2004(H16)年
9月13日(月曜)
第2592号
神鋼JFE機器」発足へ
神鋼機器とJFEシリンダーが合併
シェア25%、業界2位に

 神鋼機器工業(本社・倉吉市、深澤正弘社長)とJFEガスシリンダー(本社・伊丹市、西内侃二社長)は9日、来年元日をメドに合併し、新会社・神鋼JFE機器(本社・倉吉市、深澤正弘社長)を発足させると発表した。LPガス容器市場でのシェアは出資両社の合算ベースで25%。中国工業に次ぎ2位となる。容器メーカー各社は市場拡大に歯止めがかかる中、バルク化に伴う一般容器の需要縮小に対応して生産・販売体制の合理化やOEMを進める一方、4年前には関東高圧容器販売と昭和高圧工業が合併、今回は神鋼とJFEが合併と再編が加速している。神鋼JFE機器は「生産拠点の一極化や集中購買による資材購入・物流費の削減、営業・サービスの共通化などの統合メリットを効果的に発揮」(深澤・神鋼機器社長)し、厳しい市場環境に勝ち残れる企業体質の構築を目指す。

震度5弱観測
メーター遮断の効力発揮
紀伊半島沖・東海道沖地震 保安啓蒙も生きる

 5日午後7時7分ごろ、同日11時57分ごろの2回にわたり、紀伊半島沖と東海道沖を震源とする地震があった。震度5弱を観測したのは、1回目が和歌山県新宮市と奈良県下北山村。2回目が新宮市、下北山村と三重県松阪市、同香良洲町。1回目、2回目とも、近畿・東海地区の広い範囲にわたって震度4を観測した。大阪市や名古屋市の大都市中心部でも震度4を記録した。1回目、2回目とも震源の深さは約10`bで、地震の規模は1回目がマグニチュード6・9、2回目は7・3と推定される。地震による大きな被害は、LPガス関連ではなかったが、マイコンメーターの遮断が相次ぎ、本紙の調べでは、6日午前10時現在で1,000件程度のメーター遮断があった模様だ。また、大阪ガスには6日午前7時までにメーター遮断に関する問い合わせが1,300件あったが、ガス管などの破損報告はない。新宮ガス、兵庫県の淡路島でもメーター遮断が確認されている。

長野県営ガス事業の後継先
東京ガス連合を選定
分社統合構想が決め手に

 県営ガス事業の民営化に向け、事業後継先の選定作業を行ってきた長野県の「ガス事業継承会社設立に関する評価会」(委員長=大住莊四郎・関東学院大教授)は3日の最終会合で東京ガス、帝国石油、上田ガスの3社連合を選出。田中康夫知事はこの案を了承し、6日に正式決定した。「顧客益の拡大」と「県民益の確保」をテーマにLPガス事業者・グループ4者と都市ガス連合の計5者の間で繰り広げられた指名競争は結局、県ガス供給網の本管と両端を固める都市ガス連合の勝利に終わった。

CP高騰
卸売各社は転嫁の動き
小売業界も料金見直し検討

 関東地区の広域大手、地方卸売はサウジCP(輸出価格)の高騰にともなう元売価格の上昇を受け、各社個別に卸売価格への転嫁に動き出した。これを受け、小売価格についても有力各社が相次ぎ1立方bあたり20〜40円の値上げに向け検討を開始した。広域大手には10月検針分からの30円値上げを指示したケースもある。卸売価格の値上げは、元売価格の上期分値上げを踏まえ、キロあたり5円、ないし6円を検討しているケースが多く、10月以降に元売価格がさらに上昇すれば段階的に上方修正するとしている。

新日本ガス
北里研究所にCGS
併設病院にはGHP44馬力

 新日本ガス(本社・北本市、福江忠夫社長)は、昨年7月に北本市の北里研究所メディカルセンターの生物製剤研究所に320`hコージェネレーションシステム(CGS)3基を設置した。また、1年間の稼働実績を評価した研究所が環境を重視し、併設する病院のA重油方式のモノジェネレーションシステムをGHP(44馬力)に転換することに成功した。都市ガス会社からの働きかけで、GHPに転換したのは珍しいケース
 北里研究所は1914年の創立以来各種疾病の原因と予防治療方法の研究、治療施設と教育施設の運営を行い、公衆衛生の普及促進に努めてきた。常勤の従業員は1,250人を数え、国内でも有力な医療・生物分野の研究組織だ。

サンワ
新電力販売事業を推進
50`hコージェネなど設置

 サンワ(本社・前橋市、遠藤祐司社長)はLPガス需要の創造に向け、本社に50`h級のガスエンジンコージェネ(GEC)を設置し、新エネルギー分野への取り組みを本格化させた。今秋に全面リニューアルを終える邑楽充填基地には8`hコージェネを設置した。1`hコージェネ「エコウィル」も含めたLPGコージェネシステムによる新電力販売事業を推進することで、環境や省エネに配慮しながら地域密着型電力販売事業から広域電力小売事業への積極的な事業展開を図るのが狙い。

