IHを第二のアスベストにするな
北国コンピュータ代表取締役
宗田春二氏


ウエーブ・風 話題と肖像画/ナリケンがゆく <175 >

 北国コンピュータの宗田春二社長は、多年LPガス事業者のコンピューター・ソフトの開発とその普及に取り組んできた。この世界に完璧はない。しかし完璧に挑戦を続けているものだけが生き残れると言う。現在、北国コンピュータは、全国津々浦々、離島にまで普及してLPガス小売店800店、卸会社30社が採用している。宗田社長に①ソフトの構築をいかに行ったか②LPガス事業をどう見ているか、LPガス業界にずばり一言提言を求めた。
「北国」のLPガス・ソフト開発史
 昭和61年9月=LPガスシステム(GAS―1)発売、同63年10月=LPガス業務省力化システム(GAS―2)発売、平成4年3月=LPガスシステム(GAS21)発売、10年9月=LPガスシステム(GAS21win)発売、11年1月=LPガス卸業システム(GAS2000)を発売した。
 スタートのころはオフコン時代で、LPガス業界では大きな会社が独自にハードを導入してソフトを組んだ。LPガス業界に業務省力化のコンピューター化の機運が起こったとき、オフコンで先鞭をつけていた大企業は傘下の販売店に上から下にコンピューター化を進めた。これに対して北国コンピュータは、中堅以下の会社を狙い、下から上を狙った。このようなことを可能にしたのは、パソコンの進歩があったためである。平成10年発売のGAS21winは、windowsを意味し、パソコンのレベル向上に歩調を揃えていることを物語っている。
ソフトの標準化
 LPガス販売店にはお店個有のこだわりがある。それは特徴的で長所にもなっている。検針、配送、集金の組み合わせ方などである。ソフト構築に当たってそういう部分はユーザーの要望を入れ、どのお店でも使える共有部分を標準化する。既製服の青山のようなものである。肩幅、背丈、袖丈などはA1、B5などで標準化している。わずかに足(ズボン)の長さだけを調節するのと同じである。大企業の上から下へのコンピューター化ではかなり多くの部分の変更があったようだ。特に名を秘すが、天下の名だたるコンピューター会社のシステムから北国コンピュータのシステムに替わった卸業者もある。
通信の進化がユーザー・サポートを支援
 石垣島、隠岐の島、淡路島、八丈島、佐渡島など離島にユーザーができた。これを可能にしたのは通信の進化である。これらの島のユーザーがソフトの更新を望むならば、ソフトの中身を覗くことができるのである。このように島嶼にユーザーができたことは全国各地のユーザーに好影響を与えた。
小売店の奥さんの残業をなくす
 この事業を始めたときLPガスの小売店さんを歩き回ったが、月に1万円のリースでも採用してくれない。投資したがらない。そしてすごく働く。お金はたんと持っている。商売の粗利はとても良い。仕事ぶりはと言えば、1,000軒のお得意があれば1軒のお得意を月に4回は訪問せねばならない。1,000軒のお得意だと4,000回訪問することになる。労働集約型の典型である。北国コンピュータとしてはコスト削減の願いを募らせるばかりだった。
 月に1万円のリースでもいらないと言った奥さんが子供の学習ソフトには月3万円も4万円も惜しまない。そこでコンピューターのソフトを使って奥さんの残業をなくして喜ばれた。
 大切なエネルギーを取り扱うLPガス事業がこんな風でよいわけはないと、それまでCADやコンピューターを販売していたが、LPガスのソフト開発に会社の重心を置いた。社団法人石川県情報システム研究会を作って理事になったのもそのころである。この協会は、発足当時は20社ほどで構成されていたが、現在は120社で構成されている。スタートのころの話になったが、現在も他の産業に比べればLPガス事業は収益性が高くよい事業である。これを大切に維持し発展させねばならない。
IHに思う
 IH関係者のオーバーなビジネス活動が目に余る。地方によって多少の相違があろうが、新築住宅10軒のうち7~9軒がIH住宅という所もある。自分の知り合いが数人家を新築したが、ほとんどIHである。後で電磁波のことを知りびっくりしている。IHは200ボルトである。この電磁波の影響はいかがなものであろうか。ロシアでは電子レンジさえ使用禁止という。イギリスでは電磁波のために16歳未満の子供は、携帯電話の使用を禁じている。わが国でもちゃんとした規準を示し、明確な説明が必要だと思う。関係当局の責任は大きい。
 差し当たり至近距離にいるガス屋さんが警鐘を鳴らさねばと思う。誰かが猫の首に鈴をつけねばなるまいと宗田さんは対談を結んだ。

プロパン・ブタンニュース/石油化学新聞社(C)