Nice Tomorrow Ever
長野日石ガス社長、LOOK24社長
神津義久氏


ウエーブ・風 話題と肖像画/ナリケンがゆく <193>

 長野日石ガスは、昭和24年に長野県岩村田町で先代社長の神津義久氏が燃料販売業・神津義久商店を創業して石炭、薪炭を扱った。昭和30年7月、長野日石ガスを小諸市に設立してLPガス販売を開始した。翌31年には神津義久商店を合併して本社を小諸市に置き、長野県LPガス業界の草分け的存在である。昭和53年4月、先代社長が他界された。時に現社長・神津良一氏は、昭和29年生れの24歳だった。2代目社長に就任して神津義久を襲名した。
 2代目義久社長は、平成8年8月に発足した経済産業省認定保安機関「佐久集中監視センター株式会社」(愛称「LOOK24」)の代表取締役でもある。佐久地域では集中監視システムが系列を超えて地域で横の連携がうまく行っているのはどうしてかという質問に神津社長は、次のように答えた。佐久地域の風土と言おうか、地域を面で捉えての業者間の連係が強い。私たちは、地域のすべての会社、販売店が系列を超えて公平、平等の原則で地域集中監視システムを皆で考えようという趣旨で「佐久集中監視推進連絡協議会」をつくり、集中監視システムについての意見交換、見学会、集中監視導入の体験発表や講演会をして、地域集中監視システムの基本構想を作った。県協の佐久支部長を16年続けた神津社長ならではの仕事ぶりである。
LOOK24発足のころ
 LOOK24佐久集中監視センター(以下LOOK24)は、平成8年8月に佐久地域の8系列15社で発足した。通商産業省の地域型の集中監視システム普及促進モデル事業に選ばれた。LOOK24の本社は佐久市瀬戸に置かれ、神津義久社長の他にもう一人の代表取締役・池田岳雄専務が常駐している。本社にはホスト・コンピューターが置かれ24時間監視、出動要員が常時待機した。神津社長からこの説明を聴いて記者は池田専務から現場での話を聴きたいものとLOOK24の本社を訪ねた。
 池田専務は、10年前のLOOK24設立当時の模様を、ここはガス屋さんの若い経営者の社交場でした。夜な夜なやって来てLPガスには夢がある。ただのガス屋で終わりたくないと議論をした。議論の内容は地域を面で捉えるのだ、高齢者介護や機械警備業務など多岐にわたり夜更けに及んだ。親父さんの社長からうちの専務はそこに居るかと電話が架かったものだ。LOOK24の本社は情報の発信源だった。10年前に夢を語っていた若い専務さんが今や会社のオーナーとなって健全な行政とタイアップをせねばと奮闘している、と池田専務はLOOK24創立のころを語った。
集中監視システムのメリット
 消費者の過去の月別消費量に基づいて配送していたが、容器内残量や使用量を常時把握していなかったので不規則な配送が生じた。また、検針員のコストの低減、ガス配管からの漏洩を監視するので保安点検コストの合理化、点検員の省力化が図られて流通の合理化を実現した。付加価値としてセンサー端子を利用して灯油残量管理、自動切替通報の有効利用、さらには防犯・防火等のセキュリティ事業、高齢化対策等社会福祉事業の展開を可能にした。
次々に登場した通信インフラ
 アナログ→ISDN→ADSL→ドライカッパ→光と予期しなかった通信インフラの登場、さらに加えて固定電話を廃して携帯電話による住宅の無電話化、それにオール電化が加わりLOOK24の休止・削除が増えた。平成8年にスタートしたLOOK24のNCU設置数は平成11年には1万5,000件を数えたが、同15年には1万件に減少した。これは地域を面で捉えることができなくなり合理化に支障をきたした。
「パケガスくん」効果
 「パケガスくん」は、パケット通信方式のデータ通信サービスである。送受信したデータ量に応じて通信料がかかる無線型集中監視システムで、親機1台で子機100台の監視ができるとしている。LOOK24では親機1台で子機30台ほどを監視している。「パケガスくん」の登場は、前記のように平成15年にLOOK24の普及は1万件に落ち込んだが、現在は1万2,000件台に回復した。「パケガスくん」効果である。また、NCUの交換時期が来ているものから逐次「パケガスくん」に切り替え消費者の評判もよい。かくて現在、LOOK24に10系列27社が参加、稼働している。
オール電化対策
 LOOK24の1万2,000のお客で1カ月に5件ほど削除が来る。調べてみるとオール電化である。佐久地域では1件当たり1カ月のLPガス消費量は平均20㌔㌘であるが、ガステーブルだけの消費者がIHに食われ易い。給湯、風呂の湯回りはLPガスに残る。それ故にLPガスの給湯器は積極的に販売せねばならない。灯油風呂も同じ理由で電化対策に役目を果たしている。LOOK24の付加価値利用の灯油残量管理もオール電化対策に有効である。
この稿のおわりに
 18年前の平成元年に神津社長は、創業40年とLPガス販売開始30年を記念して小諸グランドキャスルホテルで記念式典を行った。そのときの統一スローガンは「Nice Tomorrow 明日へ」だった。長野県業界の長老・山寺豊一氏は、先代神津義久社長は先見の明を持った人で、自分は仲良しだった。現社長は両親を尊敬し、「義久」を襲名して大社長への道を歩んでいる。そんな社長を息子のように感じている私は、「Nice Tomorrow 明日へ」に「Ever」を付け加えて贈る言葉としたい、と述べた。
 対談を終えて記者は、山寺さんが若き神津社長に贈った同じ言葉を今や円熟の神津社長に贈りたいと思った。 

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