2004(H16)年7月19日(月曜)第2584号
日連の経営実態調査
販売業者11%が廃業を検討
後継者難や電力との競合で

 業界が抱える問題に「電力との競合」などをあげ、近い将来は後継者難(高齢化を含む)などを背景に廃業したいと考えている事業者が11・1%にも達していることが分かった。日本LPガス連合会(高須國廣会長)は9日までに、「平成15年度石油ガス販売業経営実態調査」を明らかにした。この中で業界における問題点や将来展望を聞いたところ、後継者問題や都市ガス、電力、同業者との競合による経営悪化を理由に、業界の先行きに不安を抱いている事業者が多いという実態が浮き彫りになった。
小中型コージェネ導入支援振興センター今年度から計画

 LPガス振興センターは13日、16年度事業計画を明らかにした。これによると、新たに「石油ガス利用設備導入促進対策事業」(経済産業省受託事業)として、LPガスを利用する高効率熱電併給システム(コージェネ)の導入促進を目的とし、LPガスコージェネの導入設置に要する経費の一部助成を開始したい考え。小型から中型規模の新たなコージェネを対象とする。予算額は2億3,901万円(支出ベース)。
 小中型コージェネ補助事業は従来のモデル事業を対象とする助成でなく、導入促進という観点から取り組む。6月中に相次いでまとまった総合資源エネルギー調査会の需給部会中間原案、省エネ部会中間報告がそれぞれ長期エネルギー需給見通し、省エネ追加策でLPGコージェネ・燃料電池の導入促進を明確に位置付けている。試算によれば、LPGコージェネ・燃料電池の導入量は2030年度には最小113万`h〜最大443万`hと見積もられ、天然ガス、重油に次ぐ第3位の規模が想定されている。
IHヒーター今年、14%増の60万台予測
ビルトイン市場の3割超す


 電化住宅の必須アイテムとなったIH(電磁誘導加熱)クッキングヒーターとヒートポンプ給湯機の出荷が大幅に伸びている。日本電機工業会の国内出荷統計によると、IHクッキングヒーター(ビルトイン型と据置型の合計)の今年1〜5月の5カ月間の出荷台数が前年同期比16・5%増の21万9,000台に達した。IHの国内出荷は2002年48万1,000台、03年50万6,000台(前年比5・2%増)に伸びているが、メーカーは今年のIHの需要について「約60万台、前年比14%増が見込まれる」(三菱電機)と鼻息が荒い。高級調理器、特にビルトイン市場のIHクッキングヒーターの出荷比率は02年の29・7%に対して03年には30・3%に上昇し、電気がガスの牙城にかなり食い込んでいることが分かる。
IPネットワーク利用のホームセキュリティー事業
構造改善事業を出発点に

特別提言  藤原 明氏


 藤原明氏(日本LPガス連合会IT・エネルギーワーキング・グループ委員長、TOKAI社長)の04年度特別提言シリーズ第2回は「構造改善支援事業を出発点としたIPネットワーク利用のホームセキュリティー事業への取り組み」(第1回/エネルギー高価格時代とLPガス業界の対応=本紙6月21日号参照)。今回の提言のなかで、ブロードバンド通信サービス時代やホームセキュリティー市場の本格的開花を踏まえて、@需要家に密接するLPガス事業者は集中監視の延長線上でADSL回線利用のIPセキュリティーサービス事業に積極的に参入するときAIPネットワークの活用は既存の基本業務である検針や配送・料金通知などの合理化効果だけでなく、ホームセキュリティーやEコマース(電子商取引)等新規事業の展開が大きく開けるBこれらサービスの強化路線で顧客管理の徹底や定着化を進めて、収益拡充に努めるべきときと結んでいる。
オール電化住宅カギ握るハウスメーカー
野村證券主任研究員橋本氏が講演

