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(2002/09/23 プロパン・ブタンニュース)


住商第一石油ガス社長
田中康弘氏
お客が共感、多機能給湯器

 住商第一石油ガスの社長田中康弘氏は、平成7年に社長に就任して7年が経過した。こうして長く居ると北海道の自然も人柄も好きになると言う。
 従来の日本経済はいわゆる重厚長大の大手産業による工業製品の輸出力によって支えられてきた。それでこれら大手産業が優位性を持ったが、今は様相が一変してソフト経済の時代である。これからのニーズに合うのが北海道だと思う。北海道は自然環境もよく広大な大地があって観光立地にも最適だ。いわば北欧型経済で自立して21世紀に残る経済圏だと思う。
 田中社長は冒頭にこのように話されたが、これは住友商事の商社マンとしてアブダビ(UAE)やベトナムなどの国際競争場裏で奮闘した田中社長から聞くと説得力がある。朝刊(9月4日)は3日の東京株式市場はバブル経済崩壊後の最安値と報じていた。これについて質問したら、大方の企業はそこそこの業績をあげているから株が下がったからといって一喜一憂することはない。下がった株はまた上がってくると泰然と言う。経営者としては打つべき手を確実に打つことだと言わんばかりである。
SUM24バルクシステム
 LPG事業は、人口が増加して需要家数が増え続け右肩あがりだった時とは違う。だからといって悲観するものではない。自助努力が大切だ。現在、北海道では20キロ容器での配送に甘んじている。雪国で寒冷地という北海道特有の気象条件を考えれば、バルク貯槽を配置して冬場の配送を減らすことを心掛けるべきである。わが社は新バルク制度になるや業務用や集合住宅を優先して採算にのる範囲から実施した。新バルクローリーの導入は4台(札幌2台、函館1台、苫小牧1台)、バルク貯槽の設置250カ所に達した。この新しい供給方式をSUM24バルクシステムと名付け、単にローリーで需要家の貯槽に直接供給するだけではなく、24時間集中監視システムで残量管理やガス漏れ時の自動通報をも備えている。
 SUM24テレメシステム
 ガス漏れ、ガスの残量が少ないことをテレメシステムにより自動連絡、またいざという時の24時間受け付け、緊急出動体制を整えて20分以内に現場に到着するSUM24ガス緊急センター(フリーダイヤル=0120−434−110)が対応して、地区別に緊急車、緊急工作車を待機させている。
 全道に築く住商第一のネットワーク
 北海道の広い大地をくまなくカバーする販売網は、住友石炭の専仲など特約店12社からなる「第一プロパン親交会」と、直系の販売店140社で組織された「住商いずみ会」が全道をカバーしている。グループ全体のLPGの営業所・出先は23カ所、顧客数4万6千553戸である。簡易ガス事業への進出も昭和47年に石狩団地(558地点)が第1号で、現在では子会社の函館プロパンとどうたん商事の分をもカウントして34地点群、1万3千290地点に及ぶ。
 今年3月期の決算によれば、LPG販売量5万9千535トン(68億589万5千円)、灯油販売量9万8千999キロリットル(40億7千657万5千円)である。
 提案型展示にした「住商ニューライフフェア」
 毎年8月末に全道各地で開く「住商ニューライフフェア」はデパート式にメーカー別にガス給湯器やガスこんろ、ストーブといった具合にブースを並べるのではなく、多機能給湯器がキッチンや浴室さらに乾燥機にももっていけるし、万能調理器が魚を焼くだけではなく、餅もトーストも焼ける。てんぷらも揚げられれば、ご飯も炊けるというふうに提案型の展示に切り替えてお客さんの共感を呼んだ。これはお客との接点をいかに深めるかの実演に他ならない。言い換えればガス屋になりきることだと言う。暖房は灯油ストーブと相場が決まっているようだが、その場合、居間だけである。廊下や便所はおいてきぼりだ。灯油ストーブは安価の故に選ばれるが、風呂のことは考慮していない。このような提案型展示にお客さんが理解を示し始めた。この路線を推し進めたい、と田中社長は強調する。
北海道を愛する田中社長 堂々たる体躯、ゆったりと構えた風貌、そして北海道の自然も人も好きになったと言う田中社長の話を聞きながら、住友コンツェルンの総理事で歌人だった川田順の「立山が後立山に影うつす夕日の時の大きしづかさ」「秋真昼八達嶺(はったつれい)を下りて来る駱駝の列にあひにけるかも」を思い出した。いずれも順の歌集「鷲」所収の短歌である。本当はここで住友の社是か経営理念で結ばねばならぬところだが、敢えて住友の大先輩である順の旅行詠で結ぶ。


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