もでなかった。それがGHPの技術をベースとして開花したのである。
 イワタニの総合エネルギー本部がこれに着目しないわけはない。電力攻勢に対してガス側の対抗的ツールだからである。電磁調理器をもってする電力攻勢にガスのガラストップ厨房器が守りのツールだとすれば、家庭用、業務用のコージェネは、エコキュートをもってする電化攻勢に対するガス側の攻めのツールである。
 重松さんは、GHP、マイクロコージェネ、そして1`h家庭用コージェネの「GHP三兄弟」に真摯な取り組みを呼びかけている。家庭用1`hコージェネは、「マイホーム発電」と銘打って給湯、浴室暖房乾燥機、温水式床暖房等の熱利用と合わせて、その普及に大号令をかけている。

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