(プロパン・ブタンニュース2002/2/25)

大阪府LPガス協会会長 梶野和一郎氏
岸和田の「だんじり」さん 
 大阪府LPガス協会会長である梶野産業の梶野和一郎社長は通称岸和田の「だんじり」さんで通る。「ウエーブ・風」(話題と肖像画)に登場ねがうために泉州岸和田市の梶野産業を訪ねた。インタービューに先立って大阪府協会の専務理事・辻上統紀氏から大阪府のLPガスの実情についてレクチャーを受けた。辻上さんは、大阪府のLPガスの厳しい状態を的確に次のように説明してくれた。
 大阪府の全世帯数は三百六十二万六千百六十七世帯(十三年九月、大阪府調べ)、うち都市ガス三百二十万九千八百四十二世帯(八八・五%)に対しLPガスは三十九万五千二百十四世帯、(一〇・九%)、簡易ガス二万二千百六十二(〇・六%)である。この四十四万のLPガス世帯を九百九十三軒の販売業者で守備している。平均で一社当たり約四百世帯である。LPガス消費世帯の全世帯数に占める割合は一一・三%と低い。また、大阪府は七〇%が平野部で、北部の池田、能勢町方面の山間部の山は低く、そこに向かって南から北に天然ガスの高圧導管が走り大阪府の九八%が天然ガス供給地域である。
 こんな予備知識を持って梶野会長とのインタービューに臨んだ。
 梶野さんは大阪府のLPガス業者は「前門の虎、後門の狼」といったところだ。虎は関電であり、狼は大ガスである。自分は大阪府の約千軒のLPガス業者と四十万軒のLPガス消費世帯の生命、財産を守ってその先頭にたっている思いだと言う。その心意気は岸和田の「だんじり」の金色の曳き綱を曳くような勢いを感じた。いま問題の「ガス市場整備基本問題研究会」の論点にしても大阪府と首都圏のややゆとりがある府県とではその対応の仕方に温度差があるが、本質的には変りはない。
「市場整備基本問題研」への抗議文 
 大阪府協会長名の「市場整備基本問題研」への梶野府協会長の抗議文は怒り心頭に発し湯気が立ち昇るような文書である。梶野さんの思想を伝えるのに多くの言葉を費やすよりこの抗議文を引くにしくはない。
 〔抗議文〕法改正に異議あり。既に三十年以内に南海地震の可能性大と発表されているのに、都市ガス一辺倒の学識者(ガスの災害対策を考えていない人達)の意見をもって、LPガス叩きに近い法改正をするのであれば、地震の結果において、われわれは「天災では過ごさない、人災として世間に発表する」考えです。七年前に阪神淡路大震災を目の前に見たわれわれは対岸の火として黙認できない。四十五年のLPガスの歴史で、LPガスが地震に強く、安全、安心、安定をモットーに法改正をし、完成された法規と自負しており、これの改正には反対であります。井出先生なる一個人の意見でわれわれの業界のあり方を左右されてはたまりません。われわれにも日本人としての人権があり、行過ぎた干渉に対し抗議いたします。地震の怖さを見て考えてからにしていただきたい。法改正は不要であります。
 1.日本がCO2を出しているとのことで、地球温暖化対策で金を出している。2.米国は環境問題では参加しておらず、その分まで出している。3.LPガスは地球にやさしいクリーンなエネルギーとして貢献している。4.都市ガスも規模において、大、中、小と二百四十社もあり、差があり過ぎる。5.どうしてLPガスだけ価額が高いと言うのか。公益事業ではなく自由販売業であり、価額も開示している。6.インターネットのホームページ等で発表されている。7.消費者からのクレームも無いし、お客さまを待つ商売ではなく出向いての商売である。二十四時間体制で業界が一体となって、クレームと事故防止に活躍しており、客から評価されている。われわれはガス器具を売って始めてガスを使用してもらうのである。したがって器具管理に少しでも早く対応するよう努力している。8.都市ガス会社の最大の東ガス・大ガスと価額差はあって当然、行政も熟知しているはず。都市ガス会社も規模の差で大幅に価額差がある。9.LPガスは日本全国の世帯数の五五%、国土の九五%に供給している。10.内外格差と言っても倍くらいである。米国の二・四倍、中国とは十倍〜二十倍の違いの人件費が大きく価額に響いているのである。
 11.都市ガスとは法規、税制面で大きく違う。保安重視、事故ゼロを目差しており、大阪などゼロに近い。12.高圧ガス保安法・LPガス法、公害率の評価計算の取り方が低公害としての行政の捉え方が違う。13.埋設管供給について問題があり過ぎる。即ち埋設管供給の危険度が論議されていない。14.日本は地震国であり、大小微震は何千回もある。15.完全自由化となった場合、大阪ガス等の市場を独占している企業に対し独禁法上の問題はないか。(中略)以上のようなことを無視した行政のあり方に対し反省をもとめるものであります。
 改正ではなく、改悪であることに注意を促すものである。

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