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(2005/4/11プロパン・ブタンニュース)

サンリン相談役 
須澤孝雄氏
遠くを見据え、深く考え、高い理想を

サンリンの相談役・須澤孝雄さんは、昭和61年から平成10年まで12年間同社の8代目社長だった。それに先立つ5年間は代表権を持つ専務であり副社長だった。その見識はミツウロコグループだけではなく、日連などでも注目された存在だった。今は相談役(アドバイザー)として大所高所から後進にアドバイスしている。会社が決めたことを報告されてもしようがない。相談役なのだからどんなものだろうと相談されれば意見を述べると言う。サンリンだけではなく業界にとっても重い存在である。LPガス事業は現在、危機と言おうか、新たなる状態へ移行する過渡期にいる。この時期に須澤さんがLPガス事業をどう見ているか、どのように舵取りをしたらいいかを聴いた。
 須澤さんの執務室の窓から北アルプスの山並みが一望できる。雪を頂いた白馬岳を見やって須澤さんは「日本に今、父がいない、母がいない」と言った。父とは遠くを見据え、深く考え、そして高い理想を求めて、責任をとる人だ。母は自分や子供や家族を守る人である。こう教えてくれた人がいたが、同感を禁じ得ないと言って、LPガス事業の構造改革構想を述べた。
 新聞でもテレビでも構造改革の話を聞かぬ日はない。郵政民有化は国会の中心議題だが、町の郵便局がどう変わるのか筆者などはよく分からない。須澤さんのLPガス事業構造改革は実際的で分かり易い。支店ごとに供給戸数と売上数量の現状から目標経常利益を出してこれをモノサシに支店ごとの利益計画を支店の共通認識として掲げるのである。これは人口20万余の松本市に膨大な店舗を構えて撤退を余儀なくされたダイエーの轍を踏むなの戒めも含まれている。この構造改革が軌道に乗るまでには3年はかかるだろう。徹底的に教育せねばと言う。
LPガス事業の構造改革の目標
 支店ごとに現状の実態把握をしなければならない。売上区分別に供給戸数、売上数量、売上金額、利益を明確にし、次に経費の現状を決算書から店舗費、供給設備費、配送費、保安費、検針回収費、人件費、その他に分類して供給方式ごとに書き出す。これを支店別に作る。そして、表1がLPガス事業構造改革の目標である。これが構造改革のモノサシとなる。表2は、構造改革の目標に向かってのすなわち利益目標に向かってのモデル条件である。表3はモデル試算例が幾つも示されたが、典型的な2例である。
構造改革の営業はトップランナー方式
 サンリンが民生用バルク供給で経済産業省の技術開発の実証試験に参画、現在300`、500`、1dのバルク貯槽を6,300カ所に設置、1万2,000軒の需要家に供給している。2・3dと3dのローリー17台が稼働している。冬季はローリー1台が月々100d配送する。配送費はバルクがキログラム当たり7円、シリンダーが13円である。10年の経験で不要なものが多く付いていること、構造を変えると大量生産が可能になることも分かった。それらは経済産業省に報告している。民生用バルクは一例に過ぎないが、このように高い理想を求めて全体を引っ張っていくトップランナー方式は構造改革事業を推し進める営業活動では殊のほか重要である。常に重い荷物を背負って高い目標に向かわねば再生産はできない。
総合生活サービス業者に
 護送船団方式という営業方式は客を被害者にする営業手法である。われわれの志向する営業は、これとは反対にガスだけを売って成り立つ経営から幅広く消費者ニーズを開発して総合生活サービス業者に生まれ変わるものである。これに成功するには消費者と業者が密接な関係を持って何でも相談が受けられるようになることである。その意味で配送の委託はあっても保安の委託は断じてよくないと言う。須澤さんが掲げるLPガス事業の構造改革を松本から東京への帰りの電車に揺られながら反芻した。LPガス事業を知り尽くした須澤さんが「遠くを見据え、深く考え、そして高い理想を求めて」作り上げたものだと。そしてわがLPガス業界には父は不在ではないと思った。


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