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(2003/7/14 プロパン・ブタンニュース)

日本LPガス連合会会長
須國廣氏
構造改革は実行あるのみ

  日本LPガス連合会の高須國廣会長との対談に当たって質問表を差し出した。質問表は次のような設問である。
 @新執行部は正副会長会議に代えて「幹事会」を発足させたが、この組織は何を果たすのかA構造改革事業を日連はどう具体化し、地方協会をいかに支援するかB電力攻勢など―東西の温度差、地方の実態と意識の乖離をどう埋めるかC業界の「ワン(シングル)ボイス」を日連は何から始めるかD天然ガス・マル簡の託送料金等制度設計が検討されているが、LPガス業界はどう対応するか、などである。
 九日、日連では常任理事会に引き続き幹事会が行われた。これらの会議を終えて筆者との対談に臨まれたのであるが、高須会長は疲れも見せず質問表を見てよどみなく話してくれた。
第1回幹事会
 これまでの正副会長会議改めて、正副会長と九ブロックのうち正副会長が選ばれていないブロックからも加えて幹事会として運営することにした。総会のときに初の幹事会の顔合わせをしたが、今日が事実上の第一回幹事会だった。この組織改革で全国九ブロックすべての声が聞けるようになった。地方ごとの異なる事情に対応して施策を講じることができる。一例を挙げるならばバルク容器の償却の問題で、財務局によって本体と付属設備を別々に償却を認めるものと、そうでないものがある。また電力の攻勢にしてもブロックによって差異があり、その対応にも温度差がある。これに対し日連の施策が画一的ではなく、ブロック別対応を可能にした。
構造改善事業委発足
 構造改善事業は、需要家利益とLPガス事業の発展が眼目である。この事業に国からの補助金が日連に二億九千四百五十七六千円交付される。日連は四十七都道府県協会と構造改善のセミナーを実施する。実施期間は今年いっぱい十二月末までである。これを実施するために構造改善事業委員会を発足させた。
 都道府県協会には構造改善セミナー実施のための補助金が販売事業所数を基準にして交付する。その基準は、販売事業所数が四百九十九まで三百万円が十八府県、五百以上七百九十九まで四百万円が十五県、八百以上千九十九まで五百万円が九府県、千百以上千三百九十九まで六百万円が三県、千四百以上千六百九十九まで七百万円が一県、千七百以上八百万円が北海道である。これらの補助金は実施請求である。やらないでもらえるものではないと念をおした。日連ではこのセミナーのために講師陣のあっせん、テキストの準備等を進めている。
地位向上と制度設計
 LPガスのエネルギーとしての地位向上は、日連として片時も忘れられない重大関心事だ。エネルギー政策上ガス体エネルギーとしてかなり明確にはなったが、石油の内数扱いになっているためにLPG車なども不当な扱いをうけている。ひいては地方行政のエネルギー関係の施策からLPGが排除される懸念すらある。このような観点からLPガスは石油の内数ではなく独立したエネルギーとしての扱いを求めていかねばならない。
 先月十一日、ガス事業法が国会を通過した。これからは来年四月の施行に向けて詳細な制度設計が問題になる。高須会長は制度設計小委員会にも引き続きLPG業界の代表として参加している。ここでは天然ガス・マル簡と託送料金問題がわれわれの関心事だが、これをどう見ているかの問いに、まず言いたいことは大多数のマル簡業者がLPガス業者であることだ。そこで需要家がエネルギーを自由に選択できる公正な競争が確保できる制度設計が重要である。また、一定規模未満の事業者については事業手続きの簡素化が望ましいと述べた。
業界のワン・ボイスと団体統合とは別問題
 業界のワン・ボイスないしシングル・ボイスが流行語になっているが、業界ワン・ボイス体制はLPガスの地位向上のためにも大切なことである。その意味ではもう始まっている。だが、流通団体統合と同義語ならば日連は組織上からも慎重にならざるを得ない。四十七の都道府県協会がそれぞれ社団法人なのだから。
 こう述べて高須会長は実務家らしくテキパキと仕事を進めて間然するところがない。お話を聞きながらワン・ボイスないしシングル・ボイスは、いかにも和製英語に思えてならない。しからばどう表現したらいいのだろう。ユナイティド・ボイス(統一された声)ではどうだろう。これならば高須会長の民主的思考にも符節が合いそうだ。

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