(プロパン・ブタンニュース 2002/2/4)

柴田産業専務 柴田雅信氏
近未来のLPガスを見た
 日本LPガス連合会青年委員会委員長の柴田雅信さんが日連の会議で上京すると聞いて、本記をものするべく時間を都合してもらい会見に出かけた。「LPガスの近未来」を語ってもらうためである。柴田さんにお目にかかるのは一昨年九月、日連青年委全国大会が横浜で開かれたとき以来である。同大会では1.業界のモラルの向上2.環境問題と地域貢献3.夢のある業界の構築―の大会宣言を読み上げた柴田委員長を頼もしく眺めたものだ。あのとき以来この人の日常の仕事ぶりに接してみたい。そしてLPガスの将来をどのように描いているかを聞いてみたいと思っていた。
中味の濃いメンテ業務  柴田産業は大分市に昭和42年に創業のLPガス小売専業の日石系の会社である。LPガス消費者八千軒を擁し、資本金3000万円である。柴田雅信さんは社長のご子息で専務取締役である。傘下にリフォーム・インストラクター・シバタと銘打った有限会社ハウス設備産業を持って「住のコンビニ」を目指している。ガスこんろ、エアコン、暖房器具、住宅設備、水道工事、それに電気通信等のメンテ業務をもして中身を濃くしていけばどんな時代になっても困らないようにしたいという。そして「ハッピータイムス」というミニコミ紙の話をしてくれた。
 「ハッピータイムス」はタブロイド版4頁で2カ月に一度発行され、8千軒の全お得意に配られている。3年ほど続けているが、近頃は3百件くらいリターンがあり、客の声を聞くことができる。初めのうちは本当の情報が上がって来るか不安だったが、都会からの移住者が都市ガスではこんなサービスは無かったが、田舎のガス屋さんはこんなことまでするのね、とほめられて自信がついた。都市部では住宅が増えてガスだけで食っていけるが、地方にいくとガス以外の浄化槽工事など地域に根ざしたリフォームや設備を積極的にしなければならない。3年やってみてリフォームはとんとん、設備関係は入札に入れるようになった。
日連青年委員会の活動 
 ユナイテッツ・オブ・ニチレンだから青年委員会としてビジョンを作って、それからアクションプランを持ってという風にはいかない。出来るところからやって行こうというのが廃棄メーター回収事業だ。平成12年8月現在、三十数県で実施、実績個数89万5千522個、金額にして2千290万6千089円に達した。これらの金額は主に社会福祉関係に、あるいは環境基金に、東南アジア学校建設等に寄付された。日連理事者もこれらの団体から感謝状を授与されて、青年部もやりおるわいと認めて下さっている。
電気かガスかの決定権は30〜40歳台の女性
 青年委員会大会とパネルデスカッションは、これまでに沖縄、広島、神奈川、福島とやってきた。当該県協会のお力ぞえと周辺ブロックの積極的参加で成功裡に実施できた。関東ブロックでは切り替え業者対抗には共通認識があったが、電化対策にはやや鈍感だった。しかしながら最近になって電力会社のIHこんろ、エコキュート等を掲げてのいわゆるオール電化攻勢が顕著になり、電化対抗策は全国的問題となった。
 ガスにするか、電気にするか、その決定権は30歳台から40歳台の女性にある。おじいちゃんでもおばあちゃんでもない。だとすれば、ターゲットを30歳から40歳の女性にしぼってPRせねばならない。PR企画会社の人は頭がいいから発注者が年配者だとその人にあわせた提案をしてくる。ここは感覚の問題だから日連の青年委員会としてもこのような広報の仕事にも参画したらよいと思う。
ビデオはもう一人のセールスマン
 テレビの媒体を利用するにしても電力会社とわれわれとでは百対一の差があろう。だがわれわれの強みは客のところに行けることである。「どぶ板作戦」はわれわれのお手の物である。「ビデオはもう一人のセールスマン、必ず見せよう、点検時」でなければならない。セールステクニックではない。見てもらうだけでよいのだ。ingコーポレーション(旧竹沢興産)の「二分だけPR」や東邦ガスの「きちんとキッチンえらび」等すぐれたビデオがある。利用させてもらいたい。
伊藤フィロソフィーを学ぶ
 故伊藤實会長は、業のパイを大きくしなければ自社も伸びない、としばしば強調された。最後の青年委員会のとき、ご自分の健康状態を慮ったのであろう、青年大会を早く開催せよと何度も言われた。しかし、大会は秋にしか開けなかった。伊藤会長の講演は聞けなかったのである。残念でならない。そう言う柴田さんのがっしりとした体躯とその風貌は何のけれん味もなく、この四十六歳の青年紳士はLPガスの近未来を切り開き、担う人と見た。そして筆者はかつて大分に出張したときにいささか時間をつくって国東半島巡りをして冨貴寺、真木大堂、熊野磨崖仏などを見てまわったことを思い出した。
 磨崖仏(まがいぶつ)大き仏(ほとけ)の面影を思い出(い)でけり国東(くにさき)めぐり。

プロパン・ブタンニュース2002/2/4 ナリケンがゆく ウェーブ・風  話題と肖像画


最初のページに戻る