2004(H16)年
9月6日(月曜)
第2591号
住友商事ローリー卸業務を分社化
10月1日新社設立年80万d、380億円規模

 住友商事は、これまで東京・大阪・名古屋で直接取り扱っていたLPガスのローリー卸業務を分社化して、10月1日付で新たに卸売業者と工業用需要家向け販売会社「住商LPG販売株式会社」(本社・東京都中央区)を設立、業務を移管する。新会社はグループLPガス販社の住商液化ガス中央(本社・東京)の取り扱い分も統合するため、LPガス販売量約80万d、売上高約380億円規模となる。

ガスメーター 電子式時代 来春発売へ
KHKが開発完了

 高圧ガス保安協会(KHK)は8月31日、平成12年度から取り組んでいた電子式(超音波式)流量計測型保安ガスメーターの開発が完了したことを明らかにした。
 ガス流量を超音波センサーで電子的に計測し流量判断時間を短縮化したことで、従来の膜式と比べてガスの微少漏洩の早期検知を可能とした。膜式にあった“計量室”が不要となったことでメーターの小型・軽量化等も実現。また、流量判断時間の大幅な短縮は、ガス機器の機種別監視も可能となる。KHKでは現在、技術基準及び検査基準の作成に入っており「遅くとも来年春には市場に出るように環境を整えたい」(難波三男・LPガス研究所所長)としている。

“エネルギー激変時代”アナリストの眼
野村證券金融経済研究所(企業調査部主任研究員)塩田英俊氏

 電力・ガス業界における規制緩和の進展や、分散型電源や燃料電池の開発などの技術の進歩により、エネルギー業界は激変の時代を迎えている。LPガス業界も、ますます強まるエネルギー間の競争の嵐の中にある。都市ガスの需要が過去10年間に年率5%で伸びてきたのに対し、LPガスの同期間の需要はほぼ横ばいで推移しており、市場の成熟感は強い。今後もオール電化住宅の攻勢は激しくなる見込みであり、エネルギー業界の規制緩和も着実に進むだろう。中期的にLPガスの実質的な価格下落が続く可能性が高い。このような企業間競争の激化は、エネルギー業界に限らず、全産業、全世界に及んでいると言って良いだろう。本稿では、このような大競争時代にLPガス事業者が取り組むべき「クオリティの高い経営」はどのようなものかを考察したい。

アテネ五輪支えたLPガス

 8月29日に17日間の熱戦に幕を下ろした第28回夏季オリンピックアテネ大会で、シェルガス・ギリシャ社はオフィシャルサポーターとしてエネルギー供給をサポートした。
 108年ぶりに近代五輪発祥の地で行われた今大会には史上最多の202の国と地域から選手・役員約1万6,000人が参加し、28競技301種目で熱戦が繰り広げられた。
 シェルガス・ギリシャ社はLPガスを含む燃料と潤滑油の供給者となり、シェルガス・ギリシャ社も聖火台の運営とHSE(健康・安全・環境)問題に関する技術協力により、オリンピック聖火台の建設をサポートした。また、同社は聖火リレーの間、行く先々の街で点火する聖火台の運営にLPガスシリンダーを使うことで祭典に華を添えた。さらに18カ所の五輪メーン競技施設と関連施設のすべてのキッチンにガスシリンダーを供給し、これらの施設では1日に約1万食の食事が調理された。
 アテネ五輪へのエネルギー供給プロジェクトには、シェルガス社のガス供給運営に携わり、HSE問題にも取り組むテクニカルチームが参加、供給ネットワークと営業活動を展開するチームも加わり、オリンピック委員会の要望に応える形となった。
 日本選手団が史上最多の37個のメダルを獲得するなど選手の活躍の裏側で、LPガスは大会を支えた。

星野燃料店高効率給湯器26台販売
ノウハウ蓄え補助金を有効活用

 星野燃料店(本社・裾野市、星野富作社長)は昨年度の潜熱回収型(高効率)給湯器導入支援制度の開始を機に高効率給湯器の販売をスタートさせ、昨年度は14台、今年度は8月末までに12台の実績を上げた。仕入先メーカー・高木産業の研修会を通じて商品知識と補助金申請手続きノウハウを身に着け、日常的な営業活動の中で高効率給湯器の省エネ性や補助金メリットを伝えるという正攻法で成果を上げている。


幼稚園は差別化の時代

 LPG幼稚園バスの取材の度に「今の幼稚園は園児が非常に少ない」と感じる。“少子化”という言葉を良く耳にするが、最初の現場取材(幼稚園)に行くまでは、正直、気にも止めなかった。
 市販のLPGバスは、大人3人、子供39人乗り。だが、1回の巡回では満席どころか、10人以下もザラ。しかも幼稚園ではバスは必ず2台所有しなければならない決まりがあるそうで、経営面から見れば、バス所有は経費がかかるばかりである。
 従来、幼稚園ごとには暗黙のテリトリーが存在していたという。しかし、幼児教育の世界で、少子化で従来のテリトリーがくずれ、各幼稚園が少し遠い場所でも園児を迎えにいくため、親御に向けて他の幼稚園との目に見える差別化が必要らしい。
 LPG幼稚園バスを導入した名古屋市内の2つの幼稚園は、導入理由が自動車NOx・PM法を解決することはもちろんであったが「LPGバスは排気がクリーンであるため、園児の身体や地球環境に優しい」と訴える。幼稚園ビジネスも差別化の時代に入ったようである。

紀北LPガス商組設立へ
和歌山県北東部の35者出資 公立校へ安定供給

 和歌山県北東部の橋本市や伊都郡に拠点を構えるLPガス販売事業者は、公共施設や多様な物件に安定した供給を行い、ガスによる災害の防止に取り組むため「紀北LPガス商業協同組合」を設立する。地域の事業者が一丸となり、公立高等学校などへの供給を目指す。
 同組合は和歌山県LPガス協会橋本・伊都支部(岩上雅映支部長)の会員が出資して設立するもので、地域に密着した高度なサービスの提供やLPガスの安定供給、事業者の経営安定化を図ることを目的に設立した。

活火山
妊婦の心配

 ○…福岡県のある事業者の供給地域で6月中旬頃、消費者から「IHクッキングヒーターをガスこんろにしてほしい」との申し出があり、7月初旬にビルトインガスこんろへの転換を行った。
 この事業者によると、この消費者宅は建売のオール電化住宅で昨年12月に入居したばかり。ところが奥さんが「IHを使うと気分が悪くなる」と体の不調を訴えた。加えて妊娠中ということもあり胎児への電磁波の影響を懸念し、同社に転換の依頼があったという。
 ちなみに転換費用はガス機器と工事費を合わせて約9万円。給湯器は電気式を継続使用しており、これまで同様の使い方をすれば、光熱費は高くなってしまう。それでもガスこんろへの転換を選んだ。
 電磁波による健康への影響は公には明確にされていないが、このケースのように体調を崩す人があるのも事実。問題は入居時にハウスメーカーが電磁波の正しい情報をどこまで伝えていたかどうかにある。