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(2003/11/10プロパン・ブタンニュース)

ガステックサービス社長
神野吾郎氏
三河湾ガスターミナル効果

 ガステックサービスの神野吾郎社長は、新進気鋭の経営者である。
 同社は東海地方と静岡県を中心とする一都十県にLPガス需要家が直売二十一万二千件と卸売十三万五千件の計三十四万七千件あり、工業用、自動車用等で年間二十八万三千d(昨年十一月決算期の数値)を販売している東海地方の有力なディーラーである。
 神野社長は、規制緩和が進展してエネルギー事業者間のボーダーレスな競合が激しさを増している現在、LPガスの最大の特色はハンドリングのよさである。天然ガスは導管を通して供給され、それには大きな投資が要る。国土を距離的に見て導管による供給と車両による供給は自ずと分かれてくる。対電気の問題では、熱を使う煮炊き、給湯、暖房などにガス体エネルギーのLPガスは消費者に最も手近なところにいる。そして経済性だけでなく環境負荷も優れている。このように見てくるとエネルギーの住み分けが可能で、LPガスの位置づけもはっきりする。そうでないと言うものがいたら自分たちの怠慢でしかない。しからば、わが社はどんな役割を担えるか。これまでのやり方と今後とをどう変革させているか。物流の効率化もその一つである。面でのシェアを拡大して物流の効率化を図り、客との接点を太く密度を濃くして価額競争力をつける。これは同業者を含めて効率化を図らなければならない。LPガス業界がむかしながらの「互助会的組織」ではなく、他のエネルギーとの競争に打ち勝つ条件を作ることだ。また、ガスの利用だけではなく、ガス器具はもとより暮らしにかかわる商材、リフォームなど生活を豊かにする提案も積極的に行う、と言う。
三河湾ガスターミナル
 三河湾ガスターミナルは、平成十二年十月に竣工した。この国内最大級のLPガスの沿岸二次基地は、ガステックサービスの営業エリアの中心の愛知県東部地域・静岡県西部地域の豊川、蒲郡、浜松南、湖西の四充填所の機能を三河湾の〈緑が浜〉四万四千九百十平方bに集約したものである。
 その設備概要は、@LPG貯槽=プロパン=八百八十七d×二基、プロパン/ブタン=千三十八d、八百八十七d各一基、ブタン千三十七d×一基A残ガス回収=五d一基B受け入れ護岸=一カ所Cローリー出荷設備=五カ所D容器出荷設備=全自動回転式二十連充填機二基、全自動回転式十六連充填機二基、大型容器用定置式充填機三基、小型容器用定置式充填機四基Eオートガススタンド=ディスペンサー一基F残ガス回収設備Gポンプ等の機器、消防、保安設備−−等である。
 これによってコースタルタンカーから大型貯槽に受け入れ、容器搬送装置とコンベヤーシステムで作業効率を高め、すべてをコンピューターで一元管理して誤出荷を防止している。
 かくて入構・受け付けから計量、積載・出構処理までを約十五分で完了する。
 三河湾ガスターミナルで充填されたLPガスはタンクローリーより大量で、低コストの輸送を可能にした大型低床式トレラーで供給エリアの中継拠点デポセンターに運ばれる。大型低床式トレーラーはそのままデポセンターで容器置場として利用される。
 三河湾ガスターミナル・センター(MGT)の出現とそのシステムはLPガスの物流を効率化しコストを削減した。
GHPや暖房機能付給湯器のパック販売
 GHPコンソーシアムの「GHP販売事例論文コンテスト」でガステックは毎年上位入賞の常連である。昨年第八回コンテストでは、最優秀賞(業務用の論文)、家庭用、産業用両部門での金賞と上位を独占した。全国のGHP党はガステックばかりに名をなさしめてなるものかと大いに刺激を受けた。お陰で今年第九回コンテストの応募論文はいずれもGHPに対する真摯な取り組みと情熱がうかがわれ、一段とレベルが上がった。筆者などはこれを三河湾ガスターミナル効果を心に持って、ガステック効果と称えたものだ。
 ガステックのGHP販売台数の推移を記しておこう。累計台数五千五百九十一台、六万四千七百七十二馬力。昭和六十三年五月から今年五月末までの台数である。ちなみに、今期のガス機器販売台数は、暖房機能付給湯器六百十八台、前年比一九〇・二%である。付加価値の高い商品をパック販売にして、ガス料金割引プラン「得だね君」とあわせて積極的な提案営業を行って高い伸び率となった。この成果を見て今後の床暖房や脱衣室暖房機などの販売を見込んでいる。
ガス料金割引メニュー
 @「得だね君」は、家庭用GHPを対象にした空調料金の割引メニューである。家庭用料金から最大三〇%割引するA「環境割引」は、コンデンシング湯沸器を利用の客に家庭用料金の従量料金を一〇%割り引く。適用範囲は月間使用量(他の用途も含む、以下同じ)の五立方bを超える部分。適用理由は従来品に比べ約一五%の省エネ効果があり、CO2排出量を一六%削減できるからであるB「暖房割引」は、ガスファンヒーター、ガスストーブ、ガスエアコンと床暖房利用の客に家庭用料金の従量料金から二〇%割り引く。適用範囲は月間使用量が十五立方bを超える部分C「快適割引」は、浴室暖房乾燥機、衣類乾燥機と食器洗浄機利用の客に家庭用料金の従量料金から一〇%割り引く。適用範囲は月間使用量が十五立方bを超える部分である。需要開発に向けた器具販売を、このような料金メニューで積極的に補強している。


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