ミツウロコ
全農宮城が共同利用
物流合理化を牽引

 ミツウロコ(本社・東京、田島直社長)が宮城県古川市沢田字立海道に建設を進めていた充填基地が7日、竣工した。同社の呼び掛けに応じた全農宮城県本部が市内の基地を閉鎖してこの基地を共同利用することが決まっている。隣にはすでに販売事業者6社が共同出資して設立した容器再検査会社の東北ヨーケンの工場が建っている。同社は各地で物流合理化の牽引役を担っていくことで地域に根を張ろうとしている。田島社長は竣工パーティーで集まった地元事業者に一緒に共同充填、共同配送をしようと呼び掛けた。

兵庫県協
LPガスバリアフリー作戦展開
9〜10月770業者が3万高齢者宅訪問

 兵庫県プロパンガス協会(須國廣会長)は9月1日から10月31日までの2カ月間、県内のLPガス販売事業者が高齢者宅を訪問する「バリアフリー作戦」を実施している。県内の770事業者が、あらかじめピックアップしておいたLPガスを使用している高齢者宅約3万世帯を訪問し、安全点検による事故の未然防止と生活相談などによる社会福祉活動を展開しているもの。
 期間中は老朽化器具の一掃と安全機能付きガス器具の普及促進に併せ、「安心一声運動」「安全使用説明」「安全点検」「要望対応」を実施目的とし、台所等での安全点検を実施する他、日常の生活相談にも応じ、事故の未然防止と福祉の増進をはかる。本年度事業の先進ガス器具普及大作戦も同事業を活用して行い、最新ガス機器の推奨と他エネルギーへの転換防止にも努める。

電化対抗
決め手は“省エネ給湯器”

オクジ2カ月で50台販売
潜熱回収型 国の補助金積極活用

 電化対策の決め手は“省エネ給湯器”――こう言い切る企業が、だんじり祭で知られる岸和田市にある。オクジ(樫葉力社長)は7月から9月までの3カ月間、潜熱回収型(高効率)給湯器キャンペーンを展開。既存客を対象に、国の補助金を積極的に活用し7月と8月の2カ月間で50台を販売した。同社は「環境と暮らし」を理念に据え、浴室乾燥暖房機との複合提案など、総合的な販売戦略を展開する。「特別な売り方をしていない。お客さまに提案をすれば売れる商品」(鍵野和茂常務)と語る、同社の強みを探った。

予想超える200社動員

ヤマサン会初のサブユーザー展大成功
“情報発信源”高い関心示す

 電化攻勢は住宅情報の発進部分である建築設計事務所やハウスメーカー、工務店などに集中し、これらを媒体にオール電化を推進している。逆にLPガス事業者は家庭訪問や各種の展示会を通じて直接、客にアプローチしてきた。しかし、新築やリフォ―ムなどは建築事務所などサブユーザーがその情報の発信源であり、LPガス事業者はここの部分をおろそかにしてきたし、弱点であった。
 こうしたことからヤマサン会では今回、サブユーザーだけをターゲットに絞込み、展示会を開いたもの。

積水ハウス熊本支店「エコウィル」に積極的
西部ガスグループと連携

 新築住宅での「電気かガスか」の熱源選択はサブユーザーの営業戦略に左右される要素が多いといわれる。代表的ハウスメーカーである積水ハウス熊本支店(本田忠幸支店長)は西部ガスと連携し、「エコウィル」(家庭用1`hガスエンジンコージェネ)設置住宅を積極的に販売している。
 同支店はこれまでに西部ガス熊本支社のガス供給エリア物件に6台を設置済みで、現在計画段階の団地でも「エコウィル」の採用を検討中。本田支店長が「選ぶのはユーザー」と強調するように、「エコキュート」によるオール電化住宅だけでなく「エコウィル」設置住宅も提案し、多様化するニーズに応えていく方針だ。

業界初、超小型ベーパーライザー内蔵
新型バルク貯槽開発
カグラインベスト15日から出荷

 カグラインベスト(本社・兵庫県尼崎市、玉井健一社長)は3日、業界で初めて1dタテ型LPガスバルク貯槽のプロテクター内に、消費型ベーパーライザーを内蔵した新製品Bulk AllinOne=BAiO(バイオ)2タイプ(ガス発生能力毎時50`と100`)を開発、15日から出荷すると発表した。これまでベーパーライザーは、バルク貯槽に隣接設置することが普通で、常識を覆す画期的な新製品として注目される。