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(2003/10/27プロパン・ブタンニュース)

高木産業社長
川嶋軍司氏
富士山を仰いで環境のガス器具を語る

 ガス給湯器のパーパス・高木産業の川嶋軍司社長は昨年、社長に就任するまで昭和三十九年に入社以来三十八年間一貫して同社生産部門で物づくりに専念した。社長になってから精力的に全国のお客さん回りをしている。千人以上のお客さんと名刺を交換したと言う。
 昨年一年に支店、営業所二十五カ所で方針説明会をした。一回の説明会に二十五〜三十人のお客さんに来てもらった。また、昨年は新製品説明を兼ねての大商談会を全国七会場で開いた。その隣では高効率給湯器の講習会も行った。講習会には都合六千人が参加した。今年は二カ月半で工場見学を兼ねた講習会に千二百人の参加者があった。お客さんとの触れ合いを通じて給湯器販売に成功している人は自分の商品に惚れ込み、自信を持って販売していることを教えられた。
 前社長は、二十一世紀は環境の世紀、これをガス器具で実現しようと号令した。川嶋社長は生産部門で燃焼効率の高い、CO2排出量の少ないガス器具、すなわち潜熱回収(コンデンシング高効率)型給湯暖房用熱源器製作に成功した。
 パーパスは二十一世紀を前にこの画期的ガス器具・潜熱回収給湯器を世に問うたのである。コンデンシング技術採用の給湯暖房機や給湯器は、平成十二年から三年連続で省エネ大賞を受賞した。
 そして、この器具を設置するエンドユーザーには国の補助金が交付される制度もスタートした(LPガス用潜熱回収給湯器の補助金は財団法人LPガス振興センターが窓口になって目下受け付け中である)。
業界一軽い商品に三つの特徴
 五年ほど前になろうか、売上高を伸ばすことに腐心する余り損益をおろそかにして価格競争に走った一時期があった。その反省の上で損益重視の経営方針に転換した。その一環として商品の重量を二五%軽減して業界一軽い商品を作ろうと決めた。設計、購買、生産すべてが二十五%軽減に挑戦した。
 高効率給湯暖房機は、従来五十八`cあったものを四十八`c・一八%減、通常の給湯器は五十四`cが三十八`c・三〇%減、風呂給湯器は三十七`cが二十八`c・二五%減を実現した。平均二五%減で、目標をクリアして原価の低減に寄与した。かくて一年半をかけて全機種の商品群の入れ替えを完了して業界一の軽い商品を実現したのである。
 商品の軽さに組み合わせてパーパス商品には三つの特徴がある。第一の特徴はコンデンシング高効率給湯器である。給湯暖房器に例を取ろう。ランニングコストが一世帯当たり年間で約一万三千九百円低減できる(日本ガス石油機器工業会調べ)、CO2の低減は年間約五十七`c―C削減、杉の木約四本分のCO2吸収相当分である(環境省林野庁試算)。
 第二の特徴は、お風呂の全自動リモコンに体脂肪率測定、消費カロリー測定が手軽にできる多機能タイプの「よくばりリモコン」が付いた。スタンダードな標準タイプの「きくばりリモコン」の二種類のリモコンがある。また、半身浴やお風呂の湯を使ってのウォーターマッサージ、打たせ湯なども好評である。
 第三の特徴は、ホテルなど石油ボイラーから三十二号二十台とか五十号十台の燃転に活用する業務用のマルチシステムである。このシステムは一台が故障してもそれを無視して点火の順序を変えてローテーションを組むことができる。マルチ温水器は施工時にエレベーターを利用でき、リフトがいらない。施工が簡単である。
メンテナンス対応
 修理センターに夕方までに故障個所などを電話で依頼すれば、必要な部材をピッキングして翌朝までには営業所に届くようにしている。これによってとくに業務用の顧客から信頼を高めている。メンテナンスだけではなく、床暖房の設計、見積もりにも即応できるように人員を配置して体制を整えた。
社内でやれる異業種交流会
 高木産業は、年商三百億円を下らぬ中堅企業だが、その事業内容は、ガス機器部門が六五%、電子制御システム部門二〇%、その他一五%には生ごみ処理事業もあって、機械の製作だけではなく回収した生ごみを資源と考えてこれを肥料化し茶、水稲、中国野菜の栽培に施肥する一社完結型の生ごみ処理事業を行っている。
 また、水耕栽培システムを全国販売して千葉県のガーベラ、京都や愛知のバラ、東北のイチゴなど全国に三百五十システムほどが稼働している。これらは生ごみ処理事業とドッキングする。さらに製紙会社が多い土地柄ゆえに製紙機械の自動化装置、射出成型機の樹脂のペレットを乾燥する機械、ガス器具の金型を自社製作したところから始まった金型製作、プロパン総合管理システムや中小企業工場向けの管理システム等々を営業している。
 川嶋軍司社長は、社内で異業種交流会ができますよ、と言って秋晴れの空にくっきりと裾野を引く霊峰富士を仰いだ。

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