 三菱液化ガス東北支店(佐藤治行支店長)は6日、仙台市の仙台第一生命タワービルで電力・ガスアナリストの橋本尚人野村證券金融経済研究所主任研究員の講演会を行った。橋本氏は、東北電力がオール電化住宅の普及を一層強化する可能性を示唆、その一方でオール電化住宅の普及のカギを握っているのはハウスメーカーにもある点を指摘した。また、電力の完全自由化はないと予測した。
 この講演会は三菱液化ガス東北支店が特約店向けに行った。「東北電力中期計画『ビジョン2010』を分析する」という演題で、日経アナリストランキング8年連続電力ガス部門1位を獲得した橋本氏に東北電力の経営計画の背景を解説してもらった。
 橋本氏は、電力とガスの自由化の流れの中で東北電力がどのような競争環境下にあるかを説明。東北電力にとって自由化による最大の脅威は東京電力で、それを念頭に置いた守りの経営姿勢をとっているとした。また、電気料金の値下げを行った影響で経常利益は00年から、総資産営業利益率は01年から減少している背景も抱えているとした。
 しかし、東北には東北電力ほどブランド力を持つエネルギー事業者はおらず、灯油分野を筆頭に都市ガスやLPガスの分野を浸食する攻勢を強めてくると予測。オール電化住宅の普及については「東北は貯湯槽を置く余地のある戸建て住宅が多い」「地方電力会社の中ではオール電化住宅の普及率が低いので今後伸ばす余地が多い」「大手都市ガスのような拮抗勢力がない」などの理由を挙げ一層拡大する可能性を示唆した。
 この一方で、オール電化住宅を普及させるため電力は、電化機器の無償設置など大きなコストを負担しており、オール電化住宅の普及が大きな利益にはつながっていない点も指摘。「オール電化住宅の普及のカギを握っているのはハウスメーカーで、電力会社もハウスメーカーに利用されているぐらいの認識が必要かもしれない」とした。
 または、電力の完全自由化はないとも予測した。電力の完全自由化で一般家庭の電気料金が値上がりした海外の事例を紹介、大口部門での競争を維持するため小口部門で利益を確保しなければならないからだとその理由を説明した。同様の構造的理由から日本の電力の自由化は一般家庭にまでは及ばないと明言した。
 橋本氏は「一般家庭の消費者と直接対面して行う営業は電力会社にはできない」と繰り返し、そこにLPガス事業者の生き残りのポイントがあるとした。エネルギーの自由化後の「LPガス事業者の立ち位置」は「小口需要家の光熱費を管理したりエネルギーについてのコンサルタントをしたりする情報系分野」と予測した。
またニセ調査員 福島

 先月末、福島県でLPガスの設備を点検に来たとして消費者宅を訪問し、高額な点検費用を請求する事件があった。
 同県LPガス協会によると20日から25日にかけて郡山市、須賀川市、石川町であった。訪れた男は警報器の交換料として1万8,000円、または1万9,000円を請求したという。消費者の中には請求額の一部を支払ったケースもあった。
 一昨年3月にも郡山市などで同様の事件が起きている。
ガス対電気、大阪南港で火花

 ▽…大阪ガスと関西電力がイベントで火花を散らす――両社は6月19日から21日までの3日間、大阪南港のインテックス大阪で対峙した。両社は日程が見事に重なり、大阪ガスは「リビングシステムフェア」、関西電力は「トータルソリューション&蓄熱フェア」を、わずか100bほどしか離れていない会場でそれぞれ開催した。
 両社は会場エントランス部のシアターゾーンでも真っ向勝負。大阪ガスは、映像に実際の風や水、シャボン玉を加えたユニバーサルスタジオさながらの4Dシアターで、ガス体エネルギーをPRすれば、対する関西電力は女性オリジナルユニットが電気をアピールするオリジナルソングを熱唱。画面はマトリックス的要素を採りいれた近未来的画像で演出した。
 場内でも、ガス側がガスと電気との比較調理実演をすれば、電力側は「電気はガスでしかできないとされる料理も可能」とPR。特に業務用厨房では、料理人が「電気は調理していても暑くならない」と強調した。
 大資本同士の熱い戦い。“オール電化”一本槍の電力側より、“エネルギーベストミックス”を唱えるガス側の方が、客観的に見ても理にかなっていると思うのだが、どうだろうか。
ガス外収益向上に力高山産業松下グループと提携強化

 高山産業(本社・岡山市、奥山茂社長)はLPガス部門の体質改善の一環としてガス外収益の向上に力を入れている。その柱となるのはシステムキッチンなど湯回り商品で、これにガス機器を絡ませたガスの増販もねらっている。
 同社は昨年、松下グループとタイアップして2度の展示会を開催したが、今年も17日には松下電器の岡山リビングプラザで同社の新製品であるアイランドキッチンの発表会を開く。岡山県では初めての発表会である。
 さらにこれに続いて8月末には今度は松下電工ともタイアップしてリフォーム商品の展示発表会を開催する。
 同社は年商約50億円の規模でこのうち約50%がLPガス関連。これから本格的に取り組みを開始するリフォーム部門は昨年、1億円の実績で今年は1億5,000万円を目標、さらに3年がかりでLPガス部門の10%の売り上げを設定している。
 このほか、ガス外収益として近く本格的に取り組むのが天然水の販売である。これは不特定多数の顧客を対象にして全社員上げて取り組むもので現在、パンフレットの作成や社員研修などを行っている。
福岡県協共同保安体制へ経営実態と他県を調査

 福岡県LPガス協会(寺ア和典会長)は、構造改善調査事業の一環として「保安機関、販売事業者等経営実態調査」に取り組む。そのために「保安機関等実態調査委員会」(田中万弘委員長=県協副会長、田中プロパン)を組織し、県内保安機関などへの実態調査を行い、県一本化が進んでいる鹿児島県や神奈川県の現状を視察する。調査は県内の共同保安体制の構築をにらんだもの。